銭ゲバ令嬢、なまぐさ司祭に溺愛される

野良ぱんだ

Chapter1:Shall We Dance?

プロローグ

「ティナはいつ見てもかわいいねぇ」


そうニッコリと黒を基調とした司祭服(キャソック)を着た男は自作の薔薇のように加工したアップルローズパイに色とりどりなフルーツが入ったロールケーキに艶々のザッハトルテをフォークで一口大に取り分けひょいひょいと私の口に放り込む。


少し癖のある茶色の髪が短め、整った顔立ちと切れ長の目、深いアメジストのような瞳は何故かウットリと私の顔を見つめ、次々とケーキを口に入れていく...もぐもぐ...


美味しい...美味しいのだが何故私を膝の上に乗せて食べさせるのだ...もぐもぐ...美味しい...何?そこら辺のパティシエのケーキより美味しいんだけど...もぐもぐ...


ちなみに決して...決してこの男と恋仲でも婚約相手でもないのだ...しかしロールケーキ美味しい...でも私は地位があってお金持ちな貴族と結婚したい訳で...もぐもぐ...ホクホク成金生活が夢なのに...もぐもぐ...ザッハトルテに懐柔される訳ない...もぐもぐ...聖職者の癖にやたらと口説いてくるこんななまぐさ司祭に心惹かれたりなんて...もぐもぐ...アップルローズパイ美味しい...もしかして私胃袋掴まされちゃう系?もぐもぐ...


そう、それは学園卒業の際のダンスパーティーでの出来事だった...もぐもぐ...まさかこいつとの出会いは...ってちょっとまってお茶!お茶欲しい!!!


ぎゃあ!何で口移しで飲ませようとするのよ!そしてちょっとどこ触ってるのよぉぉぉぉぉぉ!

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