神と悪魔の世界で生きる。

サトウキビ畑 様作

【あらすじ引用】

内海によって二つの大陸に分断された世界。


南の大陸の端にある小さな村に住む少年リドとその幼なじみのシズクとカリン。


特異な能力を持つリドは自身の出生の真実を聞き、本当の両親を、故郷を探すため見知らぬ世界を旅することを決意する。


魔獣蔓延る世界を仲間と共に旅する楽しくも、危険で謎に満ちた少年達の冒険譚。


【物語は】

世界の成り立ちから語られていく。この世界の南に位置する、ある村が最初の舞台。そこで主人公と、幼馴染みの戦闘風景を見ることが出来る。二人は互角の存在であり、切磋琢磨し互いを刺激し合う良い関係である。


ほどなくして彼らの暮らす村に、魔獣が襲来する。この世界で人々を脅かす存在、それが魔獣のようだ。魔獣がどんな生き物なのかは、ここで分かって来る。そして主人公が人とは少し変わった行動をすることも。

徐々に明かされていく物語の世界観。果たして主人公はどんな風に、出生の真実を知ることになるのであろうか?


【助け合う村の人々と主人公たち】

人間の敵である魔獣について、研究がなされていない。それというのも、研究するにはそれなりの施設や人材が必要だが、世界中に魔獣が蔓延っており、町や村間を人が簡単に行き来できるような状況ではない。そのため、研究が行える状況でないというのが大きな理由の一つなのではないだろうか。そういった事情からも魔獣については、真意の定かでない噂が流れているようだ。


村に魔獣が襲撃すると、戦闘中に主人公の行動の意味が明らかになる。それと同時に明かされる彼の特殊能力。この時、村での戦いの中で分かることは、主人公の特殊能力は村を守るためには必要であり、村の兵たちにも認知されて受け入れられているということ。


この後、主人公は父から自分たちが暮らす村に過去に起きたことや、自分の出生のことを聞くこととなる。主人公は自身の出生にまつわることで、一旦は塞いでしまう。

だかそんな彼に、道を指示したのは親友である。主人公は彼の言葉により、自分が何を望んでいるのか気づかされる。この世界は、魔獣が蔓延りとても危険である。主人公が選んだ道は決して楽ではない。

それでも彼には望みがある。知りたいことがあったのだ。彼の決意は固く、それに幼馴染みたちは協力を申し出る。

かくして主人公は、人々が助け合って生きてきた村から自分の目的の為に、幼馴染みたちと旅立つこととなるのだ。


【世界観や物語の魅力】

魔獣には原種となる生き物がいるため、原種となる動物の進化系や突然変異ではないかと言われている。しかしある時、村の人を含む主人公たちは、なんとも形容しがたい魔獣に遭遇する。この部分は恐らく大切な場面であり、なにかの伏線なのではないかと想像する。


魔獣は何故産まれたのか?

どうやって産まれたのか?

それは、いづれ明かされる謎だと思う。


主人公たちは彼の出生の秘密を知ったことをきっかけにし、ある目的を持った。それを叶えるため初めて村の外へ出る。

今までは、村の人間たちが協力して互いを魔獣から守ってきた。だからこそ、多少の無理も出来たのではないだろうか?

三人で村を出た彼らには、頼る相手が互いしかいない状況。自分たちの村以外、どこに集落があるかさえ分からない。確かに強い主人公たちではあるが、恐らく自分たちが、今までどれだけ村の人々と助け合い、守られてきたか理解する機会も訪れるのでは?

この物語は彼らが旅を通し、成長していく物語ではないだろうかと感じた。


【物語のみどころ】

この物語は”神と悪魔”の世界で生きる者たちを描いた物語ではないかと思う。しかし、まだはっきりと神と悪魔が何を指しているのか分かっていない。主人公たちはまだ若いこともあり、無鉄砲なところが無いとは言い切れない。


その中で主人公は、思慮深い印象だ。言いたいことを簡単に言えない人物だとも感じている。それは弱い部分を見せたくない気持ちや、心配をかけたくないという想いもあるだろう。だがそれは先のことまで考えているからとも、言えるのではないだろうか?


旅立つまではこの世界が、どんな世界なのか、主人公がどんな境遇でどんな暮らしをしてきたのかを知るためのものだと感じる。

つまり旅立ちからが、この物語の真のスタートなのではないかと思う。


あなたもお手に取られてみませんか?

主人公は果たして、両親を探し出すことはできるのだろうか?

その目で確かめてみてくださいね。お奨めです。

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