絵画の記憶

葛城天智 様作


あらすじ引用

とある売れ筋の画家の作風が変わった。

もう五十を過ぎた画家は作風が変わったのは歳のせいだろうと噂されていた。

そんな噂は彼の耳に届くことはない。

彼は今日もひとり、キャンバスと向き合う。


*短編

1 読む前の印象や予想など(表紙やあらすじなどから想像したこと)

まず表紙のイラストが芸術的である。今にも動き出しそうにも見え、躍動感もある。この表紙がイメージというのはビフォーアフターどちらなのだろうか?  

とても気になる部分でもある。

作風とは、絵画や小説などにとって、心臓とも言えるものなのではないだろうか? 小説などでは作風はその作家の癖と深い関係も持つ。web小説などでは、ページの区切り方、表現、体言止めや述語。空行の使い方。いろんな部分から作風が決まり、なかなか変えられないものでもある。

絵画やイラストなどでは、タッチや色選び、構成などが作風の決め手だろうか?


2 物語は(どのように始まっていくのか?)

主人公の物忘れについてから始まっていく。彼の作風が何故変わったのか? その理由が分かると切なくて、辛いなと感じる。


3 良かったところ。印象に残ったところ。好きなセリフなど。

”少し首を竦めておどけて言うそれは”のくだりが好きである。日本語にはいろんな言い方がある。ストレートに言うことは、伝わりやすいが含ませで言うことには、洒落が効いているように感じる。ストレートよりも印象にも残りやすい。

画家からの手紙の部分以降はとても感動しました。

想いは言葉にしないとなかなか伝わらない。しかし本心を知った時、胸に来るものがある。二人の結婚の経緯についても素敵だなと感じた。


まだ自分は記憶力は良い方だが、忘れることの怖さというものが、疑似体験できる。忘れられてしまうというのも辛いが、忘れたくないことを自分の意志関係なく忘れてしまうというのは、悲しい。そしてその未来が来ると分かっていたなら、とても怖いと感じるだろう。


4 自分が主人公の立場だったら

やはり、主人公と同じことをするかもしれない。

以前人が何かを残そうとするのは、生きた証を残すため。というのを見たことがある。例えば自撮りや日記がそうだろう。それは自分の死に対しての本能なのだと感じる。

人が何を残したいかは、人それぞれ。

自分なのか、思い出なのか? それとも他人なのか。

彼が本当に残したかったのは心なのかもしれない。


5 物語のその先を想像して

恐らく天国で幸せに暮らすのだと思う。そして、その絵画を手にした人は愛を感じることができたのではないかと想像する。

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