周囲7.津江月と風波見

「お、ミツキ見ろよ。花野木はなのきさんと鳥谷部とりやべがコンビニのところにいるぞ」


「おやホントだねぇ、ハ……ハヤト」


「お前、まだ俺のこと名前で呼ぶの慣れないのか?」


「仕方ないでしょ。ボク達は悪友である期間が長すぎたんだからさ。すぐに慣れるわけないよ」


「俺はミツキのこと、名前で呼ぶの平気だぞ。何度も呼ぶぞ?」


「……こないだの休日のおかげで、ボクもやっと呼ばれる方は慣れてきたよ」


「なんだ。名前で呼ぶと赤くなって可愛かったのに、つまんねーなー。休みにあんまり連呼しなきゃよかったか……」


「ハヤ……トはMだと思ってたけど、Sなんだね……。ボク、赤くなりすぎて死ぬかと思ったよ」


「俺もMだと思ってたんだけど、可愛い彼女相手にはSになっちゃうみたいだ」


「……‼︎ またそういうことを言う!」


「ハッハッハ、新しい自分の発見ってやつだな。可愛いぞミツキ」


「う~……。そ、それよりあの二人だよ!! あの二人!! 見つけたのハヤトだろ!!」


「そうそう。ほら、なんかコンビニで買ったと思ったら手を繋いで帰ってるぞ」


「ほんとだ。今のボクらみたいだね……」


「ミツキの手って思ったより大きいけど、細くて可愛いよな。指長くてしなやかで綺麗だし」


「またいきなり褒め……ニギニギするなぁ!! ゾクッとするから苦手なのそれ!! 腰抜けそうになるの!!」


「へーいへいへい。しかしあれだね、あの二人……なーんであれでまだ付き合ってないのかね? 信じらんねんだけど」


「そうだね、同意だ。でもボクが思うに、幼馴染が恋人になったら……また幼馴染に戻るのが難しいからじゃないかな?」


「なんだそれ? 難しい話は分かんねーぞ俺」


「まぁ、アスカが案外ナイーブだって話だよ。鳥谷部君のニブさもあるしね」


「さっさと付き合って、やる事やっちまえば良いのにな。俺等みたいに」


「ボクらまだ何もしてないだろ!! ニヤニヤするな!! 誤解を招く言い方しないでよ!!」


「あ、怒った?! ご、ごめんミツキ、耳引っ張らないで!! 謝るから、耳に息吹きかけて囁かないで!! あ……ちょっと気持ちいいかも……」


「……まったく、ボクのハヤトは仕方ない男だなぁ」

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