第12話 初代龍王様

 赤龍は山を思わせる巨体を持っており全身を覆う鱗はわずかに光を放ち綺麗なルビー色をしている。



「これはこれは、覇王様ではないですか」


「シザースか...まずは礼を言おう、」




埃を払いながら体勢を立て直す

シザースは龍の体で出来る限りの平伏の姿勢をとっている



「戦闘中でしたら余計なお世話をしてしま...」



謝罪をしようとするシザースを片手をあげ止める




「本来の目的はシザースの所に来るのが目的だったからな、ある意味結果オーライだな」


「そうでしたか、では、何故戦闘を?平和になったこの世界で戦闘とはある意味珍しい行動になりますので」




シザースが疑問を思う、この修羅の世界は、平和になった。魔界と人間界と天界をを支配する王が現れたからだ


領土を取り合う戦争も無く、人々は手を取り合い協力し合いながら生活をしている。


修羅の世界は強き者が正義の世界欲しい物があれば力で奪いとる、根本的なことは変わっていないが王によって仕組みが変わった。


戦闘は両者合意の上で行う、その戦闘は各種族の上位者に通達されもし掟を破ったものがいる場合、その種族は王によってじきじきに罰が下される。

この掟は人間がいた場合うまくいかなかっただろう、王が王になった時には既に人間界は魔族の手に落ちており、亜人種は魔族に見つからないようひっそりと生活していた


王がこの掟を世界の掟としたとき一番反感が強かったのは天界の連中だった、魔族の連中が従うわけがないと、そこで『堕天使ルシファー』が魔族を代表し天界の長『熾天使ミカエル』と王話交え三人で話し合いをした。


魔族は王の圧倒的強さに忠誠をつくしもはや魔族とは言えないような生活を送っていた。

その様子を見たミカエルは困惑していた、悪しきことをしない魔族を血筋だけで悪と決めつけていいのかと、


ルシファーもすでに心を入れ替えておりミカエルたちと協力したいという姿勢を見せていた。


悪魔と天使が協力したことをきっかけに王を仲介人として亜人族も形見の狭い生活から解放されたのだ。

その三種をまとめ上げた王こそ覇王グレーステ・シュテルケなのだ。



「なに、ただの戦闘指南ってやつだ」


「そうでしたか、それで今日は何故わたくしのもとに?」


「色々あって龍の角が必要になってな」


「それで私のところに来たというわけですか...」




シザースは平然を装っているが、グレースにはなんとなくシザースが戸惑っている気がしていた。




「やはり嫌か?」


「嫌というわけではないですが、角は我々の種族の誇りなので少し思うところがあるといいますか...」




角は元々龍にとって誇りのようなものであり角を折られたものは敗北者として他の龍たちから憐みの目を向けられてしまう

それも龍王ともなれば龍族そのものの敗北を意味する。




「まぁ、無理にとは言わないが」


「いえ、無理ということはありません、ただ....すぐに直していただければ...と」


「もちろんだ、こちらの都合でもらうのだからそれくらいはやるつもりだ」


「ならば私に異論はありません、どうぞ角をお取りください」




頭を差し出すシザースに軽く礼を言いながらシザースの角を手刀で切断した。




「すまないな」



「いえ、この命はかつて貴方様に救っていただいたものです。この程度で恩を返せるとは思ってはおりません、ですが少しでもお力になれたのならこれ以上の喜びはありません」


「恩なんて思わなくていい、今後必要になると思ったからだ、なんてな、ほんとは生きていて欲しかっただけだからな」


「ありがたきお言葉....この...」




シザースが急に言葉を詰まらせた、シザースはかなりの年月を生きており人の言葉も流暢に話せる、そのシザースが言葉を詰まらせたので疑問に感じたグレースは訪ねてみる




「どうした、何かあったのか?」




シザースがなにかを脳内で探るように考え込んでいる




「まだ、憶測の範囲から出てはいないのですが、何者かに記憶を操作された気がしているのです」


「なんだと?少し待て」




グレースは脳内でシーラに語り掛ける




「シーラ、何者かが記憶の改変をしたらしい、わかるか?」


「はい、世界規模で歴史の改変が行われました、ですが残念ながら何が変わったかまではわかりません」


「誰がやったかわかるか?」


「先ほど魔力による干渉を受けましたが、能力差で防げました、相手は....ロキです」




過去改変の正体はロキだった、ロキは若くして亡くなった者の願いを叶える仕事をしている、なので時折この様なことが起きる、だが今回はそれなりに大規模なようだ、それに、修羅の世界にまで影響するとはいったい、どの様な事なのだろうか



