第7話
チチチチ・・・
「うっ・・・飲み過ぎたか・・・」
頭痛と嘔気におこされる。目覚めとしては、まあ最悪だ。今日は日曜なのでモーニングはない。朝食にハイチ○ールCと濃い煎茶で作った茶漬けをかき込む。少し落ち着いたが・・・昼までは残りそうだな。今日はランチも休みにし、もう一眠りする。
「ん。ようやく落ち着いたな。」
昼過ぎ、ようやく普段どおりに動けるようになる。鶏肉などいくつか買い出しにでる。
「お、居酒屋のあんちゃんじゃないか。今日は良いサバが入ってるよ。」
「へぇ。うん、たしかに。そしたらこのサバとそっちのとそいつを。」
「まいど!」
ハリ・ツヤのいいサバだ。活きのいいサバは刺し身、〆、しめ鯖ずしなんでも美味い。アニサキスには注意しよう、な。
「らっしゃい。今日ももも肉でいいかい?」
「ええ。あと、胸肉も何枚か、豚こま肉もいただけますか。」
「はいはいっと。おまけで皮もつけとくね。」
「ありがとうございます。」
鶏皮ポン酢にでもして、お通しに出すか。
八百屋で夏野菜などを買い込みもどる。本日の看板メニューはラタトゥイユ。にんにくを香りが出るまで炒めて、ためねぎ、種つきのピーマン、ナス、キュウリなどを適当に刻みトマトソースで煮込む。とても簡単な料理だがお洒落っぽく見えるらしい。ちなみにピーマンの種にはビタミン類が豊富に含まれているので捨てるのはもったいない。
少し早いが味見も兼ねて夕食を摂る。白ワインがよく合うが飲みすぎたので今日は食後のお茶くらいにしておく。洗い物も終え、看板に開店の札を下げる。
チリンチリン
「よっ!こんばんわ。」
「いらっしゃいませ」
因幡さんが来店される。今日はオリオンビールの気分らしい。ゴーヤを用意しておくべきだったな。
「そうそう、例のブツ、手に入ったぜ。」
ゴトゴト
しずく酒が2本、にんにくがバッグいっぱいに入っている。
「これは、思ったよりたくさん買ってきていただいたのですね。」
「意外と安くてさー」
「後で頂きますね」
「おう!」
チリン・・・
「いらっしゃいませ。」
「こんばんは。」
おや、あの青年ではないか。
「昨日はお休みだったんですね。あ、ハートランドください。」
キュポン、コトッ
「どうぞ。・・・ええ。昨日は新しくできたバーに行ってきました。」
「新しいバーですか。」
ハートランドで青年の喉が鳴る。
「で、どんな感じでした?」
「半地下で目立ちませんが、店の雰囲気は大変良いかと。」
「なるほど、それで今日は二日酔いで昼は開けられなかったんですね。」
「おはずかしながら。」
「ばーっと羽目を外してしもたんじゃな。」
見慣れた筋肉が入店とともに駄洒落を発する。
「和尚・・・アウトー!」
「あぁ、いつぞやの和尚さんですか。」
「いらっしゃい。」
「たまには麒麟にするかの。」
「しかし新しいバーか。今度儂もいってみるかの。」
「あぁ、和尚なら話があうかもしれませんね。」
「どういうこと?」
「バーテンさんは自衛隊上がりだそうで、結構締まった身体をしてました。」
筋肉和尚の目が光る。
「ほほぅ。それはそれは、近いうちに挨拶にいかんといかんのぅ。」
「暑苦しい空気になりそうですね。」
「どうでしょう?。」
「和尚なら寒気を放出できるからな?」
「歓喜されそうじゃの。」
「和尚さん・・・。」
和尚のテンションがいつもよりも高いからか、駄洒落が量産される。青年もあまりの駄洒落に恐れおののく。店内は駄洒落寒波に見舞われ、お湯割りと熱燗がたくさん出たとかでなかったとか。
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