第136話6-6エマ―ジェリア脱落


 ミーニャとエマ―ジェリアさんは簡易カーテンルームで着替えを終えて出てきた。



 「な、何なのですのこの破廉恥な水着は!?」


 「ふふ、貧相な身体だからソウマ君に見られるのが恥ずかしいのでしょう?」


 ミーニャもエマ―ジェリアさんも姉さんの下着姿の様な格好をしていた。

 僕の知っている水着って確か紺色で上下が繋がっていて胸のあたりにでかでかと名前が書いてあったような気がするのだけど、ずいぶんと布面積が少ないね?


 ミーニャもエマ―ジェリアさんも白を基調とした布地面積が小さい上下にわかれた水着だけど、確かにミーニャの方が胸が大きい。

 でもお尻はエマ―ジェリアさんの方が丸くて、ミーニャのそれに比べると姉さんに近いかな?



 「ソ、ソウマ君、そんなに見ないでですわ//////」


 「うーん、寒くないですか?」


 「ソウマ君! 見るならあたしを見なさいよ!! ほら、村を出る時より大きくなっているのよ!」



 僕がエマ―ジェリアさんを見ていると怒られるし、ミーニャは自分を見ろとか大きくなっているとか言ってるし、大人になれば女の子はみんな姉さんみたいに大きくなるんじゃないの?

 そう思って首をかしげる。



 「さて、それじゃぁソウマ君に見られながら醜態をさらすがいいわ! 勝負よエマ―ジェリアとやら!!」


 「ま、負けませんわ! 来なさい魔王!!」



 『それでは私リリスが魔王様と貧乳の勝負を采配いたします』




 「誰が貧乳ですの!? 去年よりちゃんと大きくなっていましたわよ!!」




 なんかリリスさんも口出ししてきてミーニャとエマ―ジェリアさんの勝負が始まる。

 二人とも円形の台の上に上がりにらみ合ってから後ろを向く。



 『勝負はお尻以外の接触を禁じます。お尻以外での攻撃、防御もだめですので注意してください。この台の上から落ちた者が負けとなります。良いですね?』



 リリスさんの説明にミーニャもエマ―ジェリアさんも頷く。

 そして二人とも相手の位置をちらりと振り返り確認をして息を吸い込む。



 『それでは尻相撲一本勝負、はじめっ!!』



 リリスさんのその合図で二人ともすぐに動く。

 

 ミーニャはお尻を思い切り突き出しエマ―ジェリアさんにぶつけようとする。

 しかしエマ―ジェリアさんは狭い台の上でミーニャの攻撃を自分のお尻で軽く流すように逸らす。



 つるんっ!



 「うっ!?」


 「やはり速攻で決めるつもりでしたわね? でもそのお尻では私の流線形のお尻を捕らえる事は出来ませんわ! 喰らいなさい、ヒップインパクト!!」


 エマ―ジェリアさんはそう言って腰を振りミーニャの突き出たお尻に自分のお尻をぶつける!?



 ぱんっ!



 「くっ! まだまだぁっ!」


 エマ―ジェリアさんのお尻に押された腰をひねってミーニャは寸での所でその力を流しギリギリ足場を踏み外すことなく耐えた。



 「隙ありですわ! ヒップボンバー!!」



 エマ―ジェリアさんは叫びながら軽く飛び上がりながらお尻からミーニャに体当たり、いや、尻当たりをかける。

 しかしミーニャは少ししゃがんでから飛び落ちて来るエマ―ジェリアさんのお尻に自分のお尻をぶつける!



 「魔王流防壁ヒップロウ!」



 自由落下に自身の体重を乗せたエマ―ジェリアさんの攻撃を立ち上がる力も加えて直線的なベクトルを加算して鉄壁なお尻の壁で迎え撃つミーニャ!



 ぱちーんっ!



 エマ―ジェリアさんとミーニャのお尻がぶつかり合いつばぜり合い状態になる。



 「凄い! まだまだ未熟な身体の癖に二人ともお尻の使い方に長けている!?」


 「あ~、主よ、驚くところがそこかよ?」


 「ミーニャ、エマ―ジェリアさん!!」


 ぴ、ぴこ?



 姉さんは驚きの声を上げるもリュードさんもアイミもなんか言っている。



 「なぁ、僕たち出て来る必要なかったんじゃないか?」

 

 「何言ってるんです! 久しぶりの本編登場なんですよ!? 出ないでどうするんです!?」


 「あ~、僕もやっとセミリア様の所から解放されましたしねぇ~。あそこでこき使われるよりアガシタ様の下でバカやっている方が楽ですよ」


 なんかしみじみとアガシタ様たちも言っているけど、何の話だろう?

 ミーニャとエマ―ジェリアさんは狭い台の上だと言うのに二人とも激しくお尻をぶつけ合い勝負の火花を散らしている。



 「魔王流旋風尻、ヒップトルネード!!」



 ぐいんぐいん!



 こう着状態からミーニャが動いた。

 ミーニャはつばぜり合いしているお尻をいきなり腰を振りながらぐるぐる回してエマ―ジェリアさんのお尻を押し始める。


 「確かに貴様のお尻は私に比べ丸くてすべすべだがこの技で巻き込みながら捕らえれば逃げられはせん! さあこのまま押し切ってやるわ!!」


 「くっ! 私のお尻を包むように押し来るとはですわ!!」


 ぐりんぐりんとお尻を回しながらエマ―ジェリアさんを押し付けるミーニャ。

 じりじりとエマ―ジェリアさんが押される。

 このままじゃエマージェリアさんが台から落ちてしまう、そう僕が思った時だった!



