17話 リーナの活躍
ーーーひゃっ…100年だってぇ！！？？？嘘でしょぉ？？！
「わし…死んじゃう…」
ーーー学園長先生どころか、マリンやロックたちも居なくなっちまうよ！！
《……》
「そうじゃの…それにツクモ様を追いかけてる間に、犯人とやらはどんどん動き出す可能性が高いじゃろな。」
「…はい。ツクモを探すのは、現時点では得策ではないかもしれませんね。」
ーーーあっ！そうだ！主神様は？！あの人にお願いして、探してもらえないの？！
「なっ…！！とんでもない！！そんな事のために、主神様のお手を煩わせることなどできません！そもそも…あの方は現在、神界にはおりませんし…」
ーーーちぇっ…役に立たん奴だな…
「黒井さん？小声でも聞こえてますよ…やめてもらえます？私が怒られるんですから！！」
ーーーハハハ…冗談ですって（笑）でも、どうしましょうか…今のところ手掛かりはそのツクモっていうよろず屋しかいないですし…
《……》
ーーーん…リーナ？さっきからどうしたんだ？なんかずっと考え事してるみたいだけど…
《…えっ？僕？！あぁ…ごめんね。考え事しちゃってたみたいだね。》
ーーー大丈夫か？
《うん！大丈夫だよ！それよりさ！ツクモ様を探すんだよね？僕にいい考えがあるんだけど…》
「！？」
「なんと！」
ーーーまじかよ！？
「リッ…リーナちゃん、それは本当かね！？」
「まっ…まさか、あなたが思いつくなんて！！」
ーーーリーナッ！どうしたんだ、急に！？
《…みんなのその反応…やだなぁ…。僕…なんだかバカにされてる気がする。やっぱり言うのやめようかなぁ。》
ーーーごっ…ごめんってば！冗談だよ、じょ・う・だ・ん（笑）
「そっ…そうじゃよ！わしらみたいな凡人じゃ、思いつかなかったことを閃くなんて、リーナちゃんはマジ天才じゃな！」
《…ふ〜ん。まぁいいけど…ツクモ様ってさ、僕たち付喪神の統括神なんだよね。別の名を"よろずの神"って言うんだけど、僕たち付喪神は、命を授かるときにツクモ様と精神を繋ぐんだ。だからツクモ様が大体どの辺にいるかはわかるんだよね。》
ーーーなっ…なんという奇跡！！それなら、リーナにツクモ様の居場所を調べてもらえば、すぐに見つりそうじゃん！！しっかし、なんで精神なんか繋ぐんだ？
《それは…契約みたいなものだね！そもそも僕ら付喪神って、大事にされてきた物に、ツクモ様が生命を与えた存在なんだ。僕らが生まれる＝その周りには物を大事にする人々がいるという証であって、ツクモ様はそういう人々に、神具を授けたりしている訳さ。精神を繋ぐのはその周辺の情報を僕らから集めるためって、ツクモ様は言ってたよ。》
「なるほど…彼は神界一の商人と呼ばれていますからね。『情報を制するものこそ、一流の商人である』というのが彼の口癖だとか…」
「情報を制する者…か。ならば今回の犯人の情報についても、期待ができそうじゃのぉ！」
ーーー確かにな！！よぉし、リーナ！！それじゃ早速、ツクモ様の居場所を見つけちゃってくれ！！
《任せてよ！！…だと言いたいところだけど、一つ問題があるんだぁ。》
ーーーえぇ〜！またかよぉ…今度はなんなんだ？
《僕ってさ、主神様に叱られたじゃない？その時、魔力の使用制限をかけられちゃってるから、ツクモ様の居場所を調べるための量が使えないんだよね。要は魔力不足でその能力が使えないってことさ！》
ーーー『ことさ！』って、相変わらずすんげぇ楽観的だなぁ、リーナは…
《でも事実だし、僕にはどうしようもないもん！》
ーーー確かにそうだけど…
「リーナちゃん…その魔力ってのは、どれくらい必要なんじゃ？わしもこう見えて、意外に魔力あったりするんじゃけど…分け与えられるもんかの？」
