少年どころか年上だったわ!
本当ならそのままジョナサンを置いて再度スザンナとお買い物する筈だったのにディビッドが用事があるからって引き止められたのよ...ううむ...
「ティナにはちゃんとした紹介します、こいつは上級異端審問官『黒の天秤』ジョナサン アンダーソン ワイズ、こう見えて賢者の称号持ちなんですよ」
「ええ!だって14か5歳でしょ???」
って賢者の称号!少なくても四大系列の術式を二つ以上マスターしなきゃ手に入らない称号じゃない!
それを14、5歳で持ってるなんて!
「くくっ...まぁそう見えますよね、こいつ一応今年の冬で20歳になるんですよ」
ディビッドは笑いを堪えながら話すわ、ええ?じゃあ私よりちょっと年上???
『何笑ってんだよ』
『ジョナサンどうやら14、5の少年に思われてますよ』
『はぁ???』
『まぁその姿じゃそう思われても仕方ないでしょうけど』
『俺はちゃんとした成人なのに!』
ジョナサンがプンスカ怒ってるわね。
「まぁこの見た目に騙されないでくださいね、ティナ?一応成人男性なので...」
「ええ...」
『ジョナサンもティナに手を出したらどうなるか分かってますよね?』
にこやかな笑顔なのにアメジストの双眸は全く笑ってはいないわね...
『ヒッ!ああ...お前の嫁になんか手を出さねぇよ...それになんかキツそうな子だしな...まぁお前昔っからそんな感じのツンツンした女の子虐めんの好きだったもんなぁ...はぁ趣味悪...』
『は???...今の話ティナにしたらどうなるか解ってますよね...』
ん?なんか聞き捨てならない話が出てきたわね...こうなったら仕方ないわ...
『...ねぇディビッド、その話聞かせて欲しいわね?』
『へ???』
ディビッドがエアヴァルド語で話すと目を丸くするわ...
『まさかディビッドの嫁...エアヴァルド語話せんの????』
『こう見えても公爵夫人になるはずだったのよ、国との付き合いに必要ですもの、ウルム周辺5ヵ国と帝国共通語はわかるわよ...あとジョナサン、貴方ちょっとどころじゃないくらい口が悪いみたいだけど、まさかスザンナに気があるんじゃないでしょうね?あの子はとっても優しい良い子で純朴な上由緒正しい伯爵令嬢、ウルムの貴族令嬢なのよ、貴方みたいな粗暴さを隠すような人と仲良くさせるの私は許さないわよ!』
『ええええ!』
『何驚いてるのよ、当たり前でしょ?傷モノでもなければ普通は同格かそれ以上の貴族と結婚するのが当たり前なのよ!まぁ...できればスザンナには幸せな結婚生活を送って欲しいけどね...』
『...でも俺賢者の称号持ちだし、ウルムの下手な貴族より高い地位になれるぜ』
『でも上級異端審問官だって大っぴらに言えないでしょ?』
『ううっ!』
『まぁ幸か不幸かスザンナはエアヴァルド語分からないし、貴方を年下のお友達としか認識してないみたいだからそのスタンスで仲良くするくらいなら目を瞑ってあげるけど...手を出したら容赦しないわよ、そこのディビッドが!』
とディビッドに指差す。
『え?』
『だって私じゃ賢者の称号持ちに叶う訳ないけどディビッド貴方ジョナサンの弱み掴んでるんでしょ...ジョナサンどこか貴方に怯えてるもの』
『そこまで見抜いてやがる...ディビッドの嫁怖っ!』
ひぇぇ...とジョナサンが身震いする...一体何があったのかしら...
『まぁティナの言う事でしたら大概の言う事聞きますけどね~』
『あとディビッド...さっきの女の子がどうとかって何の話かしらねぇ』
『うっ!』
「ちゃんとした話を聞くまではエッチな事は無しよ!まぁジョナサンがこれから一緒に生活するなら流石にここじゃあ出来ないでしょうけど、私の部屋も忍び込めないようにするから!」
流石にジョナサンに聞かせたくないからウルム語で話すわ!
最近エッチがしつこいし丁度いいかもしれないわね、私の部屋のバルコニーの鍵更に頑丈でちょっとやそっとの事が無ければ外せないのに変えるわ!
「そんな...過去の女の子の話に嫉妬してくれるティナも可愛いですが...そんな...」
「じゃあね、私帰るから!」
「ティナ!待って!」
ディビッドが引き留めようとするもバタン!とドアを閉めてさっさと帰ってしまいましょ!もう!
全く今日はスザンナとお買い物する約束だったのに!
まぁどうしても必要なものは買って帰らなきゃ...今日はお兄様がやって来るのだもの...
───
『ジョナサン...余計な事を...』
ドアをじっと見ているのかずっとジョナサンに背を向けたままだ。
『だってエアヴァルド語あんなフツーに話せるとか知らねーし...ってディビッドお前だって知らなかったじゃねえか!ヒィッ!』
振り向くディビッドの顔の表情があまりにも恐ろしく瞳の紫色が更に赤が強くなっている...ジョナサンはその意味を知っている...知っている故に恐れ慄く。
ディビッドは司祭ではあるが、術士系の血筋故に瞳に赤が宿る...その色は怒りと言った感情で赤が強くなる事があるのだ...
ディビッドは普段は飄々としており大体ニコニコとしている男であるが怒ると怖い...そしてそんな時ジョナサンは大概碌な目にあった事がない。
『ごめん!マジでごめん!!!何でもやるから!例の札の20枚や30枚でも用意するから!!』
『強力な鍵を解錠する道具と認識阻害術の札100枚...あと銃のメンテ...そして何よりティナに取りなすように何とかしなさい...』
『はぁ???100枚???』
『ふうん...私に口答え出来ると思ってるんですねぇ、ジョナサンは...』
何か不穏な空気を感じ取ったジョナサンが真っ青になる。
『ヒッ!分かった!分かったから!!!!』
ジョナサンはとにかく目の前の男を宥める事にばかりで頭が回らなかった...
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