第1話・Cパート
[L-11・南の丘・家屋付近・地上]
[座席に箱を置く音]
プレイヤー1「・・・」
分隊長の男が山の方向を見つめる。
女兵士が家のドアを閉める。
[女兵士の足音]
プレイヤー2「航空隊の爆撃が停止しました。現在交信不能」
分隊長の男が助手席のドアを閉める。
[ドアが閉まる音]
プレイヤー1「残っている砲弾は?」
プレイヤー2「3つです」
プレイヤー1「そうか。分かった」
[無線のボタンを押す音]
プレイヤー1「チーム、ニューイヤー。トラックに集まれ、撤退する」
無線1・2・3「了解」
反対側の家屋から中間の開けた草原に発煙筒が投げられる。
[破裂音・煙幕が周囲に広がる]
分隊長の男は小銃を持ち、家屋の角まで歩く。
角から小銃を構え、銃下部レールに取り付けた発射器の引き金に指をかける。
山の方向に構えると、右手で左肩に付いた無線のボタンを押す。
プレイヤー1「よし、来い」
[発射音]
発射器から擲弾が山の方向に飛んでいく。
煙幕の中から3人の兵士が列を組み、小走りで分隊長の男の方に向かってくる。
[複数の足音・金属と紐が擦れる音]
3人の兵士を煙幕越しの太陽の光が照らす。
[足音・荷台の止め具がかかる音]
兵士達は分隊長の男の後ろまで走り、列最後の兵士が分隊長の男の肩を叩く。
分隊長の男は小銃を下げ、兵士達の方を向く。
プレイヤー1「ローバーは運転、スナイパーとコレスポンドは荷台に。エンジニアは私と来い」
兵士達「了解」
兵士二人と女兵士が運転席や荷台に向かって歩き出す。
分隊長の男は家屋一階のドアを開け、中に入っていく。
兵士の一人がその後ろをついてドアから中に入っていく。
[足音]
室内の階段裏には四つの死体と砲弾の箱が一つある。
分隊長の男と兵士は箱の近くまで歩き、兵士が背中のリュックを床に降ろす。
分隊長の男が箱のフタを外し、床に置く。
[リュックのファスナーを下げる音]
兵士がリュックから組み合わされた爆弾を取り出す。
プレイヤー1「起爆は?」
プレイヤー4「無線が安全ですが、確実なのは有線です」
プレイヤー1「分かった。とにかく時間がない。お前は導線を頼む」
分隊長の男がリュックの中から巻いた導線を取り出し、兵士に渡す。
プレイヤー4「しかし、爆弾は私が」
プレイヤー1「このタイプは知っている。お前は線を確実に繋いでくれ」
プレイヤー4「了解です。設置場所はこことここ。終わったら呼んでください」
プレイヤー1「あぁ、行け」
兵士が爆弾を床に置き、爆弾から延びている導線を手元の導線と絡ませる。
[家屋が揺れる音・天井から埃と破片が落ちてくる]
兵士が天井を見上げる。
プレイヤー4「爆撃が再開したみたいです」
プレイヤー1「いや、この音は違う」
プレイヤー4「え?では何の」
プレイヤー1「落ちた音だ」
プレイヤー4「・・・」
分隊長の男が爆弾に付いているテープを外す。
プレイヤー1「急ぐぞ」
[L-9・山腹付近・上空]
[エンジンの回転音・機体の翼がきしむ音]
操縦手がコックピットのボタンを押す。
航空隊無線1「こちらバード1、バード2がやられた。敵は追尾機能のある弾薬を使用している。敵はタイプCだ。繰り返す、敵はタイプCだ」
[機体の横を弾がかすめる・銃声]
機体の下、地上には黒煙が上がり、その中でグライダーの残骸が燃えている。
操縦手が桿を強く握り、手前に引く。機体が上昇し、エンジンのプロペラの回転が速くなる。
[機体に風が当たる音・翼がきしむ音]
操縦手の座席が振動で揺れる。
操縦手「くッ、、、」
[機体がきしむ音・警告音]
グライダーは上空からの向かい風に煽られ、翼を左右に揺らしながら上空に向かう。
操縦手「あぁぁぁぁぁっ!」
[操縦桿が戻る音・エンジンの回転が収まる音・警告音]
[座席のクッションを踏む音、金属音]
操縦手は後部座席に身体を乗り出し、銃手が抱えていたリュックに手を掛ける。
リュックから爆薬を取り出すと片手で操縦桿を握り、再び手前に引く。
[警告音・操縦桿が戻る音]
足場に置いた爆薬を左手で掴み、右手でコックピットのボタンを押す。
操縦手「バード1からジャニュアリーへ。俺達ではもうダメだ、今すぐに退避しろ!」
エンジンの回転が弱まり、速度を落としていく。
[支柱が揺れる音・警告音]
操縦手はコックピットのボタンから手を離すと、右手で操縦桿を掴み、右下に傾ける。
機体は右に傾き、上空で縦に半回転する。
