美味しいデザートには目がないのですわ!

『フィオーレ・ビアンコ』は以前流行っていたおしゃれなレストランだったのをオーナーが年齢を理由に辞めて空き店舗になってたけど、そのまま腕のいいパティシエが買い取って初めたお店、内装も白で統一させておしゃれでお店の中は沢山の女の子のお客様で一杯だわ!


お店の店員さんが「こちら空いてますよ」と案内してくれた場所がステキなテラスの席で今日は本当についてる!


店員さんにそれぞれローズアップルパイとフルーツロールケーキ、それぞれに紅茶もお願いする。


「そう言えばティナ、ここのパティシエの1人がすっごいステキな男性だって知ってる?」


「ん?そうですの??」


そう言えばケーキに夢中でどんな方が作っているのかまでは知らないわね。


「そうなんですの!背の高くてスタイルも良くて切れ長の目で珍しいアメジストの瞳で...」


んん???何か記憶にある姿を思い出す。


「すっとした鼻に茶色の髪がちょっと癖があって、でとっても気さくでいつも笑顔ってどうしたの?ティナ??」


「...いえ...何か知っている人物と幾つか共通点があるなぁって思っちゃって...」


『私の花嫁』と言って初対面で口説いてあろう事かキスまでしてきたあのなまぐさ司祭...いやいや司祭っていうか悪魔を倒してる機関に所属してる男だ...確か異端審問官だったっけ???こんな所でパティシエやっている筈ないわよ...うん...


そんな会話をしているうちにケーキが運ばれてきた


「わぁローズアップルパイ!」


綺麗なローズアップルパイ!林檎を綺麗に薔薇の花の様にあしらった上、綺麗なローズピンクで艶やかで、中はたっぷりのカスタードクリームが本当に美味しいアップルパイ!人生でいろいろなアップルパイを頂いたけどここのアップルパイは絶品!


スザンナはフルーツロールケーキをフォークで取り分け口にするとふわっと笑顔になる。


「「美味しい~」」


スザンナと同時に声が出てしまったわ!


「こうしてカフェで仲の良いお友達と美味しいケーキを食べながらゆったりした余生をずーっと送りたいわぁ」


「ふふ、そんな事言って、私みたいなぽっちゃりと違ってティナみたいな美人は直ぐに結婚できるでしょ?」


「そうでもないわよ~、あの阿保の一件で私傷モノにされたんですもの、まぁ何処かの地位とお金のある後妻に入れれば良いと思っているわ」


あの阿保ことエスタバン様の件で私の名前は傷モノにされたのには間違いはないのよねぇ...処女だけど。


「ティナは本当に恋愛や結婚に夢を持たないのねぇ」


「だって愛だの恋だのは飽きちゃったら他所に愛人作るのが常な貴族に夢なんて持てないわよ、それにどんなに美貌があっても歳を取れば失っていくし...所詮お金や地位なのよ!ホクホク成金生活万歳なの、それこそスザンナは?」


「んー一応お見合いは最近増えたわねぇ...ただこのぽっちゃりでしょ?なかなかねぇ」


スザンナはしゅんとしてしまう、全くこんなにふくふくしてて可愛らしいのに!


「スザンナのいい所が分からない殿方なんて無視すればいいわ、こんなに可愛らしくて一緒にいて楽しい娘に勿体ないもの!」


スザンナにはニコニコ幸せ家庭を絶対築いて欲しいわ、私みたいなお金と地位に目の無いホクホク成金生活を目指す銭ゲバ令嬢と違って本当にいい子なんですもの!


それぞれのケーキを楽しみ、分け合いっこしながら楽しい時間がすぎていく。

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