第308話 VSヴァリス(2)

 僕はヴァリスに悟られ無いように準備を進める。


 魂魄回路形成こんぱくサーキットフォーメイション

 霊子回路認証れいしエンジンアクティベート

 魔力並列起動マジックパールラースタートアップ

 気力開放オーラオープン

 対神術式発動アンチゴッドテクニックアクティベート


「対神兵装起動!装着、対神兵装アスラ!!」


 僕の身体を、背後に現れた闇が覆ってき、闇が晴れた時には装着は完了していた。


「それが黒瀬を屠ったものか・・・忌まわしい者を思い出させてくれる!」


 ヴァリスが苛立っている。


「それってジードの事でしょ?」

「何!?何故貴様が知っている!?」

「馬鹿じゃないの?なんで教えなきゃいけないのさ。せいぜい考え抜いてハゲればいいよ。」

「・・・つくづく苛つかせてくれる!神に向かってそのような不敬な物言いを・・・」

「あ〜いいよいいよ。神気取りは。あんたは、所詮その手前の管理者なんでしょ?それも落ちこぼれの。全部知ってるから。だからあんたが神(笑)とか名乗る度に笑えて笑えて・・・はっ!?まさかそういう攻撃だった!?僕を笑い死にさせるための!?」

「貴様・・・貴様あ!どこまでこの俺を虚仮にすれば・・・!!」

「底が見えてきたね神気取り。我とか名乗ってたのに俺になっちゃってるよ?まあいいや。そんな事より、神とか名乗る頭の悪い田舎者いなかもん、今からちのめす!!」

「貴様ぁ〜!!」


 さあ、第2ラウンド開始だ!!


 ヴァリスは手をこちらに向けて、立て続けに光線を放ってきた。

 僕は動かずその一本、一本を腕で弾き飛ばす。

 どうせ躱しても、コントロールされて躱しきれないだろうからね。

 今の防御力なら、弾いたほうが早いし隙も小さい。

 弾けば消滅するしね。


 そのままこちらも向こうに手を向ける。


「『レーザー』」


 僕が放った光魔法は、ヴァリスの正面で吸い込まれて行く。

 ここ!

 僕は後ろに手を翳し、そのまま無詠唱で『レーザーキャノン』を放つ。


 すると、背後に転移したレーザーが、僕を襲おうとしていた所に直撃し、レーザーをのみこみながらヴァリスの正面、僕の放ったレーザーが飲まれた位置からレーザーキャノンが飛び出てきた。


「馬鹿め!俺に届くわけがなかろう!」


 これはおとり!

 僕は、ヴァリスに知覚される前に、縮地でヴァリスの正面に移動し、ヴァリスの左腕を右手で掴む。


「捕まえた。」

「何だと!?」


 これで、ヴァリスは避けられない。


「不敬だ!下等生物!!」


 ヴァリスが剣を持つ右手を振り下ろしてくる。

 甘いよ。

 僕は掴んでいるヴァリスの左手の方向に、大きく一歩右足を移動させ、左足を引きながら、そのまま掴んでいる左腕を捻るようにすると、ヴァリスの体勢は崩れ、剣は空振りした。

 よし!

 僕は掴んでいる手の握りを変えながら、ヴァリスの腕を水平に腕を伸ばし、そのまま背後へ回って、渾身の鉄山靠てつざんこうを食らわせる。


「ごはっ!?」


 ヴァリスは吹っ飛びそうになるけれど、手を握られているから離れることは出来ない。

 ここで、神力を見極める。

 僕は拡張した処理能力と、擬似的な魔眼で、ヴァリスの身体をじっくりと見る。

 

「おのれ!」


 ヴァリスは、僕の足元の地面から、魔法で杭を放って来た。

 僕は握りを変えながら転身し、杭を躱す。

 そして、ヴァリスの背中を正面にして、力の流れを見続ける。

 

 僕に杭を躱されたヴァリスは、そのまま正面の空間を横薙ぎにした。

 それを待っていた!

 僕の背後に剣身が現れ、僕の背中を横薙ぎにする。

 僕は動かず硬気功でそれに相対したけど、流石に全てのダメージを防ぐことは出来ない。

 対神兵装にヒビが入り、その下にある肉体にもダメージが入る。

 でも、今手を離すわけにはいかない!


 ヴァリスはそのまま剣を振り回してきた。

 僕は硬気功で防御を固め、必死で攻撃に耐える。

 その間も、ずっとヴァリスの身体を見続ける。


「いい加減手を離せ!下等生物!!」


 ヴァリスが僕の頭部を攻撃しようとした。

 でも、その瞬間、ヴァリスの胸の奥に光る何かがはっきりと見えた。

 その光は、ヴァリスが力を振るう度に光を強くしていたものだ。


「見つけた!!」


 僕はヴァリスの手を離し、頭部への攻撃を身体を捻って躱す。

 そして、そのまま距離を取った。


「あのような方法で俺を攻撃するとは・・・もう近づけさせんぞ!」


 勝手に言ってろ。

 僕はお前の力の在り処に気づけた。

 まずはそれを封じる。

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