私の花嫁とかキスとかもういっぱいいっぱいよぉ!

「さてお嬢さん、個人的には役得だけどそのままの姿だとまずいですよね」


「え?ああっ!きゃあ!」


そうだ!今コルセット姿のままだわっ!急に恥ずかしくなって胸を隠す様に腕をクロスさせる。


ディビッドは私を下ろして自分の司祭の黒いコートを脱いて肩にかけてくれたので羽織って前を掴んで隠す。


黒いコートの下には防御用であろう黒いレザージャケットを着ており腰に先程使用していた銃を仕舞うためのガンベルト、2丁拳銃のため左右に銃を仕舞うようにダブルホルスタータイプの物を付けている。


冷静になって見てみるとなかなか美形だし背も高いし...地位もなんか高そうだし...ちょっと良いかも...って!いやいや司祭じゃお金無さそう...しかもなまぐさよ!聖職者なんて結婚しても清貧たれな生活強いられそうだわ!


「彼シャツならぬ彼コートも悪くないですね」


ふふ、とディビッドは笑を浮かべる。


「さて、私は隣国エアヴァルドのバーレ領アルトマイヤー寺院所属の上級異端審問官『白の射手』ディビッド ザイオン バーレです...お嬢さん、お名前聞かせて頂いても宜しいですか?」


再度ディビッドは自身を紹介する。


「バ...バレンティナ アルカンタル...ウルムのアルカンタル侯爵家の娘よ!」


一応助けて貰ったし...名乗るくらいならね...


「バレンティナ...ティナ...かわいい名前ですね、貴女にぴったりだ、私の花嫁」


「は?」


そう言えばさっきから『私の花嫁』って連呼してた気がする!


「先程『私に乗り換えません?』て聞いた時『はい』って言ってましたでしょ?」


「は????」


ちょっと...ちょっとまって!えーえーえーあ!『はい?』って疑問系で答えただけよそれぇ!


「わ!私そんなつもりではいって言ってないわ!」


戸惑うばかりで目が回りそう...ううう


「おいディビッド...お嬢さん困惑してるぞ???」


男爵をシャンデリアから助け出し他の異端審問官に託した後でマキシムが加勢してくれた!


「ああ、姉上の預言で言ってた少女ってこの子で間違いないですし、ダンスパーティーで婚約破棄される『生贄の少女』はね」


ぐいっと肩を抱かれてしまう!


「ええ?何よ...???生贄???」


さっきのフールフールに襲われた件のことかしら?


「はぁ...ディビッド...預言者エステル様の言う事は100%当たるが何も知らないお嬢さんに急にそんな風に言われるとお嬢さんが戸惑うだろう?」


マキシムはおでこに手を当ててはぁ、とため息をつく。


「え???預言??」


「ああ、私の姉上なんですが行かず後家な30歳の預言者様でしでね、まぁ言った事が100%当たるんですよ」


「ええええ!」


「よく姉上が言ってました『ディブは22歳の時にウルムで出会う婚約破棄される生贄の娘があんたの花嫁だから絶対に逃すな!』って小さい頃からずーっと言い聞かせられてましてね、可愛い子ならいいなあと思ってましたがこんなにも好みにぴったりな可愛らしい子なんて」


アメジストの双眸がウットリと見つめてくる。


「それが私って事?」


「そう言う事だ...すまないな、お嬢さん...戸惑うかもしれないが間違いなくディビッドの花嫁になるのは決定済みだ、何せ数百年に一度現れる預言者様の預言...外れた試しがない、そこに関しては本当に諦めてくれ...あとディビッド!我らと違って信仰の元にないお嬢さんにそんな事言っても簡単に信じられんぞ?物事には段階って物があってだな」


「???マキシム、姉上曰く『何でも物事は先手必勝』って言ってましたよ、特に今回は悪い虫が付かない内にね」


ディビッドとマキシムは微妙に噛み合わない会話を続けている。


「と言う訳でティナ?本当の所はこのままベッドまで連れて行って口説いて差し上げたい気持ちで一杯ですが流石に今日は無理でしょうからね」


と言ってディビッドは耳元で囁かれそのまま顎をくいっと上げられあろう事か唇にキスをしてきた!し...しかも舌も入れてくるんだけどぉぉぉぉ!!!


「んんんーーーーーーーーっ!」


ただただ色々ありすぎて頭がパンクしてしまったのかそこから先の記憶がさっぱり無くて、気がついたら次の日の昼過ぎ辺りにタウンハウスの自室で目を覚ましたのだった...

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