第伍拾肆話 特例でギルドランクがアップ

 私は、ヒューイットさんとレオン兄さんと一緒にギルドのギルマスの部屋の前に居ます。


「シルティー、話がある入っていいか。」


「だからシルティーと言うなと言っておろうが、ヒューイット。」

「入って構わぬぞ。」


「話とはなんじゃ。アオイに関することか。」


 何で私に関することだと決めつける。まあ、私がいる時点で、そうだと思われても仕方ないし、そう通りではあるんだけどね。


「ああ、そうだ。まだ正式に決まってないがアオイは、ヴァスカトール公爵家の養子になることになった。」


「ギルマス。いいだろう。こんなかわいいアオイが俺の妹になったんだぞ。」


「確かにアオイは、かわいいが……ワシは、レオンみたいにアオイを妹にしたいと思っておらんからな。羨ましくはないぞ。」


 確かに、妹にしたいと思ってなければ羨ましくはないよね。ギルマスにもかわいいって言われた。照れくさいな。子供だし、黒髪が珍しいから皆、そう思ってくれているのかな。


「あとこっちの方が重要なんだが、アオイが転移魔法を使えることがわかった。」


「なんじゃと!!アオイには驚かされてばかりじゃな。」


 ギルマスも驚くよね。いくらギルマスが長命種であるハイエルフであっても驚くよね。

 まあ、私の魔力量とか知ってた時も驚いていたけどね。


「それでな。シルティーの権限で、アオイのランクを上げて欲しいんだよ。」


「確かにな。ランクが高ければ、トラブルを避けられるか。どこまで上げて欲しいのじゃ。」


「Aランクくらいかな。」


「よかろう。特例でAランクに昇格させてやるのじゃ。まあ、ワシの権限で上げてやれるのは、Aランクまでで、Sランクって言われても無理じゃったがな。Sランク以上は国王陛下の許可がいるからな。」


「じゃあ、Sランクまで上げてもらえるかもな。」


「どういうことじゃあ。」


「養子縁組が正式に決まったら、国王陛下に謁見することになるかもしれないと、レオンが言っているからな。」


「なるほどのう。」


「その際にアオイが転移魔法が使えることも公表してもらおうと思っているんだ。」


「そうじゃな。それがいいじゃろ。公表されれば、法で守られるから愚かな連中でもアオイに何かしようとは思わんだろうからな。」

「自分の命を掛けてまで、アオイを利用して何か企むようなことなどないからな。トラブル対策としては、もっともいい手じゃな。」


「他に驚くようなことはないじゃろうな。」


「今のところはないな。今後またあるかもしれないがな。」


「ヒューイット、何だ、そのアオイが迷惑を掛けているような言い方は」


 そうだそうだ。レオン兄さんもっと言ってやれ、私の持つ能力は、ダメ神にもらったもので、全てをきちんと説明してもらってないし、どんなスキルとかがあるのか全て把握してないのだから私は悪くないもん。


「そんなつもりはねえよ。そう思ったのなら悪いなアオイ。」


「いいよ。あんまり気にしてないから、許してあげる。」


「じゃあ、下でギルドカードをAランクの物と交換してもらうのじゃ。ワシも一緒に行くから、そのままレガールで一緒に行こうではないか。」


  「まあ、いいが何でレガール何だ。シルティーが連れていってくれるならもっといい店知っているだろう。」


「何を言うか。レガールにあるプリンというのは、最高にうまいのじゃ。ワシは、毎日食べたいくらいハマっておる。」


「確かにうまいけど、毎日食べるほどでは……」


「まあ、確かに毎日だと飽きるけど、私はレガールでいいよ。」


「そうだな。アオイがそう言うなら俺はレガールでいいぞ。」


「三対一で、レガールに決まりなのじゃ。さっさとギルドカードを交換して、レガールに行くのじゃ。」


 そうして、受付でギルドカードをAランクのゴールドのカードに交換してもらい私たちは、レガールへ向かった。

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