「シザース、安心してくれロキの仕業らしい」


「そうですか、ロキ様の」




そしてグレースは一つ疑問に思う。なんの過去が変わったのか。




「一つ質問なんだが、変わったことに心当たりはあるか?」


「申し訳ありせん、その記憶自体が改変されてしまっているので....」


「そうか、ならなにか質問とかは無いのか?もしかしたら手掛かりになるかもしれん」




シザースが頭を悩ませながら少しの時が過ぎた。




「そういえば、妹様とは再会できましたか?」



「!!?」


グレースは少し驚く、シザースでは知りえないことを口にしたからだ、

シザースとは最近連絡を取っていた訳でもなく、ましてや、シーラがグレースのもとを離れていたことなど、ほぼ知れ渡ってはおらず身近な神くらいしか知らないことだった。


そしてもう一つ、グレースはシーラのことを妹のように接してきたが妹にしたわけではない、それをシザースがなぜいきなり妹と呼称してきたのか謎は深まる一方だった。


「妹、シーラの事か?」


「シーラ様もそうですがキーラ様の事です、生まれてすぐ離れ離れになったとお聞きしたのを記憶しております」


「キーラ?誰だそいつは...」


「誰と言われましても...覇王様の二人目の妹様でございます、身に覚えがありませんか?」



正直に言うとない、まったくもってない。妹がいたら気付くだろうし、絶対に見逃さない、ずっと求めていたものなのだから。



「ん?キーラも妹.....シーラは俺の妹なのか?」


「は...い」




困惑した顔を浮かべながら肯定するシザース

決定的な事実に思わず笑みがこぼれてしまう...



「フフフッ...」


「覇王様どうかされましたか?」




笑いを堪えたくても耐えられない笑い、いや....喜びが腹の底から込み上げてくる。




「覇王様?...」


「フフフッハ―ッハッハッハッハ‼‼」




急に高笑いしだした俺にシザースはただ困惑するしかなかった。




「覇王様、何か喜ばしい事なのでしょうか?」


「あぁ、そうだともシザースこれは記念すべき日だ、俺は今日という日を決して忘れない、俺は今日お兄ちゃんになったんだ」




当たり前のことを言う俺にシザースはただただ困惑した。





「これが過去改変の正体だったか...なら早速会いたいものだが」


「なんと‼もしや妹様自体が過去改変だった...と」


「そうだ、何者かが俺の妹になった、何者かの策略の可能性もあるがな」




ロリコンのグレースはもし仮にロリっ子に殺されかけても反撃することは無いだろう、むしろ甘んじてそれを受け入れる、その覚悟をこの時した。


そんな矢先シーラから連絡が来る。



「お、お兄様私たちもこれからお兄様たちと合流します。そちらにかなり大きな魔力とそこそこの魔力が接近しています、おそらく片方はキーラです」





キャラ紹介


初代龍王:シザース・バルディラ


とても巨大な赤龍、強靭な肉体と精神を兼ね備え魔力も優れている。天界と魔界でおきた戦争にはあまり関らず中立の立場にいた。

神にも匹敵するとされている龍その初代でありまたの名を≪祖龍:バルディラ≫創造と破壊を司り永劫の時を生きるとされている。

周囲の魔物達からも崇拝されており、祖龍が目覚める時世界は一度終焉を迎えると言い伝えられている。

だが実際は世界の破壊など考えてもなく、今は孫の育成に励んでいる。

その昔、グレースに敗れておりその強さと器の大きさに心を打たれ覇王に忠誠を誓っている。



名前:初代龍王:シザース・バルディラ


Lv:9999


称号:祖龍バルディラ


性別:♂


HP:95438547


MP:23976212


ATK:26053969


DEF:25506768


INT:25785121


RES:25670345


SPD:25761973

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る