第46話 夏休みのおもひで〜メリーさんごっこ〜 (異能が全てを変えた日裏サイド)
「ふ〜ん・・・この空間は脱出できない・・・というよりも、しづらいだけだね。もっとも、神力を持っていなければ、無理だっただろうけど。僕の持つ『空間』であれば、問題ないかな。ちょっと面倒なだけか。」
この異空間を確認したら、何百もの箱の中に入っている感じだった。
僕の『空間破壊』で、片っ端から壊してやれば、いずれは出られるものだった。
そうと決まれば。
「『空間破壊』」
僕は封印空間を破壊していく。
どんどんしていく。
一個一個の破壊は難しくはないけど、空間を壊すのには時間がそこそこかかる。
・・・あ〜めんどくさい。
ケントゥムの奴、どれだけ好き放題やってるんだか・・・
これだけの封印空間を作り出すには、かなり世界のリソースを消費しなければならない筈だ。
その分、シータさんがやりくりに苦心する事になる。
・・・むかつくなぁ。
これは、驚かせつつ、馬鹿にして煽ってやらねば!
そこそこの時間をかけて、最後の一枚まで来た。
さて、これなら、念話が使えるだろう。
「桜花、聞こえる?」
『・・・聞こえるわよ。やっぱり無事だったようね。』
「そりゃね。もう、いつでも出られるけど、そっちはどんな感じ?」
『丁度良いわ。今、向こうが奥の手を出してきたから、潰した所よ。最後の一手である、監理者はこの後ね。』
「え?ホント?そりゃタイミング良かったなぁ。どれどれ・・・」
僕は、桜花を中継し、周囲の音を疲拾う。
『あら、次はあなたが相手かしら。』
桜花の声だ。
『ふん、矮小なるものよ。神の御前であるぞ?控えよ。』
・・・これか。
何が神だよまったく・・・
『あはははははは!ケントゥム様のお力の前にはお前たちなぞ虫も同然!イレギュラーの片割れでも無理でしょうね!あははははははは!!』
・・・こっちは魔女か。
さて、調子に乗っている所悪いけど、絶望して貰おうっと。
「場所は・・桜花にはパスがあるからわかってるので、奴までどれくらいの距離?」
『そうね・・・目測で、約40メートル前方、上方3メートル、正面は・・・今合わせたわ。』
「ありがとう。それじゃ最後はド派手にいきますかね!」
まずは、対神兵装の着用からだ!
「対神兵装起動!装着、対神兵装アスラ!!」
僕は対神兵装を身につけ、腕に神力をまとわせる。
「『空間破壊 衝波』!!」
目の前の空間に掌打を放つ。
空間に衝撃が伝わり、ビシビシと音が鳴る。
何度もそれを続けると、ビシィッ!と大きな音が鳴る。
よし!
目視で見えたぞ!!
さて、
「_____み〜つけた!_____」
僕がそうおどろおどろしく言ってやると、驚いているのが見える。
その中に、さっき見た魔女の隣で、険しい顔をした、人間年齢で30代位の男の人がいる。
薄っすらと神力も感じる。
こいつだな!
僕はそのまま封印空間を拳で突き破り、その男の頭をガシッと鷲掴みにした。
「うお!?」
「ケントゥム様!?ひっ!?」
焦っているケントゥムと魔女。
くくく・・・もっと馬鹿にしてやろう。
「______僕龍馬くん。今あなたの後ろにいるの_________」
敢えてのメリーさんごっこです!!
「なんちゃって。」
「兄貴!!」
「龍馬さん!!」
「三上さん!!」
僕がそう言うと、健流くんと灯里ちゃん、アンジェリカちゃんが叫んだ。
うん・・・どうやら、黒瀬の妹さんは、洗脳が解けているみたいだね。
「な、何故!?お前はケントゥム様のお力で封印されていた筈!!」
かなりの力で鷲掴みにしているから、ケントゥムは苦しんでいる。
そんなケントゥムを見て、魔女が焦って僕にそう問いかけてきた。
「え?こんなの大した封印じゃないし、普通に破ってきたよ?」
「そんな・・・」
僕の答えに、魔女は愕然としていた。
だから、僕は魔女を更に追い詰める為に、答え合わせをする。
「だって、僕の持っている神力は『空間』だよ?空間のエキスパートな力に封印なんていう空間制御の最たるものが通じる訳が無いじゃないか。」
「はじめから・・・わかって・・・」
「うん。この協力者が中々尻尾を表に出さなかったからね。当初の予定とは違ったけれど、チャンスだと思って素直に封印されたんだ。みんなならこの状況がどうとでもなると思ってね。桜花も居たし。」
魔女は、その答えに、呆然としている。
よしよし、こっちはオッケー・・・後は・・・この、無責任な管理者の補助者だ。
「さて、確保した事だし、僕達は違う場所でやり合おうか。悪いけど、君の処分はもう許可貰ってるからね。本気でやらせてもらうよ。」
「ぐおおおおおおおお!?離せ!離せ〜!!!」
もがいているこいつを見ていると、ふつふつと怒りが沸いてきた。
「聞いてたよ?何が神だよまったく。君はただの補助者じゃないか。シータさん怒ってたよ?まぁ、もう恐れることはなくなるけどね。」
はた迷惑なこいつに、だんだんと怒りのボルテージが上がっていく。
「・・・悪いけど僕も怒ってるんだ。僕の可愛い後輩達をよくもまぁ傷つけてくれたもんだよまったく。悪いけど責任取って貰うからね。」
僕がそう告げると、桜花から呆れた声が聞こえて来た。
「もう・・・演出が凝りすぎよ。それと殺気漏れすぎ。みんなが怖がっているでしょ?」
あ、しまった!
見ると、魔女だけじゃなく、みんなも震えているのが見えた。
いかんいかん!
「あっ!ごめん!!」
「まったく・・・」
やっちゃった。
でも、桜花は本当に平常運転だなぁ。
「そういえば・・・桜花は僕が封印された時に焦らなかったの?」
あれ?更に呆れてない?
「あなたがどうにかなると思えないもの。あなた前より更に強くなってるでしょ?管理者じゃもう届かないってセレスが言ってたわよ?」
「あはは・・・いや、神力を解析してたら更に鍛える余地があったからさ。どうせならって思ってね。もうそろそろジードに届くかな?」
「さて、どうかしらね?あなたの師匠の力の底は私ではわからないもの。」
まぁ、そりゃそうか。
それよりも、さっさとこいつを潰すか。
「だよね〜!さて、それじゃちょっと行ってくるよ。桜花、こっちは任せても良いかな?」
「ええ、と言っても、私は魔女とは戦わない、で良いのよね?」
「うん。それはみんなの戦いでしょ?僕達は、あくまでも反則を潰すだけ。」
「わかったわ。」
「よし、それじゃ僕は行くよ。アンジェリカちゃん、健流くん、灯里ちゃん、それにみんなも頑張ってね〜?」
僕は、シータさんが準備した、決戦用の空間にケントゥムごと転移する。
そこは、真っ白な何も無い空間。
「そりゃ!」
「ぐおっ!?」
僕は床にケントゥムを放り投げる。
「・・・さて、散々好き勝手してくれたね?今から排除させて貰うよ。」
僕がそう言うと、ケントゥムは額から汗を流しながら、僕を睨みつけた。
「・・・調子に乗るなよ?ニンゲン風情が・・・」
・・・どっちが調子に乗っているのか、今思い知らせてやろう。
せいぜい絶望するといいよ。
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