第13話:隻腕の無能力者
「来い、無能力者」
さて、どう試合を組み立てていこう
「こねえのか?じゃあこっちからいくぞ」
そうしてくれた方が僕的には楽だ
「千鳥ィッ!!」
で、電撃?!
「お前、本当に無能か?たまたまならまだしも今のを読んでよけてるなら、デタラメだぜ」
この人も絢辻さんと同じ電気や雷の異能だったのかっ
「無能って言っちまったが、やっぱ会長が言うだけのことあったわ、今度はお前からこい」
縮地は使えない...だけど接近戦に持ち込めればどうにかできるか...?
「ハァッ!!」
「なんだ?そんなの当たらねーぞ」
ダメだ、影法師で近づこうとしても影となる矢崎先輩の異能は細すぎて遠近法を使ってもその影に入ることはできない....
「オラァッ!!根性見せろ早乙女っ!!!」
「クッ...!!!」
こんなのまともに避けていたら足がもたないぞ、けど避けなきゃ電撃による火傷で決勝に支障が出る...いや、全力でぶつからなきゃ、腕がもげようと足がもげようと、勝利には変えられないっ....!
「ハァッ!!」
「甘いぜ、一年」
クッソ...やけになって入り込んで左腕に攻撃を受けてしまった、痛い...けど...まだ負けてない
「ハァッ!!」
「同じ手じゃ身が持たねーぞ早乙女ェッ?!」
これは同じ手じゃない、さっきは刀で矢崎先輩自信を狙ったけど、今回はあの千鳥とかいう攻撃に向けたヤイバだ
「ウッ...!」
「バカがお前?!金属である刀が電気を通すことぐらい知ってんだろ?!」
知ってる、けどこれで、攻撃をするのに邪魔なものは無くなった...!!
「グハッ...テメェ頭おかしいだろ?!」
「そうかもしれません...けど僕にはこれしかないんです!決めさせて貰います!!」
あの異能を発動するには少しタイムラグがある、2秒、いや3秒、その間に打ち込めば!!
「決める?!ふざけんなっこっちだって負けられねーんだよ!刀で電気を受けれても頭ではどんな化け物でも受け流せねーだろっ!!!」
「分かってましたよ矢崎先輩...貴方が土壇場でタイムラグを縮めてくるのも、そして接近したら頭から電撃を落とすのも!!」
刀を振りかざす時間はない、ならこれで....!
「グハッ....!!刀の...柄だと....」
「これも一つの剣です。」
刀を振りかぶって斬る時間がないなら、こうするしかない。
「試合終了〜!!勝者早乙女選手〜!!大会屈指のダークホースがまた勝利したー!!」
ふぅっ、良かった....
「つかさっ!」
「早乙女君!!」
これで決勝に行ける....
「お前その手....おい!早く救護係を呼べ!早くしないと手が使い物にならなくなるぞ...!」
手....?あぁ、矢崎さんの千鳥を受けたから。
「師匠...勝ちました」
「早乙女君、今は喋らないでっ!!」
皆んななんでそんなに...そんなに僕の手は酷いのか....?って、えぇーー???!
「こ、これ、治りますかね...」
「私が分かるかそんなことっ!!あんなのまともに手で受ける奴があるか!このバカ弟子が」
なんか、火傷が酷すぎて僕の手がゼリーみたいに....
「司、い、いたくねーのか?」
「あぁ、蓮二、痛みには慣れてるから」
この状態で痛くないって、僕は山で師匠にどんな酷い修行を受けてたんだ?師匠にゲンコツされた時の方が痛いような....
「とにかく冷やせ!医務室行って決勝まで冷やしてろ!小娘、ついていってやれ、私は少しさゆりちゃんに話があるからな」
師匠、理事長に決勝は辞退させるとか言ってないよな...でも決勝まで冷やしてろって言ったしそれはないか....
「あの、すみません、この怪我って治りますか?ていうか元に戻りますか?」
「き、君、本当に痛くないの?」
もう痛いフリでもしようかな、僕より救護の先生の方が真っ青な顔しちゃってるし....
「あの、それより治りますかね?」
「はぁっ....治るとは思うわ、でも治る前にもう一度、攻撃を受ければもう元には....」
そうか...じゃあ決勝では片手で戦わないと。
「ワァーーッ!!!」
この歓声嫌な予感が....
「ど、どうしたの夜咲さん?」
「絢辻会長たちの試合もう決まってしまったわ、開始3秒で会長の圧勝....」
てことはインターバルはもうないって事か。
「あの!僕の手包帯でぐるぐる巻きにして下さい!多分そうすればもう戦えます!」
「貴方本当に言ってるの?!魔力で自動治癒できる異能力者とは違うのよ?!バカなの?!」
そうは言っても決勝、始まっちゃうし...
「一応、魔力処置は終わっているから、これ以上傷が開くことはないとは思うけど....」
「行かせてください、僕の夢のために。」
こんな事で諦められない。
「分かったわ...私を恨まないでね」
「はいっ!!」
恨むもんか、逆に先生に感謝しなきゃ
「私も止めないわ、けど、勝ちなさい」
「夜咲さん....ありがとう」
僕は僕自身のためだけでなく、もう周りのためにも勝たなきゃいけないんだ
「これで良しっ、行ってきなさい!」
「はいっ!!」
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