賢者とお姫様、高難易度迷宮を攻略する
ノアさんを幸せにすると誓ったが何からすればいいのか?俺には全くわからない。
言われてみれば俺も普通の生活をしたことがないからだ。
「俺もノアさんのこと言えないな......」
自分の過去を思いだし俺は苦笑した。
「マギこの前はありがとうございました」
「いえいえ!俺も丁度気分転換したかったところですから」
「相変わらずマギは優しいのですね」
「そんなことはないと思いますけど......」
「いちゃついてるところ悪いんじゃが、エルの弓術を試せるとこに心当たりはないかの?」
「ミレイアさん、エルはもうそんなに成長したんですか?」
「あの子は成長がとても早いわ。何を教えてもすぐに吸収していく。若さとは素晴らしいの」
「あの子は優秀ですからね。物は試しでエイシカの迷宮なんかはどうでしょうか?あそこは広いですし弓を打つのにも最適だと思いますよ」
「あの静寂の迷宮か。ふむ、いいかもしれんな」
そういうとミレイアさんは部屋から出て行った。どうやら俺とノアさんはついて行かない方がいいらしい。
「俺達はどうしますか?」
「そうですね。私も久しぶりにモンスター討伐や迷宮攻略をしたいところなのですが私とマギの実力にあったところが中々思い浮かびません」
「スロノス迷宮とかはどうでしょう?」
「少し私達には簡単かもしれませんがいいでしょう。私はマギから頂いた刀の試し切りということで」
「それはいいかもしれません。俺もバフ、デバフをなるだけかけずに攻撃魔法の練習をすることにします」
「そうと決まればいきましょうか」
俺とノアさんはスロノス迷宮まで来ていた。
帝都から数時間の位置にある高難易度迷宮だと聞いている。
「一階層は簡単すぎましたね」
一階層はノアさんが全部刀で切ってしまった。本の中の型を再現するのが楽しそうだったので俺は後ろからついて歩いただけだ。
「ここからオーガが出てくるんでしたっけ?」
「ええ。ただ私は簡単に倒せますのでマギにお譲りしますよ」
オーガは強い魔法耐性があることで有名だ。特に火属性は一切通さない。だからオーガは普通物理攻撃で倒すのが定石になっている。
「俺の魔法攻撃が通用しますかね?」
「虹蛇を魔法で倒せたのですから余裕ですよ」
俺はノアさんの言葉を信じ、目の前に出てきたオーガに魔法は放つ。
風属性中級魔法【ウィンドブラスト】
『ぐがぁぁぁぁ』という叫び声と共にオーガは倒れた。
「ほら言ったでしょう?」
「まさかこんな簡単に倒せるなんて」
「マギ前々から思っていましたが、貴方は自分のことを過小評価しすぎですよ。バフやデバフもそうですし攻撃魔法に関してもそうですが、貴方はとっくに超一流です。自分を卑下しすぎないように」
「ノアさん......。ありがとうございます」
「いえ。以前の貴方がどういう環境に置かれていたのかがよくわかって嫌なんですよ」
それだけいうとノアさんはさっさと進んでいく。その時ノアさんの顔は少し赤く見えた。
8階層まで簡単に攻略した俺とノアさんは最終層まで来ていた。
最終層とわかる理由はボス部屋が存在するからだ。
「ここがスロノスのボス部屋ですか」
「はい。今までの敵を見ていると簡単だと思いますが一応私は剣を切り替えておきます」
ノアさんがいつもの剣に装備を変える。
「そう言えばその剣って何か特別な装備なんですか?」
「説明してませんでしたね。この剣実は聖剣のうちの一本なんですよ」
「聖剣!?それって勇者が」
「この話はまた帰ってお話ししましょう。今はボスです」
「ああそうでした。とりあえず入ってみますか」
俺はボス部屋の扉を開ける。蛇のようなものが見えた。
「あれはメデューサですか」
「めんどくさいですね」
「普通のパーティーであればめんどくさいですし全滅もあり得るでしょう。ですが今回は相手が悪いです。マギ魅了耐性を」
俺は言われるがままにノアさんに【魅了耐性】を付与する。
ついでに【身体能力強化】も付与した。
「これだけ動ければ簡単に倒せるでしょう。マギは見ててください」
そう言ってノアさんが突っ込んでいく。
ドカンと剣で切ったとは思えない凄まじい音がする。ノアさんが走った後の土煙が明けた時にはもうメデューサは倒れていた。
「簡単でしたね」
「いえ。普通はそうはいかないものですよ?」
俺とノアさんは比較的難易度の高いといわれているスロノス迷宮をクリアしてしまった。
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