第十章「晴天」

遥が母親と再会してから数ヶ月。

平井姉弟は家族としての生活が再び始まった。

今回の令和関東・東海大震災で

地震の規模はマグニチュード8.8。震源の深さは10㎞

地震の原因はプレートが同時に割れた

最大級のプレート同時破壊直下型地震。

死者26万2000人。行方不明者31万人。

負傷者40万人。帰宅困難者1000万人。

経済被害額は最大187兆12億円。

それから日本各地や海外の協力により

東京都の復興が始まろうとしている。

ついに東京は半年ぶりの晴天へと導いていった。


信介のいる病室


左足を骨折しただけなので、ギブスを付けている。


信介「偉かったなお前達。本当に無事だったな。」


母親の芳子はその嬉しさに涙した。


芳子「よかった・・・二人とも生きてくれて。」


遥は病院を逃げ出したことを反省しながら伝えた。


遥「うん。私のした事の方が一番悪い事だったよ。

  東京が日本の首都じゃなくなるのが嫌で

  みんなに伝えようとしたら

  おじさんに怒鳴られた事で激昂して

  この病院を抜け出しちゃって…

  東京が地震と噴火で被災された事で

  辛さと悲しさに我慢できなくて

  思いっきり泣いちゃったんだ。

  そこで落ち込んでいるとやっとお母さんが迎えに来て

  家族写真を見て過去の事を思い出したな。」

芳子「そうよね。その時、遥と遼真とお父さんがいる

   病院に向かっていると落ち込んでる遥を偶然見かけたから

   私が遥を励まして慰めてあげたわね。」

信介「まぁ気にするな。遥の事だから

   復興が終わったら東京はまた日本の首都に戻るさ。

   遼真はどうだったか?」

遼真「僕は仲間がいてお姉ちゃんの他に

   未夢姉ちゃんに掛兄ちゃん、木村先生が一緒にいてくれたから

   僕も本当に楽しかったよ!」

遥「大阪万博には行けなかったのは残念だったけど、

  岡山に引っ越したら、またどこかに連れてってね。」

信介「ああ、いつか行ける日が来たらな!」


すると、ゆうとが遼真に声を掛けた


ゆうと「遼真くん、ちょっと来て!」

遼真「ん?」


すると遼真は姉の遥と母親の芳子に窓の方に誘った。


遼真「お姉ちゃん!ママ!ちょっと窓の方に来て!」


遥と遼真と芳子が子供達のいる窓の方を見てみると

雲の隙間から太陽の光が見えていた。

そして、東京都内は次第に晴れていき、

空が明るくなって、東京は半年ぶりに晴天日和になっていった。


子供①「やったー!お日さまが見えてきたー!」

子供②「東京が晴れてきた!」

子供③「晴天!晴天!」


そして、遥も嬉しそうに空を眺めて呟いた。


遥「久しぶりの、晴天・・・!」


未夢のいる病室


未夢のポータブルテレビには東京都が晴天になった中継映像が流れていた。


リポーター「東京都内の様子です!

      東京都は半年ぶりとなる晴天に恵まれました!」


その病室には療養中のベットに座る未夢と側には掛もいた。


未夢「東京もようやく晴れるときはやってきたな!」

掛「ああ、ついにこの時が来たか!」


総合病院の広場


快晴に恵まれた東京を見た木村は広場にいる皆を呼び出し晴れた東京に注目させた。


木村「皆!ラウンジの方に集まれ!」


そしてラウンジの方に皆を呼び出し、快晴になった東京の空に指をさした。


木村「見ろ!これが東京の新しい空だ!」


そして、東京は晴天による新しい光がここに差し込んだ。


それから数日後————

東京にはブルーインパルスが複数飛行していき、

東京中を元気づけていった。

そして、信介はリハビリを終えて、骨折を完治した。

そして平井一家は東京都を離れ、岡山県へ引っ越すことになった。


信介「もうリハビリを終えて骨折も完治したから

   俺達もそろそろ行くか!

