ジゴロとは心外ですねぇ

朝食はつつがなく済ませたけど...お客様扱いなディビッド達も一緒でヒヤヒヤしっぱなしだったわ...


まぁ一応マキシムさんは王弟でディビッド達はその紹介で出会ったって紹介で旅路も一緒だった話もしたわよ...パパ達に。


「そっかぁ!ティナのお友達でもあるんだ!」


パパはいつもの様に気軽な感じだし、お兄様は面白そうな顔で見てるし...何よりアンナがディビッドを敵視して睨んでるわ...うーん。


「そうだティナ、今日の予定はどうするつもりなんだ?」


お兄様がそう聞いてくるわ。


「そうね、街に出ていろいろ見廻ろうかと思ってるの、久々に海も見たいし」


ちょっと下調べじゃないけどデートするって決めた以上はね、二人で行けたらいいなと思える場所を探そうかしら。


「もし良ければ今日はこの3人フリーなんだ、ついでにベルガモ案内してやってくれないか?」


「え?」


「あ!是非ともお願いします」


ディビッドはとても嬉しそうにそう言うけど...ふとアンナを見ると滅茶苦茶怖い目で見てるわ!


その姿をマキシムさんとジョナサンがなんとも言えない表情で見てるけど...


「お兄様がそう言うのでしたら」


「そうだね!それがいいね!」


パパまでもそんな事言ってもう!


──


お昼過ぎに、ディビッド達にベルガモの街を案内するからとお出かけしたのだけど、アンナが横にいてディビッド達が3人で並んで後ろから付いて歩く感じになっちゃったせいかディビッドが不満そうな顔してるわ...


まぁ『姫様ばぁばも一緒についていきますから!』とアンナがついてきちゃったせいだけど...まぁ久々にアンナとお出かけもいいわよね!


ベルガモは海に面した港街でもあり綺麗なイオーゼ海を一望できるのよね。そして街並みだって色とりどりで綺麗なんだから!


まぁパパがやらかした時は海賊も出たし街の有様も散々だったけど、お兄様が立て直してからそれも無くなりとても街は活気づいて本当によかったと思うのよね。


お店の賑わう石畳の広い道を歩いてるとみんなが笑顔で手を振ってくれるわ!


「お嬢様がお戻りになられた!」


「お嬢様!」


「バレンティナお嬢様!」


小さい頃街のみんなと頑張って苦境を乗り越えて来たから実はほとんどの人とは顔見知りなのよね。


「みんな!ただいま!」


───


「ティナは人気者ですね」


ディビッドはバレンティナが街の人々に笑顔で声をかけられてたりする姿を見てそう呟く。


「バレンティナ嬢は金に汚い銭ゲバだの呼ばれる事もあるけど、元は領地がカツカツになってしまったのを何とかする為に兄妹で必死になってやって来たらしいからなぁ...ベルガモ領は」


「だから人気者なんですね」


そんな事を話してるとアンナが振り向く、とても自慢げである。


「姫様はベルガモの宝なのですからね」


「ええ、バレンティナ様はとても素晴らしい方ですよね」


「だからお前みたいなジゴロが色目を使う相手じゃないのだから、そう言う目で姫様を惑わさないように!」


そうディビッドは笑顔で答えるとアンナはそう厳しく言い放つ。


「ジゴロ...」


ディビッド的にはバレンティナ一筋なのでジゴロだの女たらしと言われるのは心外ではあるが、若い女の子が好む顔立ち故仕方ない所もあるし正直中身だってバレンティナにスケベな事を結構やらかしてるので碌でもないのには間違いない。


「まぁそう言われんのは仕方ないんじゃないか」


マキシムは腕を組みながらそう言う...まぁバレンティナの人気の横では街の女の子達がディビッドを見惚れている姿がそこかしこと...どうしてもその顔は罪作りと言わざる負えない。


そんな中ジョナサンがバレンティナに近づく。


「先生、スザンナさんにお土産買いたいです」


ジョナサンは最近ウルム語ではバレンティナを先生と呼ぶようにしている。


「あ!そうね、じゃあ雑貨屋いきましょ!私もスザンナのお土産買いたいし」


そう言ってちゃっかりジョナサンはバレンティナの横に...弱体化したジョナサンの見た目は13、4歳くらいなのでアンナは大丈夫と思ってかジョナサンが横に来るのは良いらしい。


「くっ...ジョナサンめ...」


「まぁあのメイドがいる内は諦めた方が良いな、ははは」


マキシムは日頃のディビッドの行いも鑑みそう笑った。

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