2021’9────2作品

松竹物語

いち01 様作


【あらすじ引用】

久しぶりに実家に帰省した、私。

私はそこで、母の壮絶な過去を知りました。


母の過去を知った〔私〕の、心の変化にご注目ください。

人生のターニングポイントって、ありますよね。


※フィクションです


【物語は】

家族の寝静まった深夜、母と娘の会話から始まっていく。久々に帰省した娘に愚痴をこぼす母。二人の会話をみていると信頼関係あってのやり取りだと感じる。娘は子供の頃からの夢を叶えに帰省をしたようだ。

気づけば母の話は、自身の子供の頃へと移っている。呑み過ぎではないかと心配する娘をよそに母は、今まで話すことのなかった自身のことについて話し始めるのであった。果たして、娘に告げられた母の過去とは?


【母の過去】

母が義母受けた仕打ちは、血が繋がらないからという単純な理由ではないのだと思う。母に何らかの精神疾患があったのではないだろうか? と推測した。

子供を愛せるかどうかには、血のつながりは関係はないと感じている。それについては日々ニュースでも見かけるし、自分もそういう境遇だったので、よくわかる。その他の要因として、精神的に成熟していなければ子供を育てるのは難しいだろうと思う。昔の人たちがたくさんの子供を育てられたのは、近所の人たちが気軽に面倒を見てくれたからではないかと思うからだ。


しかしここで大切なのは母がどんな人であれ、主人公の母である松子は、母から愛されたいと願っていたことなのではないだろうか? 子供にとって親は絶対的存在だ。嫌いになるのはなかなか難しい。特に幼い時であればなおのこと。


【真実を知る時】

ゆっくりと明かされていく真実。

主人公の母である松子は真実を知り、そこに救いを求めたのだ。しかしその希望は、あることによって絶望となる。物語を読み進め、松子は優しく強い子だなと感じた。

もし自分が彼女の立場だったなら、実の母に救いを求めたと思うからだ。自分の境遇を話し、助けて欲しいと。明らかに幸せそうに見える片割れに、恨みも抱かず頑張り続けた松子は、本当に人として素晴らしいと思う。

だからこそ娘との絆も持つことができるし、親孝行をしたいと思える親でいられるのだろうと感じた。


【松子に訪れる転機】

何も、松子は不幸なだけではないのだ。彼女には自分を受け入れ、心から愛してくれる人が現れる。彼との出会いはきっと、今まで頑張ってきた彼女への頑張った証でもあるに違いない。

そして変わりゆく関係。分かり合えないと思っていた相手の理解と和解。

それは松子のその先の人生にとって、重大なことだったと思われる。


【物語のみどころ】

主人公はある目的を持ち、久々に実家に帰省した。そこで聞かされたのが、

母の壮絶な人生についてであった。

この物語では、不幸のどん底とも言える人生を送った松子が、その原因である母に対してどのように憎しみを消化することが出来たのかが、一番の見どころであり、作者の伝えたいことの詰まった部分なのではないだろうかと思われる。


結婚とは他人と生活すること。子供とは親以外の初めての血の繋がりなのではないか。つまり、婚姻相手は他人だが、子は他人ではないのだ。

”他人ではない”ものに対してどう接していくのか?

子とはどんな存在であるのかを、考えていかねばならないのではないだろうか。子は所有物ではない。他人ではないが、個としての意志や思想を持つ。そして親に対して、簡単に憎しみを持つことが出来ないことを理解しなければならない。


世の中には多かれ少なかれ、虐待する親も沢山いる。子が親に対して、どんな感情を持つのか。何を思うのか? 学ぶ意味でもおススメしたい物語である。

あなたも是非お手に取られて見ませんか?

松子がどのようにして、自分の心に芽生えた憎しみと向き合ったのか。その目で是非確かめてみてくださいね。お奨めです。

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