 「目には目を歯には歯をですわ!! こちらも行きますわよ、ヒップトルネード!!」



 言いながらエマ―ジェリアさんも腰を振りながらお尻を回転させミーニャのそれと動きを合わせる。



 「何!? ソウマ君との初めての夜の為に鍛えたあたしの腰の動きに付いてくるだと!?」


 「ふん、私だって奇麗なお尻と腰のくびれの為には密かにピップダンスを行っていたのですわ!! そんな邪な妄想の鍛え方とは格が違いますわ!!」



 ミーニャの腰の動きを上回る速度にエマ―ジェリアさんのお尻が回される。



 「なっ、このあたしの速度を超えただと!?」


 「このまま押し戻してあげますわ! 覚悟、魔王!!」



 ぐいんぐいん!

 


 よくもあそこまで腰が動かせるね、エマ―ジェリアさん。

 僕は感心して見ているとエマ―ジェリアさんの水着の紐が‥‥‥


 「さあ、もう少しですわ、魔王ミーニャ! ソウマ君はあなたになんか渡しませんわ!!」


 「く、このままでは‥‥‥」


 なんか姉さんがおかしくなる時の様な顔つきで少し赤くなっているエマ―ジェリアさんは鼻息荒くミーニャにとどめを刺そうと腰を回しながら突きつける。



 はらっ~



 「あ、エマ―ジェリアさん!?」


 姉さんが悲鳴を上げた。

 そしてその布は紐がほどけ高速回転を続けるエマ―ジェリアさんのお尻から離れる。



 「へっ、ですわ?」


 

 多分エマージェリアさんも気付いたのだろう、はらはら~っと落ちていくその水着が視界に入って回していたお尻の動きが止まる。



 「チャンス! 魔王流短距離打撃尻、ヒップサイドワインダー!!」



 ミーニャは止まったエマ―ジェリアさんのお尻から腰を引き一旦離れ、すぐにお尻を左右に振りながらエマ―ジェリアさんのお尻にぶつける。

 動きの止まったエマ―ジェリアさんはミーニャのその一撃をもろに食らってしまった!



 ぺち~ぃんッ!!



 「きゃっ! あ、ああっ!!」



 エマ―ジェリアさんはバランスを崩しそのまま前のめりで僕たちの方に転げ落ちる。



 『勝負あり! 魔王様の勝ちです!!』



 リリスさんが声を上げ勝敗を決定する。




 ごろん。



 エマ―ジェリアさんは股間を手で押さえながら転げ落ちたせいで勢いを殺せず僕の前まで転がってきてしまう。



 「エマ―ジェリアさん、大丈夫ですか!?」


 「いたたたたたぁ、うう、負けてしまいま‥‥‥し、い、いゃぁですわぁっ!!!!」



 僕の前に転がってきてしまったエマ―ジェリアさんは脚を大きく開いた状態で止まっていた。


 「あっ、そうかエマ―ジェリアさん水着が‥‥‥」


 思わず僕はそれを見て言ってしまった。

 エマ―ジェリアさんは外れて落ちた水着の下を穿いていない。

 慌てて手で隠し真っ赤になりながら大騒ぎするエマ―ジェリアさん。




 「ふん、いい格好よ!」



 パチン!



 言いながらミーニャが指を鳴らすと手で股間を隠し大騒ぎしている格好のままエマ―ジェリアさんは固まって灰色になってしまった。



 「ミーニャ!」


 思わず僕はミーニャの名前を叫んだけど、ミーニャはまるでゴミでも見るような目つきでエマ―ジェリアさんを見ている。


 「ふん、ソウマ君にすり寄るゴミ虫が。好い格好だわね? ずっとこのままにしてやりましょうかしら?」


 「ミーニャ! いくらんでも酷過ぎるよ!! せめてエマ―ジェリアさんに水着を穿かせてやらないと風邪ひいちゃうじゃないか!」


 「そこかよ!? ソウマ!!」


 何故かリュードさんが驚きの声を上げるけど何も穿いてなきゃ風邪ひくでしょ?


 僕が抗議するとミーニャは僕の腕を取って引っ張る。

 そして自分の胸を僕に押し付けながら言う。


 「いいじゃ無いの、ソウマ君に近づく女はみんな排除してやるんだから!」


 「ミーニャ! ソウマから離れなさいよ!!」

    

 すぐに姉さんも僕の腕を引っ張って胸を押し付ける。

 そしてしばし睨み合うミーニャと姉さん。

 村で何時もやっている事だ。



 「ふふふふっ、フェンリルさんも勝負で負かせてやりますよ。そしてソウマ君は晴れて私のモノ。異論はありませんよね?」


 「させないわ、ミーニャ!!」



 僕を二人で引っ張りながら目の前で火花を散らしている。

 そんな中リュードさんはこちらにやって来て言う。 



 「悪いが主、次は俺が相手だ」




 僕は思わずリュードさんを見上げるのだった。

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