第19話 親睦を深める為に(という名目の談合)(1)
修学旅行の班決めを終え、授業も終わり、放課後です。
「龍馬、帰りましょう。」
桜花が僕に話しかけてきた。
「うん、帰ろっか。」
「あ、龍馬くん、桜花ちゃんちょっと良い?」
瞳が話しかけてきた。
一緒に大寺さんと河瀬さんも居る。
なんだろう?
「良いよ。何か用かな?」
「あのね?修学旅行の班も決まったし、向こうに行ってから楽しく過ごす為に、ちょっと親睦を深めようと思ってさ、みんなでどこか寄って帰らない?」
なるほど・・・確かにあらかじめ仲良くなっておけば、向こうでさらに楽しめるかも・・・流石にリア充の人たちは違うなぁ・・・
桜花に、了承しようと思って振り向くと、複雑そうな顔をしてる。
なんでだろう?
「どうしたの桜花?」
「・・・なんでもないわ。行きましょうか。」
そうして、僕達は校門から出る。
「うわっ!あのメンツ・・・」
「学校一の美少女にアイドル、元気娘に清純派巨にゅ・・・清純派ナンバーワンまでいる・・・」
「そうそう足るメンバーだな・・・どっか行くのか?着いてってみるかって・・・」
「・・・あれ三上じゃねーか?あの噂の・・・」
「ああ、学校裏掲示板で速報が流れてたな。修学旅行の班決めで名だたる女子を攫ってってハーレム作ったって奴!」
「クソっ!こっちは男だけの班だってのに!見せつけやがって!!」
「・・・あいつ別にイケメンじゃ無いよな?なんであんなに女っ気あるんだ?納得行かねぇ!!」
「他にも、外国人とか人妻とか囲ってるんだろ?前に噂であったよな?」
「なんか薬でも使ってんのか?それとも催眠か?」
・・・隠す気の無い男子の声に、ため息が出る。
無茶苦茶言われてるなぁ・・・なんだよ薬とか催眠って・・・そんなの持って無いよ、まったく・・・それに人妻囲うってなんだよ・・・囲うわけないじゃん…狙われたことはあるけど。
あ、あの人達は元人妻か。
「龍馬、気にすること無いわ。モテない男の僻みだから。」
桜花がそう言って僕の頭を撫でてくれた。
ううう・・・ありがとう・・・
「そうそう!女子はそんな風に思ってないから気にしなくて良いよ?」
瞳もそう言って背中をポンポンとしてくれた。
「ホントだよね〜!あたし達が三上くんの班に混ぜてもらったのはあたし達の意思なのに、ね?梨花?」
「う、うん・・・そうだよね宏美ちゃん。むしろ私達は感謝してるのに・・・三上くん、ごめんね迷惑かけて。」
そういって申し訳なさそうに見てくる河瀬さん。
「ありがとう河瀬さん。僕の方こそ、変な目を河瀬さんや大寺さん、瞳に向けさせてごめんね?僕の悪評のせいだよね・・・」
それもこれもあの時の件が後を引いてるんだよな・・・
カラオケにリディア達が押しかけ事件。
あれ以降、僕には噂がたった。
曰く、三上龍馬は極度の女好き
曰く、三上龍馬はリアルハーレムを作って、乱れた生活を送っている
曰く、可愛い女の子を見ると、すぐに口説く
曰く、三上龍馬は性欲お化けである
曰く、三上龍馬にはすでに子供が何人かいるらしい
・・・ひどくない?
見に覚えの無いことばかり・・・リアルハーレムってのはまぁ言い返せないけど、乱れて無い・・・絞り取られてるけど。
というか、子供!?いるわけないでしょ!!
この噂のせいで、男子生徒からは目の敵にされて、針のむしろの上に乗ってるみたいなんだよね。
何故か女子からはそうでもないんだけど・・・なんでだろ?何が違うのかな・・・
なんとか誤解が解けないかなぁ・・・
このままじゃ迷惑かけちゃうかも・・・
「龍馬くん?まだ気にしてるの?」
あれ?瞳にバレちゃったかな?
「・・・なんていうか、僕って変な噂ばっかりあるでしょ?だから、そのせいでみんなに迷惑かけちゃってるから、なんとかならないかなって思ってさ。特に今回は、瞳や大寺さん、河瀬さんも一緒でしょ?申し訳なくって・・・先生に言って班を変えてもらった方が良いんじゃないかって・・・」
「「駄目だよ!!」」
「うわっ!?」
瞳と河瀬さんが身を乗り出して来た!?
「別に龍馬くんは悪くない!悪いのは勝手な事を言ってる男子だよ!」
「そ、そうだよ!三上くんは・・・優しいだけ。前に、私が困ってた時にも、何も言わず助けてくれたし、そんな三上くんを悪く言う他の人が悪いだけだと思う・・・」
「まぁ、梨花ちゃんの言うとおりだね。あたしも男子が言ってるのはただの僻みだと思うしさ。気にすることないよ〜?」
瞳と河瀬さんと大寺さんがそうフォローしてくれた。
・・・みんな良い子だなぁ・・・でも、だからこそ、こんな良い子達が僕のせいで変な目で見られるのはどうなんだろう・・・イテッ!?
後ろから桜花に頭
「あなたね・・・気にし過ぎなのよ。良いかしら?この三人は、ここにいるみんなで一緒に修学旅行を楽しみたいから一緒の班になったのよ。勿論私もね。その中にはあなたも含まれてるのよ?私達は他の人が勝手に噂するのなんて気にしないし、困ることも無い。馬鹿どもには勝手に言わせておけばいいわ。あなたが気にしている方が私達は気にするわよ。そうでしょ?」
そう言って桜花は瞳と大寺さんと河瀬さんを見ると、三人は頷いた。
そっか・・・
「だから、みんなで楽しむ事だけ考えなさい。あなたが笑顔の方が私達も嬉しいわ。」
そうだよね。
暗い顔してたら、みんなに悪いか。
折角の修学旅行なんだもんね!
「流石桜花ちゃんね・・・正妻感が半端ないわね・・・」
「そうねぇ。なんか慣れてる感じするなぁ。やっぱりあの時の女の人たちは・・・部活ではそんなそぶりちっとも見せて無かったのに。」
「廻里さん凄い・・・綺麗なだけじゃなくて、ちゃんと三上くんを支えてる・・・」
なんか瞳達がコソコソ話してる。
やっぱり、僕が暗い顔してたから、気にしてくれてたのかな・・・
よし!決めた!もう噂なんか気にしないぞ!!
みんなで修学旅行楽しむんだ!!
「ありがとうみんな!思いっきり楽しもうね!」
・・・あれ?
今の僕に出来る精一杯の笑顔を見せた筈なのに・・・3人とも固まっちゃった?
「・・・はぁ・・・絶対仲間入りするぅ・・・」
「・・・これかぁ・・・みんなやられちゃうのは・・・まいったなぁ・・・」
「・・・やっぱり・・・素敵・・・もう駄目かも・・・他の男の子じゃ・・・」
ん?なんて?
ポソポソ言ってるから聞こえなかったんだけど・・・ってイテテテテテ!?
桜花!?なんで
「もう!あなたは!!どうしてそうポンポン!!もう!!」
なんで!?
なんで怒ってんの!?
ひどくない!?
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