結婚しました! 〜ロリ巨乳だって心機一転頑張ります!〜

 


「ご主人様ぁぁぁぁぁぁ!! 会いたかったばい!!」


「えっ、ミルクちゃん……?」


 私に抱きつきながら胸に顔を擦り付けていたのは、私の精霊にして方言女子のミルクちゃんだった。相変わらず綺麗な長い黒髪に、黒と白のメイド服を着ているので、黒いものが襲いかかってきた! と思ってしまったらしい。


「ごめんなしゃい! うち、どげんしたらよかか分からんくなってしもうて……咄嗟に逃げてしもうたんだけど……戻ってきたらご主人様おらんごつなっとって……」


「ううん! いいんだよ? ミルクちゃんが無事でよかった!」


「ご主人様こそ、無事でよかったばい!」


 あはは……くすぐったいなぁもう!

 でも、少し会えていなかったからか、無性にこの子のことが愛おしく思えてしまって、甘えてくるミルクちゃんと戯れていた。すると、視界の右下に見慣れないアイコンが光っているのに気づいた。



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 運営からプレゼントが届いています。


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「ごめんミルクちゃん、ちょっといい?」


 そう言ってミルクちゃんに離れてもらうと、ウィンドウを操作してメニューを開く。すると、メニューバーの中に『プレゼントを受け取る』というボタンがあることに気づいた。

 これがレーヴくんの言っていた「できる限りの贈り物」ってやつなのかな? とりあえずボタンをタップして受け取ってみる。



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『レーヴ装備一式』を受け取りました!


『エンゲージリング』を受け取りました!


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 へ? なにこれ? レーヴくんなりきりセット? じゃなくて装備一式?

 受け取ったプレゼントはストレージのアイテム欄に移動したようで、そこから装備の詳細を確認することができた。


「てかこれ、『闇霊使い』は装備できないやつじゃん! 役立たずぅ!」


 レーヴくんの装備である『叡智のステッキ』『神秘のタキシード』『シルクの手袋』『黒蜥蜴のブーツ』『創造主の加護』は、米印で『魔法使い』『プリースト』限定という注意書きがなされていて、私の身につけられる装備ではなかった。でもせっかく貰ったものだし、売るのも忍びないから記念に持ってようかな。



 問題はもう一つのプレゼント。『エンゲージリング』。これって日本語訳すると『結婚指輪』だよね? なんでそんなものを配るのかな? 説明読んでみよっと。



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『エンゲージリング』

 愛の証である装飾品。装備すると、スキルと魔法が、契約したモンスター、精霊と相互に使用可能になる。


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 これはつまりそういうことでは!? 私に! ミルクちゃんと! 結婚しろということでは!?



 ――き



「きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


「なにごと!?」


 突然大声を上げた私に目をまん丸にして驚くミルクちゃん。そんな彼女に私は思いっきり抱きついた。


「ミルクちゃん結婚! 結婚しよう!」


「――苦しかばい!」



 ミルクちゃんとは一生添い遂げるつもりだし、つけても問題ないよね? ――というわけで装備っと!



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『エンゲージリング』を装備しました! 契約したミルクのスキルと魔法が使用可能になりました!


 ミルクとの絆が深まりました! ミルクは魔法【身代わり】を習得しました!


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 私の左手の薬指にキラキラ輝く銀色の指輪が装備された。これが愛の証なんですね!

 見ると、不思議そうに自分の手を眺めているミルクちゃんの左手の薬指にもきらめく指輪が……ペアとは、最高に嬉しい演出!


 そして、なんかミルクちゃんが魔法を習得したみたい。ミルクちゃんのスキルや魔法は、ミルクちゃんのステータス画面から確認することができた。



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【身代わり】

 発動すると、一定時間味方の受けるダメージを代わりに受ける。

 属性︰無

 消費MP︰5

 習得条件︰契約相手と愛を誓う


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 愛! 愛だって! やったね! でもこのスキル、ミルクちゃんが可哀想だから使わせないようにしないと……。私を庇ってミルクちゃんが死んじゃったらかなりショックだ。痛いのは私だけでいい。

 新しい装備も手に入れて心機一転。今の私とミルクちゃんのステータスはこうなっています。



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 名前︰ココア

 性別︰『女』

 種族︰『ホムンクルス』

 ジョブ︰『闇霊使い』


 ステータス

 レベル︰7

 HP︰480

 MP︰50

 STR︰4

 VIT︰5

 INT︰4

 RES︰5

 AGI︰4

 DEX︰4

 RUK︰5


 スキル

【即死回避】 【幻惑】 【自動反撃】 【究極背水】 【初心者の証】 【殺戮者】


 魔法

【完全脱衣】 【ディストラクション】 【看破】


 装備

 武器︰混沌精霊龍・カオスフェアリードラゴン

 頭︰なし

 体︰ぬののふく

 腕︰なし

 足︰なし

 装飾品︰エンゲージリング


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 名前︰ミルク

 性別︰『女』

 種族︰『精霊』


 ステータス

 レベル︰1

 HP︰20

 MP︰20

 STR︰3

 VIT︰2

 INT︰4

 RES︰2

 AGI︰2

 DEX︰1

 RUK︰2


 スキル

【闇属性強化】


 魔法

【リトルボム】 【身代わり】


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 装備を失ってステータスは下がったけど、私たちは愛を手に入れた。愛の力は偉大だと偉い人も言っていた気がするし、ここからまた二人で再スタートを切ってやる!

 ただし、いかんせん先立つものがない。 一昨日ルークたちから奪った大量のゴールドは、奪い取られてしまったし。


「よーし、ひとまず街に戻って誰かに泣きつくぞー!」


「え……? お、おー!」


 私と、契りを交わしたミルクちゃんは仲良く街へと帰還したのだった。

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