第342話 異世界への招待

 翌日、朝食を食べてからは作業。

 内容は当然、次元扉の設置だ。


 場所は色々悩んだけど、家に土魔法で簡単な地下を作って『スペース』の魔法で広げ、そこに扉を設置する事にしたんだ。


 お昼前には作業を終え、昼食を取る。

 あ、そうだ。

 出かけることを言っておかないと、また心配しちゃうよね。


「父さん、母さん、昼からちょっと出かけるから。すぐにかえって来るけど。」

「ん?どこか行くなら車出そうか?というより、昼から明日にかけて時間くれって言ってなかったか?」


 父さん達が不思議そうにしている。


「ああ、ちょっと異世界行って、こっちの扉と繋ぐ作業をしようと思ってさ。」

「ああ、なるほど・・・って、はぁ!?」

「あんた・・・そんなコンビニ行くみたいに・・・」


 驚く父さんと呆れる母さん。

 そんな事を言われても・・・


「扉を繋ぐためには、どうしてももう一度行かなきゃいけないんだよね。魔法使うから、さっきこっそり作った家の地下に扉を設置したんだ。」

「はぁ!?地下を作っただぁ!?」

「いつのまに・・・」


 驚きが止まらない父さん達。

 一応見せておいた方がいいかな。


 食事後、僕の部屋にある押入れに両親を連れて行く。

 

「なんだこりゃ・・・?」

「どうなってるの・・・?」


 そこは4.5帖間一つ分くらいに広げられ、壁に扉がつけられていた。


「ここから、家の地下に行けるんだ。」


 そう言って扉から中に入ると、そこは50メートル四方の大きな空間になっていた。


「おま・・・これ・・・建築基準法や、他の法律は・・・」

「あくまでも、これは魔法で広げた空間だからね。実際は、家の敷地からは出てないよ。地下40メートル位下だし、魔法で強化してあるからね法律は・・・うん。」

「・・・魔法ってなんでもできるのね・・・」

「なんでもは出来ないよ。出来ることだけ。」


 ちょっと某ラノベのヒロイン・・・に成れなかった大好きなキャラのセリフをもじってみる。

 一度言ってみたかったんだよね。


 当然、父さん達は元を知らないから、無反応だけど。

 悲しい。


「ま、まあ分かった。危険が無いのであれば・・・いい・・・のか?」

「・・・どんどん常識が崩れて行くわね・・・」

「とにかく、今から魔法で向こうに行ってくるよ。もう少ししたら、桜花達が来るから、帰ってくるまで待っててね。父さん達も、一泊の用意してきてよ?」

「一泊?それはいいが・・・どこに・・・まさか!?」


 そう。


「はい。異世界ツアー・・・はそのうちとして、みんなの紹介がてら向こうへお泊りします。」


 父さん母さんは、僕の言葉に固まっていて、解けるとすぐに、


「はぁっ!?」

「いきなりすぎるわよ!!」


と叫んだ。

 サプライズ成功だね!

 ・・・喜んではいないけど。


「まぁまぁ、それじゃ行ってくるので、居間で待っててね。今来た扉をくぐれば僕の部屋に戻れるからさ。ああ、そうそう、光からは離れててね。それじゃ!!」

「あっ!ちょっ・・・」

「こら!っ龍馬!まちなさ・・・」


 待ちません。

 絶対に長くなるし・・・帰ったら怒られるよね・・・


 僕は帰還魔法を発動した。

 いきなり巨大な光の魔法陣が現れ驚く両親。


 僕は光に飛び込み異世界に戻った。


side龍馬父&母


「まったくあいつは・・・馬鹿は死なないと治らんと言うが、あいつのマイペースも異世界に行っても治らなかったか。」

「本当に・・・誰に似たんだか・・・」

「えっ?そりゃ母さんじゃ・・・」

「あなた?」

「ひっ!?なんでもないです!」

「やれやれね。とにかく、こんな経験できないものね。なんだかんだで楽しみだわ!急いで準備しなくちゃ!!」

「(ほら、やっぱり母さんそっくりじゃないか・・・)」


side龍馬


 光から出ると、庭に出た。

 よし、戻って来られたな。

 ん?

