第6話

埼玉に行ったのは久しぶりだったけどかなり楽しめた

理由の大半は萩原だけど


今日は3連休の2日目、宿題は終わらせたので2日間暇となる


今まではネット小説やなんやらで時間を楽しく潰していたが、友達と遊ぶ楽しさを知ってしまうと同じことをしていても寂しさを感じてしまう


んなわけで、萩原にLINEした


平井陸人ーーおはよう

平井陸人ーーなんかさみしくない?


はるか♪ーーなにー?

はるか♪ーー私がいないとだめになっちゃったー?


う、そういわれると間違ってないのかもしれない


でも素直に認めるのも恥ずかしいし悔しい


平井陸人ーーはは、冗談だよ

平井陸人ーー萩原はさみしくないかなーって思っただけ


はるか♪ーー結局わたしのこと考えてばっかりじゃん

はるか♪ーー私に嘘は通じないぞー


うう、鋭い

こうなったら出来るだけオブラートに、かつ正直に言うしかない


平井陸人ーー友達と遊ぶ楽しさに気づいただけだよ


はるか♪ーー友達って私しかいないくせに

はるか♪ーーやっぱり私のことばっかり


めちゃくちゃからかってくるんだけど

否定できない自分が悔しい


平井陸人ーーえーっとそろそろ許してくれませんか


はるか♪ーーえ?何を許すのかわからないなー


この人鬼か!


平井陸人ーーえーと、嘘ついてすいませんでした


はるか♪ーーえ~

はるか♪ーーどんな噓ついたの?


ねえ、鬼なの?悪魔なの?

恥ずかしすぎるんだけど


平井陸人ーー萩原がいなくてさみしかったです


めちゃくちゃ恥ずかしいこといわされてしまった


はるか♪ーーじゃあ噓ついた悪い平井くんは今から駅前に来なさい


え、何だかんだで気遣ってくれたみたい

正直に言ってよかったかも


平井陸人ーーわかりました!


はるか♪ーーじゃああとで!


悔しいがこんな会話も楽しいと思ってしまう自分がいた


~15分後~駅前~


俺が駅前についたときには萩原は既にいた

俺よりも家が駅に近いんだろう


「ごめんごめん

待たせてごめん」


「発言の7割がごめんなのは気になるけど、5分しか待ってないよ」


それってあの後10分でここ着いたってこと?

はやすぎない?

どんだけ家近いの?

どんだけ身支度はやいの?


「まあ待たせたのは事実だし、

それより、萩原こそ早すぎない?

あの後10分でここついたんでしょ?」


「あはは、気づいちゃった?

実は私も平井くんと同じでなんかさみしくてたまには散歩でも行ってみようかなーって思ってたら平井くんからLINEが来てね

まあその後はお察しの通り」


「なんだ、あながち間違ってなかったのか」


「まあ、そういわれるとそうだけど・・・

そんなことより平井くん面白かったよ

バカ正直に『萩原がいなくてさみしかったです』なんて書いちゃて、スクショ撮っちゃったよ」


「もう忘れてよ恥ずかしいから

というかそう仕向けたのは誰だっけ」


「ははは、ごめんごめん

まあいいじゃん」


俺としてはすぐに葬り去って欲しい過去なんだけどスクショまで撮られたとなるとさらに恥ずかしい


「ところで今日の予定は?」


「特に考えてなかったけど散歩でいい?」


「りょーかいって言っても散歩ってどこ行くの?」


「んーたしかに

どっか行きたいとこある?」


「えー急に言われても思いつかないかな」


「じゃあ東で」


「まさかの方角か!」


「他にないんだしいいでしょ」


まあそう言われるとそうだ


「たしかに、じゃあ行くか」


今は九時なので太陽の方角は南東、だから太陽が自分の斜め右前になるように歩けばいいということになる


だというのに萩原は真逆、すなわち西に向かって進みだした

これは朝の仕返しのチャンスである


「おーい、萩原さんそっちは西じゃないですかい?」


「え、あ、あ、えーっと、ちょっとあれが気になっただけだよ」


「あれって?」


「えーっと、あのベンチ!」


「萩原さんはベンチが好きなのかー」


「いや、別にそう言う訳じゃ」


「ごめんねー、ベンチが気になってるなんて完全に予想外だったよ」


「うう、西と東間違えました」


「うんうん、わかればいいんだよ

方向音痴の萩原さん」


よっしゃ、仕返し成功だ


「う、そんなことないもん

今日はたまたま間違えただけ

勘違いしないでよね、私がいないとさみしい平井くん」


「ちょ、それは、て言うかそっちもさみしかったとか言ってたくせに」


「う、ま、まあ、朝のことは水に流してあげるから

早く行こ!」


逃げやがったな、萩原





特になにも起こらなかったけど楽しい散歩でした

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