??? その2

「まぁどんなに同じ血が流れてても君と『ディビッド』は全く違う人物だからね、でも美味しいから食べなよ」


と勧められていつのまにか用意されたフォークで切り分け、一口食べると確かに美味しい。


エアヴァルド北部の伝統的なカスタードクリームたっぷりのタイプだ。


いい感じにりんごのフィリングの歯触りも良くサクサクで甘酸っぱいりんごとカスタードクリームがいい感じで丁度良い。


「りんごには回復作用があるから目覚めた時は君は全快してる筈だからね、悪魔を2連続で倒さなきゃならない君への餞だよ」


「それは...ありがとうございます」


「ま、君にはどうしても勝ってもらう必要があるからね」


アップルパイを食べ終わるといつの間にか紅茶のセットも現れる。


「エアヴァルドのおなじみの味だよ、どうぞ」


少女は紅茶をカップに注いでディビッドに渡す。


「では...確かにいつもの香りですね」


確かに良く飲むお茶の味と香りだ、これは欠かせないと国から取り寄せて店でも提供しているくらいである。


「あと忠告しておくけど、確かに可愛い花嫁だろうけどさ、愛し方をもう少し考えるべきだ、君はちょっとわがまま過ぎる」


「そうですか?」


「年長の言う事は聴きなさいな?」


「今の貴女の見た目で言われましても説得力は無いですけどねぇ」


目の前の12、3歳の見た目の少女、確か残されている歴史書には80歳くらいまでは生きてたし、子供も5人は産んではいる筈ではあるが...少なくとも男女間のアドバイスに関しては、いかず後家な姉エステルよりは助言としてはマシだとは思うが。


「一般的な女の子はねぇ、精神的に愛されたいんだよ、身体的ばかりではいつかすれ違うよ?」


腕を組みうんうん頷きながら少女は言う。


「そうですかねぇ」


「君の花嫁はとても優しい女の子だから、君の為にってあんなに華奢な身体で受け入れようって頑張ってるのくらいわかるでしょ?」


その言葉にどきりとディビッドはする。


少し前にバレンティナの命を落としかけた事を思い出される...それでも受け入れてくれた優しいバレンティナ...


「神が引き合わせてくれた子だから、そりゃあ君にとっていろいろな意味で相性は良いだろうけどね...でもいろいろあの子にやり過ぎだ、君の思うままの欲望の捌け口として与えられた訳じゃない、あの子は大切なハイラントの母の1人となる女の子なんだからね」


少女はお茶を飲みながらそう言う。


愛し合う際に最後は快楽に溺れてバレンティナの方からねだってくる事があるのだが、ディビッドがそう仕向けているフシもある、それを指摘された。

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