第171話 聖炎シリーズと再びのマリリンさん

 リリーと宝石作りなんかをして過ごしている間に、本来の目的である武器たちもリィンの工房で出来上がった。

 対象は、マルクのハルバード、レティアの剣、リィンのハンマーだ。

 今回、ドレイク退治を目的とした装備作りで、ようやく『火属性の最大威力の武器』作成が達成できたのだ!これで、防具も揃えば最終目的の『氷属性の最大威力の武器』の素材を入手しに行って、最後に『火鼠の皮』の入手に行く。

 まだまだ折り返し地点に近くない? とかは聞かないでちょうだい!


 ……長かったわ!

 そして、出来た素晴らしい火属性の武器たちがこれよ!


【聖炎の槍斧】

 分類:武器

 品質:高級品

 レア:A+

 詳細:炎属性と聖属性のミスリル製の魔法剣ハルバード。基本ダメージに炎属性の追加ダメージ三十%追加、聖属性ダメージ三十%追加。

 気持ち:邪悪なものは俺が焼き切って浄化してやるぜ!


【聖炎の剣】

 分類:武器

 品質:高級品

 レア:A+

 詳細:炎属性と聖属性のミスリル製の魔法剣。基本ダメージに炎属性の追加ダメージ三十%追加、聖属性ダメージ三十%追加。

 気持ち:我が聖なる炎に消えるがいい!


【聖炎のハンマー】

 分類:武器

 品質:高級品

 レア:A+

 詳細:炎属性と聖属性のミスリル製の魔法剣ハンマー。基本ダメージに炎属性の追加ダメージ三十%追加、聖属性ダメージ三十%追加。

 気持ち:邪悪なものは俺がぺっしゃんこに成仏させてやるさ!


 基本ダメージを百%とすると、火属性ダメージが追加で三十%加算、そして、聖属性ダメージがさらに三十%追加。合計で、百六十%のダメージを与えられるようになる(属性耐性を持っていない場合)。

 さらに、火属性と聖属性が苦手な敵、たとえばアンデッド系だったら、火属性ダメージと聖属性ダメージが二倍程度になるはずだから、二百二十%。単純計算で二倍のダメージを与えることができるようになるはずなのよ!

 まあ、打撃ダメージを与えられない敵だったりすると、基本ダメージ分の威力は減るけれどね。


 リィンが盛んに「アンデッド系ダンジョンに試し撃ちに行きたい!」と言っていたけれど、それは寄り道だからと言って、マルクに宥められていた。


 そして、炎属性のダメージを軽減する革装備達がアトリエに届き、双子のララさんとルルさんが糸を紡いで機織りして反物にしてくれたものもアトリエに届いている。

「まずは、次の『永遠の氷穴』に『万年氷鉱』を取りにいく前に、服の採寸をお願いしておいて、服を縫製しておいてもらおう」

 と、マルクが提案するので、それに皆で賛同した。

 そして、嫌がるマルクを引きずって、マリリンさんの店に久しぶりに顔を出すことにしたのだ。

 ……だって、女物しか作れないってことはないわよね?

 マルクには、マリリンさんに服を作ってもらいたいという女性陣の犠牲になってもらうことにした(だってまとめて注文した方が効率がいいじゃない)。


 真っ白な反物を抱えて、聖獣達含めた私たちみんなで、マリリンさんの店へと移動する。

「「「こんにちはー!」」」

 私とリィンとアリエルが元気よく店の入り口で声をかけた。

「お嬢さんたち、イラッシャァーイ! また来てくれたのね♡」

 店の奥から、マリリンさんの大きな体が姿を表した。

 だが、ん? と彼は首を傾げた。

「今日は男のコもいるのぉ?」

 マリリンさんの視線がマルクに行くと、マルクの体がビクゥゥッ!と跳ね上がる。


 ……警戒しすぎじゃないかしら。


「あらぁ。そんなあからさまに警戒されたら、マリリンの繊細なハートに傷がついてしまうわ、ボーイ?」

 マリリンさんが芝居がかった仕草でよろよろと店の入り口にもたれかかる。

 その芝居を見て、真面目なマルクは慌ててマリリンさんに謝罪をしようと駆け寄ろうとする。


 と、ちょうどその時、店の入り口から、彼の奥さんが姿を表した。

「あなた、男性のお客様を必要以上にからかわないでください!」

 マリリンさんを叱りつける奥さんの言葉で、駆け寄ろうとしたマルクの足が止まる。

「お客様、『私の主人』が、悪ふざけをして怖がらせてしまってすみません。彼は、『そういう意味では』男性に興味はありませんから、ご安心ください」

 そう言って、一度、キッとマリリンさんを強く睨みつけてから、マルクに視線を戻して、にっこりと優しげな笑顔を浮かべた。


「エレノアちゃん、そんなに怒らないで〜。久しぶりの男性のお客様だったし、いい反応をしてくれるから、ちょっと悪戯心を起こしちゃっただけじゃなぁ〜い」

 しゅーんと、して、エレノアさんというらしい奥さんの周りをくるくる回ってご機嫌を取ろうとするその姿は、フレンドリーな大型犬が尻尾を下げて主人に謝る図、と言ったところかしら。


 ……尻に敷かれていそうだわ。


 結局、私たちは、全員エレノアさんに採寸をしてもらって、反物を預けて必要な衣類製作に入ってもらったのだった。

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