❤ 山鬼の姫

俺は人里離れた山奥にある秘境地帯の踏破にチャレンジしていた。


とある沼池に差し掛かったところで山鬼の娘と遭遇。


なんで山鬼って分かったか?


角の生えた肌が緑の人なんて山鬼に決まってる。


で、その娘は俺に向って手を振りながら何やら大きな声で叫んでいた。


山鬼の娘に話を聞いてみると、この沼には人を喰らう危険な化け物が潜んでいるらしい。


彼女はそれを警告してくれていたんだ。どうやら俺は彼女に助けられたようだった。


なので俺は持っていたチョコレートを、お礼替わりに彼女へ手渡した。


たかがチョコレート1枚。


にも関わらず、山鬼の娘は金の延べ棒でも渡されたかのように大歓喜してくれた。


その様子があまりに可愛かったので、持っていた残りのチョコも全部あげた。


山鬼の娘は興奮しながらチョコを食べ続けた。


その口がチョコでべとべとになっていたので、俺はハンカチで拭ってやる。


彼女が食べ終わったときはついでに歯磨きもしてやることにした。


虫歯にしてしまったら悪いからな。


歯磨きする間、彼女は無防備に口を開いて俺の為すがままになっていた。


唇がやわらかい。


息がチョコであまったるい。


女の子の歯磨きプレイ……エロい……


ふと彼女と目線が合う。その瞳がなんというか……


OK


って感じだったので、俺はそのまま自然に押し倒してしまった。


つい出来心で……。


それから数時間後――


存分にいたした後……げふんげふん。


俺が山を降り始めると、彼女はずっと俺の後を付いてきた。


人里ギリギリのところまで付いてきたが、どうも山からは出られないらしい。


俺の腰にギュッとしがみ付いてきた。


俺も彼女を抱き返した。


もうね、お互い情が移っちゃったよね。


それからなんやかんやで……。


えっ、そこが聞きたい?


まぁ、山鬼の娘のご家族に「娘が欲しければ試練を乗り越えろ!」とか散々無理難題をふっかけられて何度も死にそうになったりしたわけなんだが。


その都度、山鬼の娘がこっそり助けてくれてなんとかなったわけなんだが。


その後、ご家族に気に入られて逆に山奥に住まわされそうになったり、


山鬼の娘の妹が俺に惚れて修羅場になりかけたり、


本当にいろいろ大変なことがあって……。


そして――


俺は彼女と出会った場所から最も近くにある麓の村で家を買った。


それからなんやかんやで……。


いろいろ大変なことがあって……。


今では俺の嫁となった山鬼の姫と暮らしている。


~ おしまい ~

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