第199話 ファイアゴーレム戦
石造りの体全体から火を吹き出している亜種ゴーレム。ファイアゴーレムといったところだろうか?
だって、リィンがスイッチを踏んだら、地震が起こって、
どう考えても、あれの出現原因は私達だ。
避難している火鼠が戻ってきて生活できるように、あれを排除しなければならないだろう。
「装備は火鼠対応だったから、丁度いい。武器も持ったな?」
マルクの言葉に、皆んなが頷く。
「次。ベースが石造りのゴーレムってことは、恐らく体を破壊した中に核となる魔石があるはず。それを破壊する。……いいな?」
再び、皆んなで頷き合う。
「デイジーは一回土魔法で破壊を試みてくれ。そうしたら、一斉に皆んなで攻撃して、お前からヘイトを逸らす。リーフ、デイジーを乗せて追いつかれないように守ってくれ」
「「「「はい!」」」」
「「はい!」」
「ピィー!」
メンバー全員と、レオン、リーフ、ティリオンが同意する。
「行くぞ!」
皆んなでU字谷に姿を見せる。
「
私が先制で、魔力を練り上げ、ファイアゴーレムのいる下の土に命じる。すると、地面を突き破って楔状の太い岩が何本も生え、あっさりとファイアゴーレムの体を粉々に破壊した。
……あ、これって、
一瞬ファイアゴーレムの火が消え、その体は複数の石塊になって宙を舞う。
そして、その中に、
「なっ! またこのパターンか!」
チッと舌打ちをしながらマルクが叫ぶ。
こうなると、『核がどこにあるか』を探さないと、延々と戦いは続き終結しない。
そして、思ったとおり、宙に散った石塊は再び集結して、ゴーレムの体を形作る。そして、完成すると、再びその体から炎が噴き出す。
復活したファイアゴーレムを前にして、私達皆んなは、策を求めて立ち尽くした。
そして、そのままでは許してくれなかった。
攻撃をした私に向かって来ようと、ファイアゴーレムが一歩前に足を踏み出したのだ。
アタッカー達が一斉にヘイトを逸らそうと、火傷を覚悟の上だろう、攻撃に転じた。
私は、リーフの足でファイアゴーレムから距離をとりながら、必死に頭の中で考えていた。
……どうしよう。この間のように氷を溶かすという方法では探せない。
そう、ここは左右の高い崖に挟まれた谷の中だ。
あるのは、鉱石ばかり。
……ん? 鉱石って、石、土属性のものだよね?
ふっと私は思いつく。
そうであれば、リィンのお供の土の妖精さん達って、その中から異物を見つけることはできないのかしら?
「ねえ、リィン!」
「なんだ!」
「あなたの、土の妖精さん達って、この岩だらけの中から、それ以外のものを見つけることはできない?」
すると、リィンが私の方を振り返って、オッケーと親指を立てる。
「デイジー! 出来ないか、聞いてみる!」
「レオン、少しあれから距離を取ってくれ!」
「承知しました!」
リィンの要請に従って、彼女を乗せたレオンがファイアゴーレムから距離を取った。
レオンが足を止めると、リィンが祈るように目を瞑る。
「土の妖精達……! 力を貸してくれ。この一面にある岩の中から、『鉱物じゃないもの』。魔石を探してくれ!」
そう叫んで、かっと目を見開く。
それに呼応するように、ポコポコとタケノコのように、黄色い小人の姿の妖精さん達が生えてくる。
「ええよー」
「ワシ達、リィンちゃんのこと、手伝うぞ〜」
「ドワーフの姫がお呼びじゃぞ〜!」
「ほりゃ、御方の愛し子様がワシらに手伝いを願っておられる。隠れておらんで出てこんか〜!」
そんな事を言いながら、石壁の中から、地面から、さらに沢山の妖精さん達が現れた。
そして、主に獲物のリーチが長いマルクが、ファイアゴーレムを先へ進ませないよう防衛を請け負う。そのヘイトをさらに散らそうと、時折レティアとアリエルが攻撃を仕掛けていた。
そんな中、妖精さんが、あっちの壁を覗いたり、地面に潜ってみたりして、魔石を探してくれていた。
「ポーション弾!」
私は、時折強く噴き出す炎で火傷を負ってしまうマルク達を回復しながら、魔石が見つけるのを待った。
すると。
「あったぞい〜!」
どこか遠くで声がした。
妖精が見える、私とリィンとアリエルが、その声の主を探す。
私達がいつまでも発見できずにいると、リィンが踏んだ罠のあった洞穴の向かいから、ひょっこりと顔を出している妖精さんが一人いたのだ。
「ここじゃぞい。この奥に、あるぞい」
そう言って、手招きをしている。
一番そこに近かったリィンがその中に駆け込んでいく。
そして、「おりゃあーー!」と叫びながら、ハンマーで洞穴の奥の壁を壊していく。
壁を破壊することしばらく。
「見つけた!」
リィンの高揚した声が聞こえた。
「手間かけさせやがってーー!」
その声とともに、ハンマーが叩きつけられる音がした。
すると、ファイアゴーレムがぴたりと動きを止めた。
そして、炎が次第に収まり、やがて消え、その体を構成する鉱石がボロボロと崩れ始めた。
「やったか……!」
防戦一方で凌いでいたマルクにも明るい笑顔が戻ってくる。
ファイアゴーレムは、最後には石塊の山となって、消滅したのだった。
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