卵、産みました

萱草真詩雫

卵、産まれました


突然だが俺の名前は西園寺零(さいおんじれい)、キレッキレの超イケてる社会人さ!


そしてまたしても突然だが、俺は妊娠している。


頭がおかしいって?


いや、本当なんだよ!


そして会社で今にも産まれそうだ!


卵が。


突如うずくまって腹を抱えると会社の同僚たちが駆け寄ってきた。


「どうしたんですか西園寺さん!」


「た、卵が産まれるぅー!」


「は?卵?」


「誰か病院に連れてってくれ!早く!!」


皆は信じらんないと言う顔をしているが、余りにも俺が必死なので同僚が病院まで連れてってくれた。


お腹を抱えながら診察室の中のベッドに横になり医師の判断を仰ぐ。


すると医師が。


「想像妊娠ですね、典型的な」


キッパリと言われた。


だが俺は食い下がる。


「でも産まれそうなんです!卵が!!」


そんな俺に医師は。


「普通人間からは卵は産まれませんよ、どう考えても。あなた哺乳類でしょ」


「あ、そうでした。それ忘れてました。そう考えると何だかスッキリしたような?とりあえずありがとうございます先生!」


「ちなみに男の人は赤ちゃん出来ないからねー。それじゃもう帰って良いよ」


はっ!?男って子供産めないの!?


「ショックだ…」


「何がです?」


病院まで連れてってくれた会社の人間にそう漏らすと不思議そうに返事が返ってきたので俺はこう言った。


「人間って、女性しか子供産めないんだな…」


「…一つ良いですか?西園寺さん今いくつです?」


「32歳だけど?」


「その歳まで男でも子供…いや、しかも卵産めると思ってたんですか…重症ですね」


失敬な!


これでも俺は本気だったんだぞ!


こうなったら誰でも良いから交尾して子供欲しい…


むしろ産みたい…!


叶えておくれよ神よ!



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