第171話 エルフ族
僕の話を聞いた後、ほとんどの人が沈黙している。
イリーナさんやケーラさんもそれは同じだ。
ただ、ケヴィンや戦士長、セルマさんやエルマさんは納得しているようだった。
長らくエヴァンテスさんは黙っていたが、真剣な目で僕と目を合わせた。
「すんなり信じる訳にはいかぬ。証明できるものはあるか?」
「無いです。物はね。僕が知っているのは知識のみ。魔神の名前がジードで魔族だったこと、それと全ては管理者のヴァリスが引き起こしたものだという事。同じ管理者の女神セレスがヴァリスに封印されたこと、後はジードを封印した止めとなったのは色々な命を生贄にした勇者の一撃だったってことだけ。後は・・・」
僕は黒水晶を取り出す。
「この中にジードの力があるって事だけ。墓所にはこれと同じか似たものがあるはず。多分バム達の目的はこれの入手だと思う。」
エヴァンテスさんは黒水晶を見て目を見開いた後、僕に向き直った。
「間違いないようだ。君はジードさんの弟子なんだな・・・目的はジードさんの解放で間違いないんだね?」
「一番の目的は元の世界に帰ることだけどね。でもジードもできれば助けたい。セレス様もね。そしてヴァリスは潰すつもりです。」
僕がそう言うと、エヴァンテスさんは嬉しそうに笑った。
「エルフ族として歓迎しよう。今日この時より君たちは我々エルフ族の盟友とする。反対する者はいるか!?」
エヴァンテスさんがそう叫ぶと、皆首を横にふった。
こうして僕たちはエルフ族に歓迎されることになった。
夜には歓迎の宴が行われるらしいけど、まずは情報共有と部族としての体制の変革、対応の会議が行われる事になった。
はじめに、今回の件の責任を取って、戦士長は辞任し、ケヴィンさんが戦士長を継ぐことになった。
元戦士長はそのままケヴィンさんの補佐になるんだって。
そして、今後間違った知識を植え込まれないよう、メイビス領と親交を持つことになった。
極端な閉鎖主義が今回の件に繋がった事はよくわかっているようだね。
僕と一緒にいたアリオスさんは信用できるんだって。
交易なんかもするらしい。
現在人族とエルフ族は交易していないらしく、思わぬ展開にアリオスさんがホクホクしていた。
4日後バム達が来るまで僕たちの存在は秘匿される。
と言っても、気配察知でも怪しい人はいないから宴は問題なさそうだけどね。
今後も連絡を密にするため通信石をエヴァンテスさんに渡す。
エヴァンテスさん達は通信の魔道具に驚いていたけど、興味津々だった。
そして、転移門の設置にも協力してくれることになった。
但し、あくまでもそれは僕のホームに繋がるもののみという事になった。
それと簡単な娯楽として、チェスとオセロを教えて上げた。
これは大いに喜ばれた。
やっぱり娯楽も大事だもんね。
これにはアリオスさんとイリーナさんも食いついた。
今後量産して行くことになるらしい。
僕は浸透したら大会を行うのはどうかと提案してみた。
するとこれにも即同意。
エルフを交えた大会を催す事になりそうだ。
うんうん、やっぱり殺伐としているよりこういうことの方が僕は好きだなぁ。
そうして会議を終え日も暮れたので、歓迎の宴が催されることになった。
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