第参拾肆話 アイラと一緒に(後編)

 ミルクの需要が高くなればいいと思っているとミルトさんの思い私とアイラは聞いた。


 ミルトさんの話を聞いて、ミルクはスイーツもそうだけど他にも色々な料理に使えるから小出しでダニエルさんに教えて、レガール発信で広めてもらおうと思った。

 小出しにする理由は、一気に出すとそれらの料理がターブルロンドで受け入れられ広まった場合にミルクの需要が一気に多くなりすぎ、供給が追いつかなくなる。

 まあ、今回プリンも同じではあるけどね。プリンを新メニューにすることにしたからミルクの仕入れ量を増やしたいレガール、今はミルクの需要が低いからミルクバイソンあまり飼育していなかった。

 だから供給が追いつかないから飼育数を増やしたわけだしね。


「私たちは何をやればいいや?」


「ああ、今は美味しいミルクを出してもらうにはミルクバイソンに運動が必要だから日中は放牧しているからミルクバイソンの寝床の清掃と増えた分の寝床づくりだね。」

「夕方に放牧したミルクバイソンを集めて、夕方の搾乳をして、寝床に戻して今日は終わりかな。」

「明日は朝の搾乳から手伝ってもらうから朝、六時にここに来てもらうことになるけど大丈夫かな?」


「「大丈夫です(や)、早起きは得意なので(やからな)」」


「じゃあ、寝床掃除から手伝ってもらおうかな。まあ、今日増えた分の寝床はこれからつくるから、掃除は二十頭分の寝床だけだよ。奥さんも入れて四人でやるから一人当たり五頭分の寝床掃除だね。」

「四十頭増やしたから掃除より寝床づくりと夕方からの搾乳の方時間かかるね。」


「マジか。そんなに増やしたんか。」


 私たちはミルクバイソンの寝床掃除を始めた。

 寝床は砂が敷かれていて、掃除は砂と糞尿が混ざってしまっている寝床の砂を大きな機械に入れ、砂と糞尿を分離して、砂は寝床の敷料として再利用しているので、分離された砂を寝床に敷き詰めて掃除は終わり。

 砂は何度か再利用したら新しい砂に変えるらしい。


 私が知る牛の寝床は藁などがよく使われていたが、その事をミルトさんに聞いてみるとアーノルド牧場でも以前は藁を使っていたが、昨年から砂に変えたとのこと。砂だと寝起きがしやすく、ミルクバイソンがリラックスでき、ミルク量が増えたらしい。


「じゃあ、増えた分の四十頭分の寝床つくろうか。こっちにある新しい砂をどんどん敷き詰めていってね。敷き詰め終わったら柵とか取り付けて終わりだよ。」


「掃除の倍やからな、さっきよりは時間かかるかもしれんが、機械に入れてまた砂を戻しての作業がない分楽かもしれん」


「確かにね。砂を敷き詰めて柵とか取り付けるだけだからね。」


「これが終わったらお昼だよ。」


「終わった。砂袋思ったより重かった。」


「アオイは小さい割に力持ちやな。」


 そして、四十頭分の寝床づくりもなんとか終わり、お昼休憩となった。

 夕方の搾乳も終わり、ミルクバイソンを寝床戻した。


 ミルクバイソンは、聞いてた通り大型犬より少し大きいくらいのサイズの四足歩行で牛っぽい感じの魔獣だった。

 驚いたのは、搾乳を終えると真っ白だった体毛が真っ黒になったのだ。

 ミルクバイソンは元々は黒い体毛だが、ミルクが溜まってくると真っ白に変わり、ミルクを出すと元に戻るとのことだ。


 そんなこんなで三日間のお手伝いも終わった。


「「三日間の手伝い終わった~」」


「うち、へとへとや。お腹空いたし」


「お疲れ様。夕飯はうちでどうかな?」


「ぜひ食べていって、二人が頑張ってくれたから今夜は焼肉したからね。」


「「やった~ ありがとうございます。ミルトさん、ラテーネさん」」


 依頼人の夫婦のでお腹いっぱいになるまで堪能した二人は、アーノルド牧場をあとにし、ギルドに向かっていた。


「私、あと一回依頼成功すればGランクに昇格だよ。」


「おお、ほやいな。まあほぼ毎日依頼受けたり、今回のもそうだが、緊急依頼も受けてたからな。今回のが成功三回分、緊急依頼が成功二回分だからそれだけで半分やからな。」

「まあ、うちもあと一回でFランクに昇格や。」


「アイラもあと一回なのか。Fランクだから三十回依頼成功して、適性試験に合格したら本登録だね。」


「おおよ。」


「アイラは明日はどうするの?」


「二日間は朝早くから夜まで働いたからな。明日は休みにするわ。アオイは?」


「私は考え中」


 そんな他愛のない話をしながらギルドに戻り、完了の報告をし、報酬を確認し、ギルド口座に預け、別れた二人であった。


 小金貨なんて持ってても、落としたり、盗られたりする可能性もあるしね。

 必要なお金は手元にあるし、ギルド口座に預けておけば、ギルドカードで買い物できるし、ギルドカードは魔力登録されているから本人しか使えないから盗っても無意味だから盗まれる心配もない。

 魔法で保護され個人情報も守られている。

 地球だと不正アクセスで個人情報などを盗むかあるけど、地球にないチカラで守られているからセキュリティ面もバッチリなのである。


 アイラは明日は休むみたいだけど、私はクエストボードみてよさげなのがあれば受けよっと、依頼達成できればちょっと間だけどアイラと同じランクだなどとアイラと別れ屋敷に帰りながらそんなことを思っていたアオイであった。

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