第9話
チリンチリン
「いらっしゃいませ。」
「おっす!大将!」
「これは雀さん。こんばんは。」
「今日は豚料理がオススメになんだな。」
「ええ、今日は豚の日らしいので、オススメにしてみました。」
「へぇなるほどね。じゃあ角煮と・・・プレモルをもらおか。」
ほろほろになった角煮を皿に取る。付け合せに煮玉子と小松菜を、辛子は小皿にわけておく。
チリリン
「こんばんは。今日は雀どんだけかな」
「いらっしゃいませ。和尚さん。」
「お、駄洒落坊主じゃねぇか。」
「ほっほ。生まれてこのかた駄洒落など言ったことないわ。して今日は豚料理がおすすめなのじゃな。」
「ええ、豚の日ですので。」
「じゃったら、豚の唐揚げを頂こうかの。あとオリオンでな。」
ジュワァァァ・・・
美味しそうな音が匂いと共に広がり、粉末ダシで下味を付けた豚が揚がっていく。塩コショウとスダチを添えて出す。
「下味を付けておりますが、好みに合わせて塩コショウやスダチをかけてください。」
「ふむ。」
ほふほふ・・・
和尚さんが美味そうに箸をすすめる。興味深げな雀さんが横から箸を伸ばすが、和尚の手に弾かれている。
「なかなかいけるのぅ。」
「ちっ。ところで何だ?豚の日ってのはよ。」
「何でもアメリカ発祥らしいのですが、人類にとって最も聡明で飼いならされた動物である豚に感謝しようという日だそうです。豚の尻尾に見立てたリボンを木にくくるとかもするそうです。」
「へぇ。勤労感謝の日ならぬ豚感謝の日ってか。」
「皆が喜ぶ食べ物を与えてくれる豚に感謝じゃのぅ。」
「養豚所の清掃する刑な。しかし豚に感謝する日なのに豚肉食って良いのかい?」
「そのあたりは決まっていないようでして、感謝して食べるってのもあるようです。」
「へぇ、それじゃ、ありがたく食わせてもらうかね。」
豚に感謝する日、そんな日もあっていい。ありがたく頂いて、感謝をする。血肉となるすべての食材に感謝して今日も杯を重ねる。
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