【連載版】追放された伯爵公子は、超文明の宇宙要塞を手に入れました。 

いつき旧太郎 様作


あらすじ引用

伯爵家の嫡男セツトは、公には病死したことにして、伯爵家を追い出されることになった。

貴族の義務を果たせない役立たずはいらないのだ。


操縦不可能、行き先には何もない宇宙船に放り込まれ、渡されたのはわずか10日分の食料だけ。餓死しろと言われているようなものだった。


しかしセツトは通りすがりの宇宙海賊に助けられ、古代超文明が残した宇宙要塞の起動に成功する。


海賊からは「この要塞を持って伯爵家に戻りなさい。」と言われたが、セツトは伯爵家には戻らず、海賊達と共に行くことを選択した。


これをきっかけに、人類全てをまきこむ大戦争が勃発することとなる。

セツトはその中心に巻き込まれることになるのであった。


【簡単なあらすじ】

ジャンル:SF(宇宙)

伯爵家のに産まれた主人公は、14歳になると貴族として果たさなければならない義務があった。しかし彼自身に問題があり、それを果たすことができないと知った父に捨てられてしまう。十日ほどの食料と共に宇宙空間に捨てられた主人公、それは死を意味していた。SOSを出し、食料を小分けにして何とか生き延びた彼を助けてくれたのは宇宙海賊だった。その後帰る為の希望を手にした彼だったが、助けてくれた宇宙海賊が絶体絶命の危機に陥る。その時、主人公が選んだ道とは?


【物語の始まりは】

主人公が目覚めるところから始まっていく。14歳になった主人公は伯爵家の跡継ぎとして接続結晶という、人間と機械を接続するためにクリスタルの移植手術を受け、三日眠ったままだったようだ。この世界では、ドラグーンという

宇宙戦闘艦があり、接続結晶によって操縦者とつながることで高い性能を発揮するようだ。貴族はすべて、ドラグーンに乗って帝国のために戦う義務があるのだが、主人公は接続することが出来なかったのである。

彼は出来損ないとして、実の父に宇宙空間へ捨てられてしまう。目が覚め、その事に気づいた主人公はSOSを出し、何とか生き延びようとする。諦めかけたその時、希望の光が差したのだが?!


【舞台や世界観、方向性(箇条書き)】

一般的なイメージでは、貴族と言えばそこそこいい暮らしをし、まっとうに生きていれば死ぬまで安泰という感じがするが、この物語では貴族には貴族の義務が存在している。それが出来なければ、家を継ぐことができず、出来損ないのレッテルがはられてしまうというのは過酷である。主人公にたまたまその能力がなかったのか? それとも能力のない者もいて殺されたりするのが普通のことなのかは、定かではない。


【主人公と登場人物について】

伯爵家の跡取りとして生まれながら、接続結晶にてドラグーンと繋がることができない。どうやら彼自身に問題があるとの結果が出てしまい、宇宙に捨てられてしまう。

表向きは病死とされていることから、これがこの世界の貴族にとって日常茶飯事あるいは常識なのだろうか? だとしたら怖い社会である。


物語が進むと父とやり取りをするチャンスが訪れる。複雑な心境になるシーンだが、主人公の成長も伺える。


【物語について】

主人公の出したSOSを拾い、助けてくれたのはなんと宇宙海賊であった。助けが来るまでは、絶望を感じる物語であるが、助けられた後はガラリと雰囲気が変わる。彼女たちは追われる身ではあるが人情や、優しさを持った人々だという印象。彼らはこの後攻撃を受け、ある惑星のようなものに着陸することになるのだが、そのやり取りは軽快かつコミカル。テンポが良い。


着陸した惑星は、惑星に擬態した要塞だった。ドラグーンとの接続に失敗した主人公だったが何故かこの古代超文明が残した宇宙要塞の起動には成功する。これで家に戻れるのでは? と助言を受け一旦は別れた主人公と海賊たちであったが……。


【良い点(箇条書き)】

・交渉にはったりが多い為、展開にハラハラドキドキする。

・宇宙を舞台にしたSFをあまり読んだことがない(観たりしたこともない)為、難しい用語がたくさん出てくるもののザックリとしか理解できなくても、ストーリーを理解することができる。

・緊迫感や緊張感などが伝わって来る。

・一ページ内で視点切り替えのある作品ではあるが、混乱はしない。

・一難去ってまた一難。緊張感のある物語。ひやひやする展開が多く、どうなるのか先が気になってしまう。


【備考(補足)】17ページ目まで拝読。

【見どころ】

この物語は、主人公の成長の物語だと感じた。

いくら自分を捨てたとはいえ、子供にとって親というのは親なのである。彼は10日分の食料と共に親に宇宙区間へ捨てられてしまう。運よく海賊に助けられ生き延びて、古代の要塞と繋がることができた。ここで海賊の頭は”これで帰れる”と言ってはくれるものの、客観的に考えた時”古代の要塞と繋がれたから家に戻ることを受け入れる父”というのは”子供を道具としか見ていない”ということである。要はこういうことだ。時々ニュースなどでも目にするが、子供を捨てた親が”子供が芸能人になり稼いでいるから、親として名乗り出る”ということと同じである。利用しようというのが見え見え。しかし親と違い、よっぽどのことが無ければ子には情がある。主人公にも親に対し情や尊敬があったと思う。

そんな主人公が海賊たちを助け、父と再び対峙すると、緊張などは感じられたものの、もう守られているだけの子供ではない様子が伺えるのである。父に一人前として認められたという自信は後の成長に繋がっていくだろう。

逃げ伸びた先でも、彼には選択を迫られる場面がある。そこでは自分の意志で決断し、全ては自己責任なのだという心の成長が見られた。恐らくこの先も選択を迫られる場面は数多くあると思う。彼がその時どのように決断していくのか、非常に楽しみな物語であると感じた。

あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? この物語の結末を、その目で是非確かめてみてくださいね。おススメです。

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