《7》10代のママごと(4)



【とまあこんな感じで他の女の子たちとも関係を持っていきます】



「晩ごはん食べてく?」

帰り際に彼女が訊いてきた。

「いや家で用意してると思うからやめとく」

「そう」

居間を出て残念そうに先を歩いていく。

「また休みがきたら来るよ」

「その時はゴールデンウィークだよ」

「あーゴールデンウィークは休めないかもな」

「私もあまり激しいのは無理だし」

「二度目は比較的安定してるって聞くけど」

「それは出産の時の話」

「そっか」

そこで話が途切れた。玄関まで来て靴に履き替えてると不安げに彼女が見上げてくる。

「ね。新しい家族には馴れた?」

「そこそこかな。君との関係が関係だからあまり子供の方にはこっちから近づかないようにしてるけど」

「手を出しそう?」

言われた彼は彼女を見る。

「正直迫られたら危ないかもなあ」

「ふーん。可愛いんだ」

「五人姉妹だよ。勝てるわけないし、第一向こうが相手にしないよ」

「知ってる?子供を大事にしてくれる男性って大人でもなかなかいないんだよ?」

「ぼくは大事にする人間だって言いたいの?」

「私、男の子を見る目だけはあるつもりだけど?」

「じゃあ君も知ってるかな。ちゃんと先のことを考えて生きてる女の子だって大人でも少ないってことをさ」

「それ、私はちゃんと先の事を考えてるってことだよね?」

「普通、ちゃんと先の事考えて子供を作ろうなんて結論出す中学生なんてどこにもいないよ」

「でも妊娠させた女子中学生とちゃんと寄り添って産まれてくる子供の事まで考えながら一緒に生きてくれる男子中学生なんてもっといない……」

「結局、元凶はおれか」

「この女ったらし」

「それはよく言われる。でも俺があの時仲良くしてた女子って南さんぐらいだと思ったけど」

「この鈍感」

「まさか……他にもいたの?」

「知りません。他の子なんて」

「え?いや、いたか?うん?」

一生懸命に頭を捻っていると足が飛んできた。

「うわ。ごめん、じゃあ帰るよ」

「待って」

「うん?」

「ネクタイ弛んでる」

少女の手が伸びて襟とネクタイを整える。

「公立にネクタイやブレザーのある高校あってよかったね。こういうの夢だったから」

それは中学時代のささやかな彼女の要望だった。

「なら頑張った甲斐あったな」

そしてその手が首筋へ伸びる。

「いってらっしゃい。あなた」

離れたキスが後ろ手を組んではにかんでいる。

「お早いおかえりを」

その姿にエプロンがあれば完璧だと思った。



―次回―


しかし彼は連休の前に奪われる。彼女の声の届かぬ先で……



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