第伍拾陸話 使用人たちに説明(レオン視点)

 俺は、アオイたちとわかれ、王都のヴァスカトール公爵家の屋敷に来ている。


「レオン様、どうされたのですか。」


「ああ、皆に話があってな。使用人を全員集めてくれ。」


「かしこまりました。」


 執事長のクラウスに言われ、執事が使用人を呼びに行き、屋敷にいる使用人が集められた。


「俺は、この屋敷を出たが、皆は、まだここで働いてくれている。」


 使用人たちが、不安そうな顔をしている。クビになると思っているのだろうな。別の仕事をしてもらうことになるが給料はかわらず払うので、安心してもらいたい。


「それでな。俺が加入しているクランのメンバーの一人、アオイというのだがヴァスカトール公爵家の養子になることになり、一般区域にある飲食店にレシピを教えたりしてその飲食店は、今まで以上に繁盛するようになったのだが、貴族区域や富裕層区域の飲食店では提供されていないもので、貴族区域や富裕層区域にも噂が入ってきているかもしれない。」


「それは、プリンなるものなどのことですかな。」


 やっぱり、噂が流れてきていたか。貴族や富裕層が動く前に手を打ててよかった。


「そうだ。それで、その店やアオイにトラブルが起きる可能性があるので、店側に了承をもらい貴族区域に支店を出すこととなった。一般区域の店もヴァスカトール公爵家が後ろ楯となる。」

「そこで、一般区域の者には、貴族相手の接客は対処しきれないので、貴族区域の支店で、お前たちに働いてもらいたい。給料は今まで通り出す。」


「しかし、支店ということは、一般区域の店と同じ料理を提供のですか。」


「食堂だから一般区域の者にあった料理が多いので、支店では、貴族、富裕層向けの料理や貴族、富裕層向けにアレンジした料理を提供するつもりでいる。ただプリンは、貴族、富裕層にも受け入れられるだろうから同じように提供することになる。」


「なるほど、かしこまりました。屋敷のことをやらないわけにはいきませんので、全員が貴族区域にできる店で働くわけにはいきませんが、レオン様が居なくなられ、使用人の数が多いので、半分くらいそちらにまわそうと思います。」


「それで頼む。」

「料理長、料理人を貸してもらえるか。」


「はい。ヴァスカトール公爵家の方々が屋敷に来られることもありますから全員は無理ですが、二名なら大丈夫です。」


「二名か。誰か口のかたい料理人を知っていたりするか。」


「五名ほど知り合いにいます。」


「では、その者に話をしてみてくれ。そして、屋敷の料理人の二名と料理長は、近いうちに俺と一緒に一般区域の店に来てもらいレシピを習ってもらう。」


「かしこまりました。」


 これで、何とかなりそうだな。あとは、店舗の土地の確保だな。確か取り潰しになった子爵家の屋敷があったな。あそこを買い取り、改装すれば店に使えるな。


「レオン様。養子になるアオイ様には会うことは、できないのですか。」


「ああ、正式に養子縁組が決定したら皆に紹介しよう。どこまでの噂が流れてきてしまっているわからないからな。養子になるまでは、トラブルを避けるために屋敷には連れてこない。

 ただ、料理長と料理人二名は、皆より早く会うことができるだろうな。アオイは、その店の手伝いをたまにしたりしているし、俺もだが食べに来るからな。」


「アオイ様に料理のレシピを聞いてもよろしいのでしょうか。」


「アオイにか。料理長。アオイは、料理好きだし、教えてくれるかもしれぬが、平民なので、貴族、富裕層向けのアレンジとかは、わからぬかもしれんぞ。」


「それは大丈夫です。料理人として自分がしらぬ料理のレシピを教えてもらえるのなら教えてもらいたいだけですので……」


「そうだな。アオイが許可を出したら聞いてもいいぞ。ただ店で出す場合は、俺とアオイから許可とれよ。」



「勿論でございます。人様から教えてもらったレシピを勝手に出すなど料理人失格ですから。」


「わかった。話は以上だ。仕事に戻ってよいぞ。」


「クラウス、取り潰しになった子爵家の屋敷があったろう。立地的にも富裕層区域にも近いから立地的にもいいからあそこを店として、改装したいから父上に買い上げといてくれと手紙を書いといてくれ。」


「かしこまりました。」


 こうして、支店の従業員に関しては、話がまとまったので、クランハウスに戻ることにした。

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