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新しい茶葉に手作りのお茶請け。お茶会の準備にどうしようもなくわくわくしてはしゃいでしまうのは、完全にマルルセーヌの血である。
夕食後に、わたしはスリーピーティーを飲もうと、お湯を沸かしながら、新しく買ってきた茶葉のうち、一つの缶をとり眺める。スリーピーティーとは、マルルセーヌ人が寝る前に飲む、安眠効果のあるブレンドのハーブティーのことだ。こっちに来てからは、その、ベッドへ横になったとして、すぐに寝るわけにはいかないだろう、と飲んでいなかったのだが、ディルミックがいないときならいいか、と、新しい茶葉を買いに行くとき、少しだけ茶葉を買ったのである。
まあ、これだけ楽しみにしていても、すぐにお茶会が開催されるわけではないのだが。
ディルミックが帰ってくるの自体は明日だが、帰ってきてすぐはなにかと忙しいだろうから、一週間くらいは様子見なのである。
お茶会の招待状は既にほとんど書き終えている。後はディルミックに都合のいい時間を聞いて、その日時を書き込むだけにしてあるのだ。
ぶっちゃけ、その時に誘った方が効率はいいのだろうが、まあ、そこは便箋を使いたいという気持ちの方が先なので仕方ない。
ディルミックも不思議に思うだろうが、この茶番を楽しんで貰いたい。茶会自体はマルルセーヌ式(しかも貴族仕様じゃなくて平民仕様)ではあるけれど、お誘いの文句自体は義叔母様に教わってしっかり書いたので。
ちなみに、義叔母様には、ディルミックをお茶会に誘いたい、と相談した際には、正気か? みたいな顔をされたが、特別なにか嗜められることはなかった。まあ、わたし自身、ぱっと思い浮かぶお茶の席に誘う相手がディルミックしかいないし……。
勿論、マルルセーヌ人として、配偶者が優先なのだが、そのうち義叔母様にもお世話になっているお礼にお茶を淹れたいな、と思っている。
ただ、マルルセーヌからしたらそれは最上のお礼だけれど、グラベイン的にはどうなのだろう、とちょっと迷う。なんかもっと、ちゃんとしたお礼があると思うんだ……。その辺もディルミックに相談かなあ。言葉でのお礼は散々言ったものの、金品という意味ではお礼が出来ていない。
これだけお世話になっているのだから、しっかりお礼をしたいのだ。
ディルミックにあれを報告しよう、これを聞こう、と考えているうちに、お湯が沸く。
またしばらくお役御免になるであろうハーブティーを淹れ、スリーピーティーを楽しんだ。
今日寝れば、明日にはディルミックが帰ってくる。今晩はよく眠れそうな気がした。
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