第14話 うつくしいおんな
軽口を叩いていると、応接間の扉がノックされた。
それから、先程の少女が顔を覗かせる。
『マダムがお会いになるそうです。もうしばらくお待ちを。』
少女はそれだけ言うと、扉を閉めてパタパタとかけて行ってしまった。
きっと、女主人の支度を手伝いに行ったに違いなかった。
姿勢を正し、背広に皺がないか確認する。
向かいの席では、また柄本がニヤニヤと笑っているのが見えた。
「そんなに神経質にならなくてもお前はいい男だよ。」
それから数分。とてつもなく長い時間を過ごした気がした。まさに一日千秋とはこのことだろう。まるで一瞬のうちに千年がたったようだった。
そしてついに扉は開かれた。
あの写真の女性に他ならぬ佳人がそこに立っていた。
金髪を緩やかに結い上げ、真珠の飾りを挿して。唇には色濃い紅を差し、古典的な浅葱色のドレスを纏っていた。肌は透き通るように白い。きつい化粧も彼女にとっては引き立て役にしかならない。
あのうつくしいおんなは、ほほえみを浮かべてそこに佇んでいたのであった。
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