《…う〜んとそうだね、どう説明しようかな。この世界で、わかりやすく例えると…お爺ちゃん…"ファイアインフェルノ"って一度に何発打てる？》
「ファッ…ファイアインフェルノじゃと！？一度にって…あれは極大魔法の一種で、わしでも一発が限界じゃ…全盛期であれば、三発くらいはいけたとは思うが…それを一度に何発もって…」
《そうだよねぇ…でもね、ツクモ様の居場所を的確に調べるためには、それを一度に五十発くらい打てるほどの魔力がいるんだよね。》
「ごっ…五十発！！！？？そっ…そりゃ、国中の魔道士を集めても無理じゃ…」
ーーー学園長が驚くほどってことは、相当な量なんだな…
《…はぁ、ぬか喜びさせちゃってごめんね。》
「お待ちください…。」
ーーーん？女神様…どうしたんですか？
《…どうしたの、メガミン？》
「それほどの大量の魔力なら、あるではないですか。」
ーーーえっ…どこに？そんないっぱいの魔力、どこにあんの？
《あっ…そうか！そうだよね！》
ーーーリッ…リーナまで？どこよ？どこにあんだよ！！
「黒井さん…」
《タケシ…》
ーーーえっ？なになに？女神様…何その目は…そんな目で俺を…え？俺？！
「はい、その通りです！」
「おっ…お主たち、何を言っとるんじゃ？この黒板消しに、何があるというのじゃ！！」
《あっ！そっか、お爺ちゃんは知らないよね。でもメガミン、これって言っちゃっていいのかな？》
「…そうですね。確かに悩むところではありますが…しかし我が信徒ですから、そこは信用しても良いかもしれませんね。」
「…女神様も、リーナちゃんも何の話をしとるんじゃ…この黒板消しにそれほどの魔力があるというのか？」
「ライブラリよ…今から説明することは他言無用です。我が信徒ならば…わかりますね。」
「はっ…ははぁ！それはお約束します。我が名にかけて…」
「よろしい。では…」
・
・
・
「なっ…なんということじゃ。それでは、あの魔力災害はお主の仕業じゃったか…」
ーーーテヘペロ（笑）
「ライブラリ、この事は絶対内緒でお願いしますよ。」
「もっ…もちろんですじゃ。そもそもですが、話しても信じる者は少ないかと…」
《確かにね！黒板消しがそんなことできるなんて、普通は誰も信じないか！》
ーーーだよねぇ…ハハハ…女神様の視線が痛い…
「…はぁ。とにかく、黒井さんの魔力があれば、ツクモの居場所を調べられるはずですね。」
《そうだね！さっそくだけどやってみるよ！》
ーーーちなみに俺は何すればいいの？
《タケシはそのまま普通にしてて大丈夫！僕はタケシの魔臓器に寄生してるから、魔力を借りるのは簡単にできるんだ！！僕の言葉に従って、『許可する』とだけ言ってくれれば大丈夫！！》
ーーーそっ…そうか？わかった！
《それじゃいくね！皆さん、静かにお願いしまぁす！》
「はい。」
「ほいじゃ。」
ーーーは〜い。
《ではまず、タケシに魔力使用の許可をもらうね！…我が主人に問う…魔力の行使の許可を願う。》
ーーーきょっ…許可する！…こうでいいの？
《うん！ではでは、いきますね！…よろずの精を司る崇高なる我が神よ。我、そなたの眷属であり、従順なるしもべである。我が問いに答えたまえ…》
「……」
「……」
ーーー……
「……」
「……」
ーーー……
《……はい！わっかりましたぁ！！》
ーーーはっ…早っ！！！そんなに早くわかるのか？！
《余裕だよ！！よ・ゆ・う！！》
「…で、ツクモはどこにいるのですか？」
《それがさ、驚かないで聞いて欲しいんだけど…》
ーーーもったいぶるなよ、リーナ！早く言えって。
《う…うん！実はツクモ様、この世界にいるらしいんだ！！》
「「「なんだってぇぇぇ！？？」」」
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