 家から誰かが飛び出して来た・・・うわっ!?


「龍馬さん!」

「「「リョウマさん!」」」

「リョウマ!!」

「リョウマお兄ちゃん!!」

「リョウマくん!」

「リョウマ様!」

「ご主人さま!!」


 みんなが飛びついて来た。

 みんな笑顔だ。

 ホッとしている顔もある。

 メイちゃんやエスメラルダは涙ぐんでいるけれど。


「ただいま。みんな。」

「「「「「「「「「「おかえりなさい!!」」」」」」」」」」


 は〜・・・やっぱり、みんなに会えると嬉しいな。

 あれ?ジード達は?


「今朝から旅に出ましたよ。管理者としてまず、世界を見ておきたいそうです。」


 セレスがそう教えてくれた。

 そっか。

 じゃあ、また会うのはかなり先かな。


 まぁ、会おうと思えば会えるんだろうけど。

 通信石も渡してあるしね。


 僕は、みんなに今からの予定を伝える。


「・・・こんなに早くなんて思いませんでした。」

「まぁ、確かに驚いたが、いいじゃないか、リディアちゃん。これで、いつでもリョウマに会えるんだから。」

「それもそうですね。」


 さて、再会の挨拶はこれくらいにして、さっさと作業を終えるかな。


 僕は地下で作業し、設置を終えると、


「それじゃみんな。この時計で2時間後位に戻ってくるから。」

「おまかせ下さい。歓待の準備をしておきます。」

「おまかせ下さい。」


 ルーさんとアナがめちゃくちゃ気合を入れていた。


「私達もお手伝いしましょう。」


 まとめ役のリディアの合図でみんなも動き出す。

 僕も戻って準備をしなきゃね。


 僕は、設置したての次元扉を潜る。

 次の瞬間には僕の自宅の地下にいた。

 成功だ!

 念の為、もう一度扉を使って行き来したけど問題なし!


 僕は、自室に戻り、居間に行く。

 すると、そこには父さん達と、桜花達がいたんだ。


「ただいま。無事行き来できたよ。」

「おかえり。流石ね。」


 桜花が僕に微笑む。


「龍馬くん・・・今、明良さんから聞いたんだが・・・本当に行くのか?」

「ええ、その方が、より信じられるでしょう?それに、今後僕たちはどちらも行き来します。桜花がどんな所に行っているのか気になりませんか?」

「それは確かに・・・」


 ちなみに明良というのは、僕の父さんである、三上明良あきらだ。母さんは、三上実花みか

 昨日の最後に、これからは家族ぐるみの付き合いになるからと、父さん達も名前で呼び合うようになったんだ。


「一応、向こうで準備をして貰っています。今から、1時間30分位時間を潰して貰ってから向かいます。」

「龍馬。手土産はどうするんだ?」

「・・・どちらでもいいけど・・・だって、僕のホームだし。」

「でも、他の方もいるんでしょ?その・・・婚約者の人達が・・・」


 母さんが、士元さんの手前少し言いづらそうだ。

 それを見たすみれさんが、


「実花さん。お気になさらずに。私達も、あれから桜花と話して、もう受け入れる準備はできていますから。とても良い子たちだと聞いていますし。」


 そう笑ったので、母さんはホッとしていた・・・父さんもか。


「では、時間まで、我々で手土産を購入して来るとするか。何人くらいいるんだい?」

「そうですね・・・僕の友人であり、師匠達はもう旅に出たそうなので、今は僕たち含めず10人ですかね。」

「え!?ジードさん達出かけちゃったの?」

「うん。管理者として、世界を見ておきたいんだって。」

「そっか・・・寂しくなるわね。」

「通信石で連絡とれるからさ。」

「・・・そうね。」


 そうして、時間を潰し、地下に来ました。


 士元さん達は、めちゃくちゃ驚いてたよ。

 

 さあ、いざ、異世界にご招待!!

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