2月20日 残声
小さい頃から可愛がってくれていた近所のおばあちゃんがいるんですが、私が外国にいる間に大病を患い、退院後すぐに介護施設に入ってしまったそうです。
帰国の時にはいつもおばあちゃんにお土産を渡していたんです。センスのないお土産でしたが、おばあちゃんは「面白いねぇ、ありがとうね」と受け取ってくれていました。
ちなみに今回のお土産はインドネシアのコモド島土産のコモドオオトカゲのマグネットでした。結局おばあちゃんがいないのでまだ渡せていないんですが。きっとまた「面白いねえ」と笑ってくれると思っています。だから封を開けずに大事に取ってあります。
ところで、おばあちゃんは私が小さい頃はたくさん猫を飼っていました。昔の田舎のことですので、猫は近所を自由にうろうろしていました。うちの庭にも時々来てくれたのでよく遊んでいました。
その後遠くに住んでいるお孫さんが「飼えなくなったから」と言って九官鳥を連れて来たそうです。押し付けられたとはいえ、動物好きなおばあちゃんは九官鳥も大事に育てていました。毎週末は外でカゴを洗っていたのを覚えています。
カンちゃんという名前のその九官鳥は、おばあちゃんが「カンちゃん」と呼んだ時だけ「はーい!」と返事をしていました。他の人が呼んでも反応しません。誰かが家に入って来たり、家の前を歩いたりするとカンちゃんは「ギャー!」と叫んでいました。おばあちゃんは「うるさいけど、いい番犬よ」と笑っていました。そんなカンちゃんはおばあちゃんが入院した際に、また別の遠いところにいる親戚に引き取られて行ったようです。
「前は通りかかる度にカンちゃんに鳴かれてたのに、寂しいねえ」と家族は言います。
でも時々聞こえるんですよね。「はーい!」というカンちゃんの声が。
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