半回転した機体は速度を落とすと、機首が下に下がる。
[強まる風の音・翼の折れる音]
機体上部に付いていた翼の先端が折れ、破片となった先端が上空に舞う。
操縦手は左手に掴んだ爆薬の左側面を手で探る。
爆弾の側面には小さな金属製のレバーが付いており、操縦手の左手の親指がレバーを上げる。
[電子音]
爆薬の上部に付いたランプが赤く光り、点滅を始める。
左手で爆薬を掴み、膝の上に乗せると左手を爆薬から離して桿を握る。
操縦手は両手で桿を掴んだまま前かがみになって頭を上げる。
山腹の一角には発射炎の光が見える。
操縦手「・・・・・・よし」
操縦手は桿を手前に引き、点滅を続ける爆薬を膝と腹で挟むように抱え込む。
[エンジンの回転が上がる音・強い風の音]
ペダルを強く踏み、桿を引いた両手に力を込める。
機体は激しくきしみながら山腹に向かって落下していく。
[支柱が外れる音・連続した銃声]
山腹から機体に向かう銃弾は機体の翼や支柱に穴を開ける。
[警告音・風の音]
機体は山腹に向かい、速度を上げる。
操縦手は抱え込んだ爆薬を見つめ、操縦桿を前に押し込む。
[エンジンの回転が上がる音・強い風の音・警告音]
翼のフラップ部分がきしみ、亀裂が入る。
操縦手は操縦桿を押し込みながら、黒煙が上がる家の方を見る。
操縦手「・・・・」
山腹に目を戻し、桿を握った手に力を込める。
[警告音・電子音]
山腹から機体に向かう銃弾の曳光は数を増し、支柱が次々と外れる。
[電子音]
手元の爆薬に付いた電光掲示に数字が表示され、秒を刻んで減少を表す。
機体の前方、コクピットのガラス越しに地表の植生が見える。
操縦手が植生の中を前方に駆ける兵士を見つけ、コックピット横付けのレバーを手前に引く。
[破裂音・エンジンの回転が上がる音]
エンジンから煙が上がり、機体は速度を上げる。
地表の兵士は機関銃を抱えたまま、機体の前方を走る。
[低いプロペラの回転音・駆ける足音]
最後の支柱が外れ、翼の右半分に亀裂が走る。
機体は左に大きく傾き、半回転して急速に落下する。
[電子音・鉄がちぎれる音]
翼の半分がめくり上がり、骨組みが風圧で外れる。
コックピット足場のすぐ下には木々の枝が見える。
操縦手は前方を走る兵士を睨む。
兵士は深い傾斜の前まで来ると、かかとで地面をえぐって止まる。
上半身を反対に捻り、機体に機関銃を向けて引き金を引く。
[肉を貫く音・銃声]
操縦手「・・・・ッ!」
[激突する音・電子音]
機体は翼の半分が木に激突し、右回りに回転して地面に衝突する。
地面に衝突した機体からはいくつかの部品が宙に舞う。
[電子音・爆発音]
機体は一瞬強く光り、激しく爆発する。
爆発の衝撃波は付近の木々を吹き飛ばし、土や草が火柱に混じって高く跳ね上がる。
[L-11・家屋2F・遠方から響く爆発音]
爆発の振動で家屋の壁や床が微かに揺れる。
分隊長の男は顔を上げ、音の方を見る。
砲弾先頭のピンの輪には人差し指がかかっている。
プレイヤー4「今の音・・・・」
プレイヤー1「・・・・あぁ」
砲弾は階段の上に半分せり出すように置かれている。
分隊長の男はピンの輪にかけた人差し指に力を入れ、引っ張る。
[ピンが抜ける音・金属音]
砲弾の先頭からピンが抜かれる。
分隊長の男と兵士は砲弾からゆっくりと離れ、階段を降りる。
階段下に置かれた2つの砲弾には、表面に爆薬が貼られ、爆薬から延びた導線が裏口の外まで続いている。
[階段を降りる音]
兵士と分隊長は裏口から外に出ると、トラックの荷台に乗った二人に声をかける。
プレイヤー1「出発!」
[L-10・山腹・地表]
激しく燃える木々とプロペラ機の残骸が動き、上方に飛ばされる。
[奇声・金属が落ちる音]
残骸の中から赤焼けの人間が現れ、火と煙の中で立ち上がる。
[火の燃える音・荒い呼吸の音]
赤焼けの人間は手に握った容器を頭上に上げ、その手で筒状の部分を握り潰す。
[ガラスが割れる音]
容器からは黒い粉が落ち、口の部分にかかる。
[吸い込む音]
赤焼けの人間は奇声を上げ、その場に
[地面を蹴り上げる音・強い風の音]
赤焼けの人間は地面を蹴り上げ、高く飛び上がる。
人間の背中を陽が照らし、空中の風が人間の体に強く当たる。
肋骨が皮膚を突き破り、体外に露出する。
[甲高い奇声]
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