悪魔アンドラス その4
海の向こうから朝日が昇ろうとしている時間。
段々と明るくなる中、アンドラスが上空を旋回するとベルガモの街の結界の綻びが見える...海沿いの辺りだ。
『そこか!』
とアンドラスが結界の綻び部分へと向かう途中だった。
何処からか閃光が放たれ、アンドラスの右側の羽根を撃ち抜く。
『ギャアアア!』
アンドラスはそのまま飛ぶ事が出来なくなり墜落する。
撃ち抜かれた羽根の付け根にはポッカリと穴が空き、ジュウジュウと黒い霧の様なものが漏れ出る。
『何だ?何が???』
砂浜に倒れ込むアンドラスは身を起こそうとする、羽根を修復して再度結界の綻びへと思った瞬間、今度は左側の羽根に閃光が貫き穴が開く!
『ギャアアア!』
両方の羽根をやられ黒い霧が漏れ出ながら苦しむアンドラス。
「いやぁなかなかの威力ですね、想定していたよりもダメージを受けてる」
薄明かりの中、砂地を歩いてやって来る司祭服の男。
『その紫色の瞳...彼の神の僕か...フェネクスめ...失敗したか』
アンドラスはその司祭服の男の方を向く。
少し癖のある茶色の髪は短めで整った顔立ち、そして特に印象的な切長の目でアメジストのような深い紫の瞳、その手には銀色の狙撃銃が光っている。
「フェネクスは滅びましたよ、まぁ貴方もおんなじ目に会いますがね?」
『何っ?ふざけおって!貴様が彼の神の僕でなければ贄にする所をっ!!!!』
アンドラスの両羽の形状が変わり太い腕へと変化する。
猛禽類の形状から半分人型へ姿を変える...まるでフクロウと人が合体した様な姿へと変わっていく。
「ジョナサン!結界構築お願いします!マキシム!行きますよ!」
『了解!』
「応!」
ジョナサンは周囲に広く結界を張り巡らせ、マキシムは大盾を持ってディビッドの元へ。
「我は神より遣わされし『白の射手』ディビッド ザイオン バーレ!因果の元にある悪魔アンドラス、我はお前を撃ち滅ぼし子々孫々受け継いだその因果を今ここで終わらせる!」
狙撃銃からショットガンへと形状が変化し悪魔アンドラスへ銃口を向ける。
その顔つきはいつもの飄々とした顔ではなく神の代理で悪魔を打ち砕く者...上級異端審問官の顔だ。
『貴様ァァァ!この手で引き裂き血祭りに上げてやる!』
アンドラスは威嚇するも、ディビッドは全く動じることなくじっとアンドラスを睨む。
バレンティナを守るため...そしてあの受肉され苦しんだ数世代前の祖先でもあるディビッドに似た男の為の鎮魂の為にも...
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます