闇オークション その4
「ではその38番の黄金の貴公子が落札です!」
オークションハンマーが鳴り響く。
「ディビッド...お前...」
「ティナを迎えに行きます...」
そう言って立ち上がると同時に、大きな音と共に扉が開かれる。
「俺のファミリーに手ェ出しやがって、この下衆共がァァァァ!お前ら全員ぶっ殺す!ミンチにしてイオーゼ海の魚の餌にすっぞ、ゴラァァァ!」
シルヴィオの怒号が会場に響き渡る、振り向くとそこには返り血で真っ赤に染まったシルヴィオが立っていた、片手にバールのようなものを振りかざしながら...
───
少し前に遡る...
「ウチのシマ荒らすくらいならなァ...まだ半殺し程度で済ますつもりだったがよォ...俺のファミリーに手をかけた時点で全員イオーゼ海の魚の餌決定だからなァ!この野郎共がァァ!!!」
怒り心頭のシルヴィオは愛用のバールのようなもの片手に振り回し、ソルティーニ子爵の屋敷を守るガードマン達を次々と血祭りにあげている。
返り血を浴びて白いストライプのスーツは真っ赤、赤い髪が更に赤く染め上げる姿は確かに『ブラッディヘッド』の異名を持つに相応しい...
その姿を見て『同窓会』メンバーのダリオや他のシルヴィオの軍事養成学校の同期や後輩...今は舎弟としてシルヴィオの元で働く男達は青ざめる。
シルヴィオは就学時代は父の借金のせいで貴族達が通う学校ではなく、無料で通える平民や下位貴族の子息が通う軍事養成学校に在籍していた。
術士の才能には恵まれはしなかったが、驚異的な身体能力と強い意志とカリスマを持つ男...それがシルヴィオ アルカンタルだ。
養成学校での同期や後輩は自ら望んでシルヴィオの舎弟になり、軍関係に属す者もいれば、ベルガモでシルヴィオの元で働く連中も多い。
その仲間達が集まって、ベルガモ中心とした南ウルム一帯に犯罪行為を行う組織を壊滅させる事を彼らは『同窓会』と呼んでいた。
今回ベルガモで大掛かりな犯罪を行なっているソルティーニ子爵の闇オークションを摘発し、上位貴族の権限を用いてヤキを入れる予定だった。
しかしその闇オークションで人攫いを行う連中が、あろう事かバレンティナを攫ったと言う情報を被害者の少女から聞き、全員殺す勢いでシルヴィオはやって来たのだ。
「流石南ウルムの地下組織を1人で壊滅させたシルヴィオだが...バレンティナの件もあるから今日は更に酷い荒れっぷりだ...」
ダリオが狂気に満ちたシルヴィオを見てそう呟く...そして絶対敵に回したくはないな...とも思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます