第168話 里へ

 戦士たちのリーダーの名前はケヴィンというらしい。

 僕たちはケヴィン達を交えて作戦会議を行った。


 ケヴィンによると、里にはまだ100人位の戦士がいるらしい。

 ケヴィンはエルフ族の中では強いらしいが、ケヴィンを超える戦士がまだ3人いるそうだ。


 戦士はみな首飾りをつけられているので、基本的にはそれを如何にして外すかということになる。


 僕たちがうんうん唸って考えていると、ケヴィンが、


「全員倒してから剥ぎ取ればよかろう。戒めも兼ねてな。我々エルフ族は確かに選民意識が高い。だから、人族や獣人族にも強者がいることを知らしめる良い機会かもしれん。」


 中々過激だけど案外良い案かもしれない。

 一番手っ取り早いしね。


「よし、そうと決まればさっそく向かおう。明後日に支援者が来るならそれまでに里を落ち着かせておきたい。多分本番はそこからだしね。」


 ケヴィン達も自分たちを利用した真神教徒に怒り心頭のようで、気合は充分だ。

 目に怒りの炎が見える。


 そうそう、支援者の名前はバムというらしい。

 まんまるの太った男だそうだ。


 ケヴィンの話では、バムとその取り巻きとして三人くらいがいつも来るようだ。

 その三人は女性が二人と男が一人。

 中々強者の気配を感じると言っていた。


 こいつらが来るまでに決着をつけないとさらにこじれる可能性がある。

 急がなきゃ。


 僕たちは森の中を進む。

 エルフは森の民とはよく言ったもので、さくさく森の中を進む。

 アリオスさんたちは中々のハイペースに疲れが見える。


 ちなみに僕とアイシャ、メイちゃんはまだ余裕がある。

 日々の訓練のほうが苦しいからね。


 一時間位歩くと小高い丘に出た。

 崖下には小規模な街が見える。


 あれがエルフの里か。

 僕たちは階段を降り里に向かう。


 方針は簡単、正面突破だ。


 僕たちが里に入るとすぐにエルフの戦士と思われる奴らが沸いてきた。

 彼らは僕たちを見て薄ら笑いながら、


「ケヴィン、戦利品かそいつら。今日はお楽しみだな。エルマもいるし最高じゃないか!」


 と言った。

 ケヴィンさんは目をつむって、


「・・・嘆かわしい・・・そして情けない・・・こんな状態に誇りあるエルフの戦士がなっているとは・・・人のことは言えんがな。」


 怒りと悲しみを堪えて言う。

 それを聞いたエルフの戦士たちは、


「あ?何いってんだ?とっとと連れ込んじまおうぜ。大隊長のところに連れてったら俺たちにおこぼれはないぜ?」

 

と言った。

 それを聞いたケヴィンさんは、一人の戦士に当身をして気絶させた後に、


「リョウマ、遠慮はいらない。目を覚まさせてやってくれ。できれば殺さないでやって欲しい。これでも気のいい奴らなんだ。」


と言った。

 僕たちもそれぞれ攻撃態勢を取り、


「わかってるさ。アイシャ、メイちゃん、みんな、やるよ?」

「ああ」

「はい!」

「わかっているさ」

「腕がなりますわ!」

「全力を出します」

「私もエルフ族の戦巫女として力を尽くします。」


 そして戦闘が始まった。

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