可愛い顔でも侮れない

海瀬 瑛 様作


あらすじ引用

『姉命令のお遣い帰り、電車で痴漢を捕まえたら自己中な言い訳をしてきたので正論で完全論破しました』


うららかな春の日、高校生の翼は電車に揺られていた。

「数駅離れた和菓子屋『萬福堂』に行き赤豆大福を買ってきて♪」

性格が破綻している実の姉の命令で隣町まで甘味を買いに行った帰りである。


ため息をついていたら、突然、腰の辺りに何かが触れ、息を飲む。

そこには着ている制服のスカート裾をたくし上げようとしている男の手があった――。


備考:短編


1 読む前の印象や予想など(表紙やあらすじなどから想像したこと)

他人に触ることができない自分からすると、よく他人のケツなど触ることができるな、と痴漢に対し思ってしまう。良いこと悪いことの前に、他人のものと自分のものの区別が出来ていないのでは? とも思う。他人の身体は他人のものである。痴漢に対し憤りを感じるが、この少女は勇気があるなと思う。痴漢は許せないが、声を上げるのは勇気が要ることだ。さて、どんな正論で論破したのだろうか? とても気になる内容だ。


2 物語は(どのように始まっていくのか?)

主人公が電車の中でため息をついていると、姉からメッセージが送られてくるところから始まっていく。その後、何故姉のお使いをしなければならなくなったのかの経緯について明かされていく。そこには断れない事情があったのである。


3 良かったところ。印象に残ったところ。好きなセリフなど。

・この物語には主人公だけではなく、間接的にかかわった人物のストーリーがプラスされている。世間は狭いものだ。

・主人公が単に痴漢にあって……というストーリーではなく、意外な展開が待っている。

・すっきりする物語である。

・サイドストーリーの繋がり方が面白い。

・確かに痴漢に限らず犯罪は自分だけの問題ではない。相手だけではなく家族や友人、会社などに迷惑をかけ、人生を台無しにするものである。理性は大切だなと感じる。


4 自分が主人公の立場だったら

ここまで果敢に立ち向かうのは難しいと思う。だからこそ性犯罪はなくならないとも思うのだが。


5 物語のその先を想像して

人の人生は交差点のように交差しており、干渉し合っていると感じる。ここを起点としていろんな人の人生に影響を与えているのではないだろうか? 新たなるサイドストーリーが展開されているかもしれないなと感じた。

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