第103話 冒険者ギルドにて 獣人の姉妹(3)


 訓練場に着くと、出口付近に狼の牙が陣取り、僕たちは逆側に行く。

 ギルドからの立会には許可を出した女性のみ。


「ガキ、震えててももう逃げ出せねえぞ。後悔するんだな。」

 リーダーが憎たらしい顔でそう言った。


 無視無視。


 ギルドの女性が、


「それでは、訓練を開始します。お互い、相手の怪我には一切に関知しない、ギルドも関知しない、この条件で良いですね?」


「構わねえぜ。こっちが戦うのは俺だ。」


と言った。

 僕は、


「一つ良いですか?」


というと、リーダーは、

「なんだ?今頃命乞いか?もうお遅せえってんだ。」


 無視無視。

 僕はギルドの女性に、


「面倒くさいんで僕と相手全員で良いですか?」

「副ギルドマスターの名に置いて許可します。」


「は?」

 リーダーは面食らっている。


「それでは始め!」

「ちょ・・・おい!」


 狼の牙は困惑している。


 そんなの待ってやらないけどね。

 

 僕は中央付近から歩いて近づいていくと、ようやく男たちは警戒し始めた。


「舐めてんのか!!」

 リーダーが剣を振り上げる。


 振り下ろした時には、僕は一足飛びに、出入口の前に移動していた。


 目の前の男は突っ立ったままこちらを見ている。

 

 僕は隙だらけの男の、剣を持つ手を回し蹴りで蹴りぬいた。

 ボキボキッ


「ガッ・・・」

 男は10メートルくらい吹っ飛んだ。

 腕はあらぬ方を方を向いた状態で、倒れて呻いている。

「ぎゃああああ!腕が!脇腹が!!」


 どっちの骨も思い切り折ってやったからな。


 僕はそのまま斧を持って身構えた男に、近づき左手刀で手首を打つ。

 ゴキリ!!


「ぐあああああ!腕が!腕が!」

「喚くな鬱陶しい。」


 そのまま右手で裏拳の要領で縦に腕を振り、男の顎を振り抜く。

 バキャン!!


「ごおおおおおお!」


 男は割れて外れた顎を押さえて転げ回っている。

 あと三人か・・・出入口は塞いだな。


「これで逃げられないね。」

 僕はリーダーの男を見てそう言う。


「何?・・・なんだてめぇ、俺たちは王都の・・・」

「ああ、そういうのいいから。」


 僕は、リーダーの左隣に居た魔法師風の男の側に近づいていく。


 魔法師は、すぐに我に帰ったみたいで、

『風よ!鋭刃となれ!ウィンドカッター!』


 魔法を唱えて来た。

 僕は、飛んできたウィンドカッターを手刀で切った。


「魔法を切った!?馬鹿な!?」

「馬鹿はあんただ。」


 ダン!っと足を踏み降ろし、

『大地の牙』


 魔法師の下から石の棘が隆起し、魔法師の両足の甲を貫いた。

「ぎゃああああ!!」

「うるさいよ。」

 手を銃の様にを向けて、

『エアブリッド』

『エアブリッド』


二発風の弾丸を放って、魔法師の両腕を撃ち抜いた。

魔法師は激痛で気絶し倒れた。


「む・・・無詠唱だと・・・?」

 リーダーはこちらを向いて愕然としている。


 すると、リーダーの右隣にいた武道家らしき男が、飛び込んで来て、

「近接なら魔法は使えねえだろ!!」


 そのまま突きを放ってきた。

「功夫が足りないね。」


 僕は突いてきた拳に右手で突きを放つ。

 ゴキャア!!

 そのまま男の拳を砕いた。


「アガァッ!!」


「お前のような下衆に武術をする資格はないね。」


 僕は一歩大きく踏み出し震脚をしながら、左半身で靠(こう)を放った。

 つまり、体当たりだね。


 ベキベキ!!

 男は肋なんかの身体前面の骨を砕かれながら泡を吹いて倒れた。

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