   今日からまた家族としての生活が始まるぞ!」


すると、遥の友人である氷子ひょうこ

親友である幹の事で話かけた。


氷子「遥ちゃん!これから東京を離れるんだよね?」

遥「あっ!氷子ちゃん!」

氷子「幹ちゃんの事なんだけど。」

信介「おっと、その前に皆にお礼とお別れを言わないとな。」


そして、平井一家はそれぞれ友人や仲間などにお別れを言いに行った。


親友の幹のいる病室


そこには幹とその母親がいたのだった。

幹は頭に包帯を付けており、顔にはガーゼと絆創膏が付いていた。

そして遥は幹が無事だったことが嬉しすぎて幹の方に泣きついた。


遥「幹———‒—!」


幹のベッドで泣きつく遥を幹は優しく撫でた。


幹「大丈夫だよ、ハルちゃん。

  私、もう大丈夫だからね。」

氷子「遥ちゃんはもう東京を離れちゃうから

   お別れを言いたかったからね。」


そして、病院の廊下には遼真と木村先生と友達とその家族がいた。


まさるの母「この度はうちの息子を大変お世話になりました。」

ゆうとの父「ええ、その友達の遼真くんも一緒だったので」

遼真「家族にまた会えてよかったね、まさるくん!」


まさるは泣きながらこう言った。


まさる「うん・・・!母ちゃんと妹には会えた・・・

    でも父ちゃんは今回の地震に巻き込まれて亡くなったって・・・!」

遼真「そうだよね。でもまさるくんのパパもきっと天国で見守ってるよ。

   僕は東京を離れちゃうけど、僕の事も忘れないでね!」


そして、遼真とゆうととまさるは囲んで友情を忘れないとお別れを伝えた。


まさる「そうだな!お互い離れ離れになっても俺達は永遠の友だ!」

遼真「まさるくん!ゆうとくん!今までありがとう!

   遠くへ行ってもずっと友達だからね!」

ゆうと「うん!忘れないよ!」


そして木村が遼真にこう伝えた。


木村「遼真!」

遼真「ん?」

木村「向こうの学校へ行っても元気でやれよ!

   向こうでも友達がいっぱい作れるからな!」

木村「はい、木村先生!」


一方、信介は部下に別れを告げた


中村「平井さんも向こうへ行っても元気でやっちゃってください!」

信介「おう!君も達者でな!」


そして、芳子はボランティアにお礼を言った。


芳子「今まで本当にありがとうございました。心から感謝してます。」

大瀬「はい、こちらこそどういたしまして!」

頼子「芳子さんも岡山へ行っても元気に過ごしてください!」


別れを告げた平井一家は病院を出て、港へ向かう事になった。


信介「さぁ、やることやったし、そろそろ出発だ!」

遥・遼真・芳子「うん!」


ロビーが見える2階の廊下


ロビーに降りようとする平井一家は

リハビリ中の未夢を偶然見かけた。


遥「あっ、未夢さん!」

未夢「おっ!遥と遼真じゃないか!これから東京を離れるのか?

   アタシ、今丁度、リハビリをしてる所なんだ!」

芳子「あっ、この度はうちの子供を大変ありがとうございました。

   それもあなたのおかげです。」

未夢「へへへ、ありござっす!」

遼真「未夢姉ちゃんも早く元気に退院して、被災者を励ましてね!」

遥「未夢さん、今までお世話になりました!

  またいつかどこかで会えたら嬉しいです!」

未夢「ああ、遥と遼真とはここでお別れだけど、

   アタシらの心はいつも一緒だ!

   アンタ達、向こうへ行っても元気でな!」


そして、遥と遼真は笑顔で答えた。


遥・遼真「うん!」


総合病院のロビー


遥「東京とはしばらくお別れだけど、

  岡山で第二の人生が始まるんだね。」

信介「ああ、そうだ!俺達は岡山で新しい暮らしが始まるんだ!」


病院を出ようとする平井一家に掛が後を追ってきた。


掛「遥、遼真!」

遥「ん?」

掛「俺、これから山形の農村に住むことになったんだ!

  遥と遼真はこれからどこに住むんだ?」

遥「私達は岡山県に住むことになりました!」

掛「ああ、お互い離れ離れになっても心は一緒だ!

  今まで本当に楽しい人生だったよ!

  遥と遼真も岡山に行っても

  頑張っていい大人になれよ!じゃあな!」

遥「掛さんもお元気で!」


そして掛は遥達に別れを告げて、総合病院を去って行った。


信介「さぁ、俺達も岡山行きのフェリーに乗るか!」

芳子「うん、そうね!」

遼真「じゃあ、レッツゴー!」


そして、平井一家は避難先の病院を後にして、港に向かった。


それから東京は日本各地と海外政府の協力により復興が始まった。

仮設住宅は少しではあるが、10万棟設置している。

そして、東京都民は仮設住宅に住む人と東京を離れる人と分散していった。

東京の方を振り向き、東京都に別れを告げた。

避難生活が終わっても私達の人生はまだまだ続く!

さようなら東京!復興したらまた会おうね。


そして、平井一家は岡山港行きのフェリーに乗船し、

東京都を去って行った。

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