悪魔アンドラス その2

シルヴィオは屋敷に入って二階へ上がる階段の下の床を動かすと地下へ続く階段が現れる。


「ギャ!地下室!」


「この下にティナ達が居るので一緒に休んで下さい」


そうシルヴィオはピッピちゃん姿のエステルに言う。


「ギャ!ありがとう!ティナちゃんのお兄さん!」


「いえ...此方こそ...」


どことなく顔が赤いシルヴィオ...あの闇オークションの際に初めて出会った時以降、シルヴィオはエステルの事をずっと密かに想い続けていたのだ。


そこを降りるとすぐに扉があって開けると、バレンティナとアンナとジャンマリオがいた。


部屋は他の部屋より狭いがテーブルやソファーやベッドと一通りの家具も揃っており、3、4人が数日生活するには支障はない。


「ピッピちゃん!」


「ギャ!ティナちゃん!」


バレンティナはピッピちゃんを見て喜ぶと、ピッピちゃんもバレンティナの肩に乗り換えて頬にすりすりとする。


「このような事態が起こった際にと作った部屋が役に立つ日が来るとは」


シルヴィオはそうつぶやく。


「まさか屋敷の改装中にこんな地下室作ってたなんて気がつかなかったよ~」


ジャンマリオはこんな時ものほほんとしている。


「...もう少しだけ緊張感持って欲しいが...」


シルヴィオはため息を吐くも仕方ないと割り切る...父親のそう言う所はある意味美徳でもあるからだ。


「お兄様...」


「ティナ...お前の愛しい『恋人』がきっとアンドラスを倒すだろうから心配しないでも良い...俺はこれから街の状況を確認しに行く...」


シルヴィオはそう言ってバレンティナの頭を撫でてから帽子を取って被る。


その言葉にバレンティナは目を丸くして驚き、ジャンマリオとアンナは「ええ!」とびっくりする。


「お兄様...気づいて...」


「まぁな...さぁて...俺は俺の『仕事』をしねぇとな」


そう言って部屋を出て行く。


階段を上がると数人の術兵士達が待っていた。


術兵士達の中でも精鋭のメンバーである。


「お前達...死ぬ気で屋敷を守れ、特にバレンティナに関しては命にかけてもだ、大切な妹だからだけじゃ無い、あの悪魔に奪われたらベルガモが壊滅する可能性もあるからな...じゃあ俺は指揮に戻る...」


術兵士達は全員頷き、それを確認すると屋敷の外へ...ベルガモ警備兵達、シルヴィオの私兵達の居る施設へ向かう為に外に止めていた車に乗り込む。


現在ベルガモという領地を守っているのはシルヴィオであり、その地を守る為ならば命をかける事を厭わない、シルヴィオは誰よりもベルガモの地を愛しているためだ。


その為にならどんな悪名を持とうが影で言われようが構わない...シルヴィオはそう言う男なのだから。

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