第28話 告白
エトムント殿下を孤児院の子供達に紹介するとすぐに打ち解けて遊び始めた。
「エト、凄いな」
遠くのベンチで二人揃って眺めるのは子供達を順番に高い高いしてあげるエトムント殿下だ。
今抱き上げられているのは最年長ライナーだった。
普段みんなのお兄さんをやっているからか他の子供達の前で抱き上げられたライナーは「僕は大丈夫ですから…」と恥ずかしそうに顔を手で覆っていた。
「ライナーまで持ち上げてるよ」
「クリストフ様もやってきたらどうですか」
「俺はリアと一緒に居たい」
私の提案は満面の笑みで却下されてしまう。
さっき自分の気持ちを匂わせるような台詞を吐いてしまったからかクリストフ様の距離が近い。
どういうつもりなのか腰に腕まで回されているし、肩同士が触れ合っている。
もう婚約者になったかのような振る舞いをされているのだ。
それを嫌がっていたい私も私だけど…。
軽い自己嫌悪に陥っていると子供達がこちらに向かって手を振ってくる。
「呼び出しか」
「みんなで遊びたいたでしょう」
二人でエトムント殿下と子供達のところに向かうと隠れんぼをしようと提案されるので頷く。
鬼はエトムント殿下だった。
「今日は運に恵まれていないな…」
小さく呟くエトムント殿下にどう反応すれば良いのか分からず乾いた笑いが漏れ出た。
隠れんぼの範囲は建物と庭だけ。当たり前だけど外に出るのは禁止だ。
「みんな隠れろ!」
クリストフ様の声によって子供達が駆けていく。
みんなが見えなくなった頃に私達も隠れ始めた。
「リアはどこに隠れる?」
「鬼がエト様なので見つかり難い場所に隠れようかと」
一番背の高い木の上とかタンスの後ろに隠されている大きな穴とか。
エトムント殿下が探さなさそうな場所に隠れるのが良いかもしれない。
「……リア、こっちに来てくれ」
隠れる場所を考えているとクリストフ様から声をかけられる。
「え?どうしたの?」
「良いから。来てくれ」
クリストフ様に手を引かれて向かったのは庭にある小さな森のようなところの中だ。何も言わず奥まで進むと小さな泉が見えてくる。
こんなところあったのね。
何年も通っている場所なのに新しい発見があり驚いているとクリストフ様が足を止めた。
こちらに振り返り、真っ直ぐ見つめてくる彼からは熱の篭った視線が集中する。
それが恥ずかしくて目を逸らすと視界の端っこに跪くクリストフ様の姿が映った。
「リア、幼い頃からお前の事が好きだ。愛している。一生俺の側に居てほしい」
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