第36話論功行賞
天正元年11月末 岐阜城大広間
「これより論功行賞を行う」
「「「ははー」」」
重臣達が平伏した。
「まず、こたびの戦において手に入れた地は朝倉の越前、浅井の北近江だけにあらず。フロイス師の呼びかけにより、機内全域、北陸の一部、中部の一部、四国の一部、東北の全土から儂に忠誠を誓う誓紙と人質を得ておる。また、フロイス師は金ヶ崎におけるしんがりを見事に務め、精強無比な浅井氏をほとんど調略のみで攻略して見せた。今回の勲一等はフロイス師で異存ないな?」
信長様は地図を広げ、織田の勢力下になった地域を扇子でしめす。
「「「ざわざわざわ」」」
っと周囲がざわめく。
無理もあるまい。
小谷城を無血開城させただけでなく。戦いもせずに調略だけで得た勢力圏の広さは、筆舌に尽くしがたい。
現代の地名でいうと……滋賀の一部(北近江)、京都、兵庫、大阪、奈良、和歌山、三重、愛知の一部(尾張)、岐阜、福井、石川、富山、愛媛、高知、青森、岩手、秋田、宮城、山形、福島
同盟者たる徳川家康殿の所領も加えるとその勢力圏は愛知県全域と静岡県の一部も含まれる。
俺は小谷を開城させてから、朝輝教の教主の座を堯俊から譲り受けた。そして、朝輝教教主の名において各地に信長様にあてた誓紙と人質を出して忠誠を誓うように書状を書いたのである。
これらの書状の返事が届くのを待っていたので、小谷城を無血開城させてから論功行賞が行われるまでに2月以上の時間を要した。
調略成功の鍵は浅井・朝倉両氏に壊滅的な打撃を与えたことで、朝輝教の脅威を天下に轟かせたことにある。
特に小谷城を無血開城させた俺の策――四面近江舟唄は衝撃的だったようだ。
10000人近くの兵が寝返った上に、かつての主君がこもっている城の周りで地元の舟唄を大合唱するという、非情なのか有情なのかよくわからない命令に嬉々として従ったのだから。
すでに朝輝教が広まっていた地域は朝輝教によって自国が脅かされるのも恐れ、領主自らも朝輝教に入信した上で信長様に忠誠を誓った。
一方、朝輝教がさほど広っていなかった地域は、逆に自分達の支配権が脅かされるのを恐れ、朝輝教を信じることおよび天照女神像の売買を厳しく禁じ、禁を破ったものは重罪としたのである。
これにより敵・味方が明確となり、天下布武へ向けた進行は史実より10年分くらい先に進んだことになる。
「よって、フロイス師には浅井旧領のうち、伊香郡・浅井郡・坂田郡の三郡と伊賀と伊勢を与える。そなたの申し出どおり、領国の開発をすすめて富国強兵策をはかるとともに、国友村と九鬼水軍を傘下にして鉄砲の強化・大砲の開発・大型船の開発に努めよ」
貫高にして15万9千貫。石高に換算すると79万4千石におよぶ所領である。
「ははっー」
国友村に九鬼水軍か。新兵器の開発を期待されているわけね。さて、何を作ろうかな??
「あーそれから……嫁をやろう。キリスト教の宣教師は結婚することができないが…
信長様がぶっきらぼうに言った。
還俗?キリスト教の宣教師を辞めて結婚できるようにしろってこと??
あと嫁っ⁉︎
そんなこと、事前に聞かされてないんですけどっつつ?本人は了承済みってどゆこと??
……………………………………………………………
ルイス・フロイス
主君:織田弾正忠信長
所領:北近江の一部、伊賀、伊勢
石高:79万石
役職:軍師兼鉄砲奉行
官位:無し
直臣:大島甚八、神子田長門守、堀太郎左衛門、前田慶次、山内伊右衛門
裏家臣:堯俊、千代、林道乾
動員可能兵数:2万人
忍び:伊賀全域と甲賀の忍びの一部
協力者:帰蝶、斎藤新五郎(麾下の加治田衆も含む)不破市之丞、その他の美濃衆、木下藤吉郎(麾下の川波衆や竹中半兵衛等も含む)、前田又左衛門、佐々蔵之介、丹羽五郎左、今井宗久など
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