千世子

井上千鶴さま作


【あらすじ引用】

人には言えない過去を持つ居酒屋店主、氷見寛治。


そこにある日突然現れた少女、千世子。


寛治は千代子の不思議な魅力に惹きつけられ、しばらく家に置く事を決めるのだがーー


人は気づくのが罪なのか

気づかせるのが罪なのか


不器用な二人がたどり着く結末を、是非。

https://kakuyomu.jp/works/16816927859703677171

(作品URL)


【物語は】

 主人公が経営する居酒屋にある少女が飛び込んでくるところから始まる。

 それは髪に特徴のある、不思議な少女であった。どこかから逃げてきたようで、放っても置けずしばらく家に置くことにしたのだが。


【この物語から感じたこと】

 まず1万文字に満たない短編であるにも関わらず、読み応えを感じる物語である。そこが非常に凄いと思った。

 登場人物は少ないが、そこに工夫も凝らされている。

 出逢った少女もミステリアスだが、主人公も何か秘密があるように感じた。


 物語の中では、少女言動から主人公が何かを感じ取っているようにも思えるが、それが明かされるのはクライマックスの辺り。いろんなことが繋がり、驚く部分ももちろんある。 

 謎めいた部分をうまく使い、伏線を張り、真相でアッと言わせる作品だと感じた。


【こだわりや、凄いなと感じた部分】

 見せているが分からない部分というのが凄いなと思った。

 計算し、こういう形にしたのだと思うが”謎”に感じるところが多く、想像力を掻き立てる。

 初めは名前を見て、大正から昭和初期くらいを舞台にした物語なのだろうか? と思った。しかし主人公である店主がスマートフォンを使っていることから、ああ現代だなと改めて思う。つまり、タグに現代と書いてあっても時代を感じてしまう名であり、タイムスリップでもしてきたのだろうか? と余計に謎が深まるのである。

 彼女の謎については後に明かされる。


【物語の見どころ】

 少女の言動から、どんな風に恋愛に発展するのか想像し辛い。

 なので、とても先の気になる物語である。

 少女は多くは語ることはないが、主人公が彼女の言動から何かを感じ取っているように感じる。しかしそれを明確に言葉にすることはないため、ホラーに感じる部分もあり。

 彼女の生い立ちや背景については想像しながら、予想を立てながら読むとより楽しめると思う。

 

 そしてクライマックスから結末にかけては予想外の展開が待ち受ける。

 そこにたどり着くまでに少女の気持ちの変化なども伺え、二人の恋の行方がどうなるのか非常に気になる流れ、展開となっている。

 あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか?

 物語のその先も想像して楽しめる作品です。

 お奨めですよ。

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