第17話・管理人

お客様は久しぶりなんです。」

“人”を強調しているエリーさんは、さっきまでのふんわりとした雰囲気はどこへやら。

あやしい雰囲気だ。

「ふふっ、楽しい御方ですね。勿論、嫌味などではなく…。純粋に、楽しくしてくださる方…。よかったですわね、恵翔けいと君。素敵なお友だちができて。」

また顔に出ていたのだろう。エリーさんは穏やかな微笑みを、恵翔けいとは冷ややかな嘲笑を浮かべながらオレを見ている。

さっきの、一瞬エリーさんを警戒して身構えたオレが恥ずかしい。

『ホント、賑やかになりましたよ。』

にぎやか、ねぇ…。お前、何もせずに近くにいるだけだったとき、すげー怖かったよ?エリーさんといたときって……。

こんな美少女と仲良くなるのにこんな性格じゃ、多分無理だし……?

「あ"っっ、自己紹介!!オレ、名前とか言うの忘れてた!白川しらかわ紅華こうはっていいます!17歳です!よろしくお願いします!!!」

『ふふ……ッ…、…っは……くふふ……ッ。』

今度は、恵翔けいとは冷ややかな視線ではないが確実にオレをバカにして吹き出した。エリーさんまで柔らかく笑っている。

「ちょ、けい…お前…。エリーさんまで…!」

怒るオレを宥めるために、恵翔けいとがオレの頭を撫でる。

『エリー、こうはバカ真面目なんです。だからか…、楽しくなってますよ。……俺、そういうのは嫌いじゃないです。』

「まーたバカ言う!!!人をバカにするのも大概にしろよな!!」

「あらあら。恵翔けいと君。お友だちですから、大切にすべきですよ。バカだなんて…。ごめんなさい、紅華こうは君。彼は一応、貴方を褒めていらして…。貴方がとても良い人だと仰っておられるのです。ただ、口が悪いだけで…。

それと…、わたくしのことはエリーと…、呼び捨てで構いませんよ?」

そう言い、エリーさんは微笑んだ。

「で、でも!図々ずうずうしいし…」

「“図々ずうずうしい”で丁度ですよ…♪」

『そうそう。それがアンタ紅華の取り柄でしょう?』



こうして、図書館の2階_____“資料の間(オレ命名)”の管理人・エリーと出会った。

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