それでは行って参ります!

「レイン、本当にお父さんが付いて行かなくて大丈夫か??」


そのセリフそろそろ聞き飽きました。もう私も14歳。この春、王都にある王立剣魔法学園に入学することが決まっていた。そのため私は今日、故郷のアスファルト領を離れ王都に出発する。


「お父様、私は大丈夫です!それにお父様はお仕事がありますよね?王都には入学試験の時に行ったので心配しないでください。」



お父様は極度の心配性。そのせいで私は家から数えるほどしか出たことがありません。この前行った王都も私にとっては初の辺境伯領以外の場所だったのです!見たことないものが沢山あって私がこれまで見てきた世界がいかにちっぽけだったか思い知らされました。


お父様やお母様、仲良くしてくださった騎士様達と離れるのは寂しいですけどそれ以上に王都での新しい生活に胸が躍ります!!


お父様もお母様になだめられてしぶしぶ見送ってくれる気になったみたい。



「レイン〜、毎日手紙出して長期休校になったら必ず帰ってきて元気な姿を父さんに見してくれよな〜」


半分涙目ですよ、お父様。


「毎日は無理ですけど努力します!」


「レイン、くれぐれも無茶はしない様に!それと、、、」


お母様が近づいてきてお父様に聞こえない様にそっと耳元で


「恋人ができたら必ず紹介しにおいでね。」

と耳打ちしてすぐお父様の横に戻っていった。


恋人…いつか私と一緒にこのアスファルトを守ってくれるような立派な人に出会いたいですけど少し恥ずかしいです。



「そろそろ出発のお時間です、お嬢様。」

声の方に振り返ると王都まで護衛してくれるハリウスがいた。

ぐずぐずしていた私を呼びに来てくれたみたいです。


もう一度お父様達の方に振り向いて笑顔でお別れの挨拶をした。

「ではお父様、お母様行って参ります!!」


そう言って家紋入りの白くて大きな馬車に乗った。

扉が閉まると間もなく発車した。



窓の外からは泣いているお父様、笑顔で手を振っているお母様、屋敷の使用人のみんな、我が辺境伯家の騎士団のみんなが見送ってくれている姿が目に入った。すぐ隣には馬に乗っているハリウス、その他少数の騎士様達がいる。


ガラガラガラガラ


レインは思いっきり窓を開けた。そして窓からぐっと顔を出し綺麗な銀の髪を風になびかせながら笑顔で手を振った。


「お嬢様!危ないから窓から身を乗り出さないでください!!」


怒られてしまいました。


あと5日後には王都です。

どんな素晴らしい出会いが待っているか今から胸が高鳴ります!

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