第7話 ダンジョンの探索

 ダンジョンは異界の扉という説がある。独自の生態系を持ち魔物と呼ばれる生き物が草系の魔物やそれを食べる草食の魔物、それを食べる肉食の魔物。一番食用に人気なのはオークとミノタウロスだ。どちらも豚と牛を二足歩行させた魔物だが、オークは群れる事が多く、ミノタウロスは単体の場合が多い。

 魔物には魔石が存在しており、そこを狙えば一撃で倒す事が出来るが肉は諦めるしかない。魔石には色々な使い道がある。町の街灯だったり、燃料に使われる事が多いが未だに解明されていない部分が多い。それを研究するのが錬金術師と呼ばれる人たちだ。彼らの功績で一番人類に貢献した物は抗生物質だろう。菌を殺したり、増殖を止める薬だ。不治の病とされた梅毒や破傷風が治ったのは戦争する者にとって大きい。

 今回ダンジョンの探索に同行したのは七名。肉の確保とイザベルの要望の品を集める為だ。ダンジョンで死んだ者たちが悪霊に憑りつかれて襲ってくるゾンビやスケルトンも脅威だ。まあ、どちらも炎に弱いので魔法士の敵ではないのだが、剣の稽古のために接近戦をやらせるつもりだ。

 探索メンバーの装備はミスリルの剣が支給されている。これは魔力を込めると固くなり鋭さが増す。全員がランドルフ古流剣術の使い手だオークやミノタウロスが出ても難なく倒してしまうだろう。ミスリルの鎧は重くて機動性が落ちるので皆皮鎧の軽装だ。

 ちなみにゴブリンの肉は不味くて喰えたものじゃい。無駄に繫殖力高いんでそれなりに群れて現れる。

「今日は何階層まで行くんですか?」

「五階層だ、空間収納の容量に気を付けろ」

「了解しました」

 最近冒険者が死んだという話は聞かないのでゾンビの心配はしていないが、臭いんだよなあいつ。

 ゴブリンを蹴散らし、死体から魔石を取り出した後に炎の魔法で焼く。ゴブリンは共食いで増える事があるので必要な処理だ。階層ごとにボス的な魔物がいる。今回はオークチャンピオンだ。探索メンバーは連携を取って確実にダメージを蓄積させて倒した。かなりデカいので一人の空間収納が一杯になる。

「キマイラ出ないかな、キマイラ」

「不謹慎だぞ。まあ、美味しいけど」

 色々な動物を掛け合わせて作られた魔物で錬金術師の失敗作ではないかと疑われている魔物だ。キマイラはスープにすると複雑な味わいで美味しい。

「四階層ぐらいで出るんじゃないか?」

「隠し部屋でお宝が出たりしないかな……」

「いや、このダンジョンは調べつくされてそんなもの無いよ」

「ここもっぱら学院生の肉を取りに来てる感が半端ない」

「確かに何度も来てますからね留年生とか、アルバイトで」

「おしゃべりしてしてないでサクサク進むぞ、ご飯の為に」

 皆がご飯の為にと唱和する。いい返事だ、これでイザベルの注文の品が取れなければまた魔法の的にされるんだろうな……。

 

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